*この記事は《ぽわん ~バンドのこれまで、そして今~》の続きです

2016年5月25日に6曲入りのミニアルバム「こわれちゃう」をリリースしたばかりの「ぽわん」。6月3日には下北沢Shelterでワンマンツアーファイナルライブが行われるのに先立ち、ミニアルバム「こわれちゃう」について伺いました。

ぽわん「こわれちゃう」ジャケット写真---5月25日にリリースされた、ミニアルバム「こわれちゃう」ですが、このアルバムはいつ頃から曲作りを始められたのでしょうか

モエ: 曲作り自体は、あししが入ってすぐかな

あしし: そうだね。とりあえず誘われたので入ったはいいけど、スケジュールがガッチガチで、意気込みも凄くて、「こりゃやべー」って思いました、、、

モエ: 最初はふわっと「あししくん、もしよかったらギター弾かない?」みたいな、軽い感じで伝えていたのですが、実はそれは罠になってまして(笑)

あしし: ホントにびっくりしました

モエ: 入ってみたら底なし沼だった

マリナ: こんなはずじゃなかった、って

モエ: とりあえず「ぽわんのGoogleカレンダーがあるからログインしてみて!」と言ってログインさせて、開けてみたらぶわーーって予定が入ってる、みたいな(笑)

あしし: びっくりしました、、、だからやらないといけないけど、新しいバンドに入ってやり方が違うから、頑張り方もよく分からない。そんな中、この5ヶ月間よく頑張ったと思います

モエ: 本当によく頑張ったよね

2016/5/29 いつまでも世界は... DEWEY

---それではこのアルバムの中で一番最初にできた曲について、教えてください

モエ: 「思い出になんてなるもんか」ですね。この曲はアルバムに入れるつもりで作ってなかったのですが、「マイナーガール」へのアンサーソングといいますか、一番になりたい気持ちとかコンプレックスに対して、それでもやっぱり一番になりたいっていう気持ちがあって。それで作りました。

TSUTAYA O-West(2015/9/15)のMCでも話しましたが、その当時は本当に弱気になっていて。解散するかもしれないとか名前を変えるかもしれないという気持ちもあったので、ぽわんのこと、聴きたいときに思い出してくれればいいし、無理にこの後のぽわんを好きにならなくてもいいよ、そんな気持ちでした。でもやっぱり、一番になりたいという気持ちは変わらない、、、そんな複雑な気持ちで「マイナーガール」を歌っていたのです。

そこからワンマンツアー(12月2-5日)に向けてなにか新しい曲を作らないと、辞めるにしろ続けるにしろ答えが出ないと思って。そして、できたのがこの曲です。忘れられたくない、過去にされたくないな、みたいな。それが美しい場合もあるけど、自分にとっての「ぽわん」とって、忘れられてしまうことはやっぱり嫌だ。あのMCを全否定する曲でもあります。

---この曲はあししさん自体はどのような関わりがあるのでしょうか

モエ: 今回のアルバムに入れようと思ったのは、あししが入ったからですね。ワンマンツアーの時の「思い出になんてなるもんか」は、半ばヤケクソで歌っていて。だから毎回泣いちゃっていたんですけど。自分のつくってきた物に、もう勝てないかもしれないという気持ちと、でも絶対負けたくないみたいな。で、今のぽわんなら勝てると確信できたので、アルバムに入れることにしました。

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---次にできた曲を教えてください、エピソードも併せてお願いします

モエ: 「いのち短し活きよ乙女」ですね。歌ってることは「思い出になんてなるもんか」と同じようなことなのですが。「思い出になんてなるもんか」のやけくそ感を消して、、、。あ、そう言えば、この曲はものすごく思い入れがある曲です。

ある精神科のQ&Aサイトに、中学2年生の女の子の投稿があって、その子は「自分の居場所が無い」ということを相談していて。死にたくもないし生きたくもないと。友達の前では普通にしているけど、ホントは一人になると泣いちゃうし、頭がおかしくなってしまったフリをしてしまう。その方が生きやすいんじゃないかって書いていて。

それを読んだ時に、その子が薬やカウンセリングに頼ったり、自分を傷つけたりせずに気持ちを発散できる方法を見つけることができればいいなってすごく思って。例えば自分が音楽に救われたように、その子が音楽に出会って、心の中を解放することができればいいな、そんなことを考えて作った曲です。救える余地がまだある内に、こういう気持ちの発散の仕方があるよって届いたらいいなって思っています。これから作る曲にもきっとそういうのが出てくると思います。そういう意味ではこの曲は、まだ序章ですね。でももっと気づいてもらえる場所にいかなきゃ救えないから、早く売れなきゃってすごく思います

---非常に興味深いエピソードです。そして、なぜ【デストロイポップ】というキーワードを標榜しているのか、少し理解できた気がします。いったい何を壊したいのかという部分ですね

あしし: この曲が一番、今のぽわんの全てなのかも

モエ: 自分が思っていることを我慢しないでちゃんと伝えることはすごく大切なことで、例えその思いがつぶされてしまったとしても、自分が楽しいと思えたり腹の底から笑えることだったら、ちゃんと格好良く生きていけるよというメッセージです。言葉にして説明するのは照れくさいですけど、、(笑)
だから、ぽわんが先頭に立ってそれをやるよ、って。そう言いたいです

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---次にアルバム2曲目の「きみの狂気にキュンとする。」についてお願いします

モエ: このアルバムで2曲目「きみの狂気にキュンとする。」と3曲目の「思い出になんてなるもんか」を並べたのは、人って自分勝手な生き物で、『私以外の思い出全部捨ててね』っと言っているのに『思い出になんてなるもんか』なんて言っているという矛盾が、人間らしくて好きだなと。「思い出になんてなるもんか」よりも後にできた曲ですが、例えば付き合ってた人に対して『思い出になんてされたくない、ずっと心のどっかで好きでいて欲しい』みたいなのあるじゃないですか。その矛盾感がすごく好きで。そういう矛盾って、狂気に近いというか。矛盾を理解できずに狂ってしまう人がいるなあ、とも

---非常に個人的な印象なのですが、これまでのぽわんは曲と詞がしっかりと調和していたのに対し、新しい曲の中には曲と歌詞が別のモノだと感じるものがあり、その代表曲が「きみの狂気にキュンとする。」なのではと感じています。曲を聞いた印象と、歌詞カードを読んだときの印象があまりに違う気がしました

モエ: 【デストロイ】と【ポップ】という真逆の単語を組み合わせた【デストロイポップ】というキーワードを考えたときに、例えばお皿が割れるとその破片が散らばるわけですが、その破片が全てハートになるみたいな、そんな感覚です。曲はとても明るいのに歌っていることは暗い。なにか相反する、矛盾しているポイントがある、それがこれからの「ぽわん」だと考えています。曲とか詞が分離しているという感覚は、その点が一番大きいからだと思います

---ああ、そういうことですか。ジャケットの電Qさんのイラストのポップさも含め、【デストロイポップ】に込められた想いがやっと理解できた気がします。次は「CP/KP」、読み方は「ちんぷんかんぷん」で間違いないですね

あしし: 「ちんぷんかんぷん」ですね。曲作りは昔からしていたのですが、「ぽわん」に入って、「まー、書けるし書いてみ」みたいな感じで言われて

モエ: そんな言い方してないよ(笑)! 書ける人が入ってホント助かったって、、、ひどいヤツだなホントに(笑)

あしし: 試されているなって思って(笑)。「ぽわん」に入ったときにものすごくわかりやすいバンドだと思ったので、逆にものすごくわかりにくい曲を持っていったらどんな感じかなと。言葉も袋に詰めたみたいな言葉にして、悲しいのか嬉しいのかわからないような曲を持っていったら、結果的にすごく切ない感じになりました

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---これ、切ない感じの曲なのでしょうか

あしし: 逆にどう感じますか?

---個人的にはどんな感じなのか表現不能で、メッセージを理解しようとしているのですが、「普遍的な宇宙のチーズは」の辺りからもはや、、、

あしし: あ、大丈夫ですよ(笑)

---ただ、一つ言えることはこの曲をモエさんが歌っているのを聴いて、本当にモエさんのボーカルが大好きなのでたまらないです。あと、「思い出になんてなるもんか」に続いているのが印象的です

モエ: それポイントだったよね。「思い出になんてなるもんか」って言いながら泣いて、そのまま寝ちゃって、その時に見た夢の中の浮遊感みたいな。私には絶対に作ることができない曲です。

「THE MASHIKO」に出会ったときにマツコがCDを買ってて何度か聴きましたが、あししを誘って返事を待っている間もずっと聴いてました(笑)。あししが曲を作ってるって知って、もう絶対に書いてもらおうって思っていたのですが、ちゃんとあしし節100%で、変に「ぽわん」に寄せないで作ってくれて。期待通りだったので、『はい、「THE MASHIKO」越えまーす、あししの歴史を塗り替えまーす』みたいな感じで歌いました(笑)あししはあししで、『ぽわんの歴史を変えまーす』って思いで作ってきてたので。お互いの思惑が完璧に交わっていたからこそ、しっくりきているのかなと思います

---あししさんは他に想いはありますか?

あしし: まあ、そんな感じですね(笑)。後は、良い曲を作って、更新してゆくだけですね

モエ: この曲の「天邪鬼でもいいんだよ でも泣いちゃダメだぜボーイズは」って、男なんだからだから泣いちゃダメだよってことでしょ?

あしし: うん、そうだよ

モエ: 私から言うと、2曲目と3曲目で女の子のわがままさに対して、「天邪鬼でもいいんだよ」って嘘ついてもいいよみたいに彼氏が言ってくれて、でも俺は泣かないよみたいな。その、勝手につながってシンクロしている感じが好きで、2・3・4曲目の繋がりがいいんです

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---次に「あいにきて・I・NEED・YOU」ですが、この曲はどのような経緯で歌うことになったのでしょうか

モエ: いろいろな人から、メイビーモエは森若さんっぽいと、先日のイベント(4月29日池袋手刀、ぽわん feat. GO-BANG’Sとして森若さんと共演)を作ってくれた方や、レーベルのオーナー、あししもそう思っていたみたいで、いろいろな人に森若さんっぽさを感じると言われていて、私がGO-BANG’Sのライブ映像を見たときに、こういう表現の仕方があるんだって。【デストロイポップ】のあり方というか、色々なモノが混ざって最終的にハッピーで終わる。でも、その間に色々な概念を壊してきている。そのあり方のお手本的な存在が今まではなかったのですが、それが初めて森若さんだと気づき、じゃあやってみますという事になりました。

実際に森若さんにお会いしたら、私が言わなくてもわかってくれることがすごく多くて、森若さん自身も「継承できる子、いたんだ」って。GO-BANG’Sはガールズバンドなんだけど、捉える人によってパンクだったりポップだったり、ロック、アイドルと言う人がいたり、色々な要素が詰まっていて、その辺りがお手本だなと。初めて、お手本だなと思える人に出会うことができました

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---そして、ラストが「ハッピーミラクルラブソング」ですね。この曲は、歌詞はあししさんとモエさんの連名ですが

モエ: ほとんど私が書いているんですけどね(笑)

---え、そうなのですか? あししさんがメインに書かれていると思っていたのですが、、、

モエ: そう思わせておいて、ほとんど私が書いています。私がよく書けたなって、こんな歌詞

あしし: よく、これ連名にしてくれたなって思います(笑)

モエ:?サビ以外はあししが書いていると思わせておいて、、、ほとんど書いた(笑)

あしし: サビは全部だし、Aメロも9割くらい。サビはフレーズも曲もあって、こういう曲を作りたいけどAメロに「私が作ると真面目になりすぎちゃう」って言われて

モエ: アルバム全体が重くなっちゃうから、ふざけたAメロ書いてよって

あしし: そう言われて、1行目だけ書いたんですね。そこだけ書いたら、あとは全部書いてくれました

---まったく想像していませんでした、あししさんが書かれて、モエさんが整えたのかなと思っていました

あしし: あと、ちょっと書いた、「壊れちゃうよデパートのフードコート」だね

モエ: 自分で歌詞を書き始めるとどうしても重くなりがちで、この曲も「いのち短し活きよ乙女」と同じような事を歌っていて、私から今までぽわんを聴いてくれた人やこれから聴いてくれる人に全部あげるよ、勝手にみんなのモノにして欲しいって。実際には重たい気持ちも含まれた詞なのですが、そういうことを全部軽々と越えていきたい、そんな想いが込められています

あしし: という感じで、輪郭だけ作りました

モエ: 2番のAメロは、不安定だった時期にいろいろな人に心配されたりして、そういう言葉をたくさん聞いているとこっちまで翻弄されてしまって見えなくなってしまうから、マリナや自分のために書いた部分ですね。「ソングはビョークに任してもいいけど70億だし頑張っちゃう」という部分は、「いのち短し活きよ乙女」の「二番煎じでもきっと、どうも無意味じゃなくって」の部分と同じで、70億人も人間がいるんだからやってればきっと大丈夫だよ伝わるよ、という意味ですね

マリナ: いま、色々初めて知った(笑)

2016/5/29 いつまでも世界は... DEWEY

---ハッピーミラクルラブソングについては、無条件に楽しめる曲だと思っていましたが、色々な想いが込められていたのですね。ライブではサイコーに盛り上がる曲ですし、今回のライブでも全力で手を振りたいと思います

ぽわん ~ぽわんの ”こ・わ・れ・ちゃ・え!ツアー”6/3下北沢Shelter~》に続く

2016/5/29 いつまでも世界は... DEWEY

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【ぽわんの ”こ・わ・れ・ちゃ・え!ツアー”】

2016/5/31 (火)北堀江Club vijon
開場 19:00 / 開演 19:30
前売 2500円 /当日 3000円 (D代別途600円必要)
ぽわん/クリトリック・リス
ローソンチケット L-CODE:52031
e+(イープラス) 

2016/6/1 (水)名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
開場 19:00 / 開演 19:30
前売 2500円 /当日 3000円 (D代別途500円必要)
ぽわん/つしまみれ/ぱいぱいでか美
ローソンチケット L-CODE:42771
e+(イープラス)

2016/6/3(金)下北沢シェルター
開場 19:00 / 開演 19:30
前売 2500円 /当日 3000円 (D代別途500円必要)
ぽわん/カトキット/ぱいぱいぱいチーム
ローソンチケット L-CODE:74787
e+(イープラス)

ぽわん「こわれちゃう」こわれちゃう(2016)

1.いのち短し活きよ乙女
2.きみの狂気にキュンとする。
3.思い出になんてなるもんか
4.CP/KP
5.あいにきてI・NEED・YOU!
6.ハッピーミラクルラブソング
2016.5.25 Release WAKRD-054
\1,800(税抜価格)+税
GO-BANG’Sのカバー曲「あいにきて I・NEED・YOU! 」を含む6曲入りのハッピーでミラクルなラブソングが詰まった「デストロイポップ」満載の【ぽわん名物、メンバーチェンジしたらとりあえずミニアルバム】「こわれちゃう」

About the Author

クロダマサノブ

下北沢や京都のライブハウスに突然現れ、最前列で号泣しているおっさん。ライブイベント #316NIGHT はお休み中です。久々に日本人ドライバーのいるF1シーズンがはじまったので、F1でも号泣しそう。愛知県豊川市出身、京都市右京区経由、東京都世田谷区在住。 [Twitter]ymkx

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