2021年4月9日に公開された映画『街の上で』。僅か11館で封切りされたにも関わらず、公開9日目に動員1万人を突破。さらに、30館以下公開作品を対象とした「ミニシアターランキング」では3週連続で1位を獲得。これらの反響を受け「TOHOシネマズ日比谷」や「T・ジョイPRINCE品川」など全国での順次拡大公開が決定し、5月20日には動員4万人を達成しました。

この大ヒットを記念して6月6日に渋谷シネクイントにて、主人公で荒川青役を演じた若葉竜也さん、川瀬雪役の穂志もえかさん、そして今泉力哉監督による【『街の上で』大ヒット御礼舞台挨拶】が行われました。

※上映後の舞台挨拶のため、作品の内容に触れている部分があります。ネタバレを避けたい方はぜひ作品をご覧いただいてから、以下の舞台挨拶記事をご覧いただくことをオススメします。

写真左から、穂志もえかさん、若葉竜也さん、泉力哉監督

まず、公開から2ヶ月が経った今でも上映館数や上映回数が増え、まさに大ヒットしている事について若葉さんは「こんなにたくさんのお客さんが来てくれる映画だとは思ってなかったので、人知れず終わってゆくのかな」と話し始めると、今泉監督からは「ちょっとまて、ちょっとまて(笑)」と、とっさに突っ込みが。続けて若葉さんは「正直なところ予想以上でした、皆さんに受け入れてもらえてすごく嬉しいです。僕の周りの俳優や監督も観てくれて、こんなにみんな観てくれるのかと。あまり映画を観ない妹も観てくれたり、映画に詳しくない人たちの間にも拡がり、すごく価値のあることだと感じました」と、率直に喜びを口にしました。

若葉竜也さん

続いて、穂志さんは「バイオレンスものが好きな俳優仲間がこの作品を観て、一番面白い映画だったと言ってくれて、人の趣味嗜好を変えさせる程のパワーがあるみたいです」と、ご自身のエピソードを語ります。

穂志もえかさん
穂志もえかさん

そして、今泉監督からは「2ヶ月経っても今日のように満席になってくれることは嬉しいです。ちなみに今日2回目以上の方は、どのくらいいらっしゃいますか?」と、会場のお客さんに聞いたところほぼ全員が手を上げたことに驚きつつ、「2回観るということはなかなか自分でもないですが、2回観ると分かることがたくさんある映画で、最初から成田さんと若葉さんの関係を知った上で観れますから。あんなに偉そうにしている成田さんがあんな目に合ってしまうとか、イハ役の中田さんが最初に若葉さんに衣装を持ってきた時点で、後々どうなるのか知っていて観ることができるとか、全体を俯瞰して観ることができるので2回目の面白さもあると思います」と、思わずリピートしたくなるこの作品の魅力を語ります。

今泉力哉監督
今泉力哉監督

続けてMCから若葉さんに今泉監督はどんな監督なのかと質問され「監督に向いてない監督、全体的にダメな人なので」と話し始めると「僕もあまり人の前に立つことに向いていないと思っていて、俳優に向いていない人と監督に向いていない人がタッグを組んだら、意外とお客さんが入った、ラッキー」と回答。

一方、今泉監督は「二人とも『愛がなんだ』でご一緒し、2回目ができるというのは嬉しいことで、前回大丈夫だったと確認できるから。この映画の中では、若葉さんはどんな人に対しても受け身の芝居。冒頭の古着屋のカップルに巻き込まれたり、警察官に巻き込まれたり、終盤の路上での鉢合わせもある種の巻き込まれですよね。そんな受けの芝居ができることは大きいです」と、若葉さんの役者としての魅力を語ります。

監督の話を受け穂志さんは、「私は『愛がなんだ』も『街の上で』も、正直全然上手くできていないのにどうして呼んでくれるんだろうと思っています」と話し始めると、今泉監督に「もっといけたかも、みたいな?」と言われ、「そうですね、そう思っていてどうして呼んでくれるんだろう、救済措置?」と続けます。

すると、今泉監督から、「ラストの二人の玄関先のシーンや、最後のケーキを二人で食べるシーンについて、穂志さんがケーキを食べるところまでは脚本に書いていたけど、穂志さんにだけチョコレートを若葉さんに差し出すと伝えていて、あの後は全部アドリブ。1つだけ思った通りになっていないことがあって、チョコレートがハート型だったので好きな人からハートをもらうことに反応するのかと思ったら、本当に食べたくないみたいな感じで、ハートへのリアクションはゼロなのか」と話すと、若葉さんは「その発想は一切無かったです」と返します。一方の穂志さんは「よくアドリブでできたなと思いました、自分を褒めたい。台本もなく二人で作り出した空気感だったので」と、あのラストシーンの撮影を振り返りました。

若葉竜也さん

次に、MCから若葉さんの「え?」という台詞に対する演技の絶妙さに話題が移り、この作品の中で最も「え?」と思ったシチューエーションについて問われると、若葉さんは「警察官に話しかけられるところ。十何年撮影の本番中に吹き出すことはなかったですが、、、ホントに何を言ってるんだろうこの人は、と。この本を書いた人もバカだし、それを真面目に演じている人もバカだし、それを受けてリアクションをとっている僕もバカだし、何をやっているんだろうなと思いましたね」と答えると、今泉監督からは「本当の警察なのか説がありますからね。警察の格好をしているだけの怪しい人なんじゃないか、みたいな。なんか、謎ですよね彼は。でも、謎で一番よくわからない人に、穂志さん演じる雪が背中を押される、役に立たなそうな人が背中を押す点は意識して書きました」と、左近洋一郎さん演じる警察官に対するエピソードを披露しました。

今泉力哉監督

さらに、MCから今泉監督に大橋裕之さんとの共同脚本について聞かれ、「大橋さんは大好きな漫画家で10年以上前から知り合いでして、共同で脚本を書くのは難しいので基本的には自分が書いて、大橋さんに読んでもらい意見を出してもらいました。例えば、映画の出演依頼をされた青が自分の部屋で携帯電話で撮るのは大橋さんのアイデアで、路上で5人がうわーっとなって揉める所も。自分だとコントっぽく笑いが行きすぎかなと思ってしまい、ああいうシーンを書いても3人にしようとか辞めようとなりますが、大橋さんがこのシーンは絶対に残した方がいいと言ってくれたり。全体的に笑いのシーンが多くなったのは共同でやったことが大きかった」と、大橋さんと共同で脚本を作り上げた価値について説明。

続いて若葉さんに、演技ができない役を演じたことについて問われると、「僕は普段めちゃめちゃ緊張する方で、あれくらい緊張しているのをいつもは隠しているだけで、全部さらけ出すとああなる。あまり面白いシーンだと感じずに、普通に緊張していることをさらけ出せばいいという感じでした」と答え、それに対して今泉監督は「演出はしていないです、緊張の度合いについて、『あんなに?』とは思いました。本のページをあのようにめくる人はいないと思いながら見ていて、これは微調整とかもう少し上手くとか言い出すとどこをどうしたらよいのか分からなくなるので」と、あのシーンの演出について振り返りました。

穂志もえかさん

一方、穂志さんは演じていて楽しかったシーンについて聞かれ、「かなり自分のことを追い込んで演じていましたが、成田さんがとてもフレンドリーで私がどんな状態でも話しかけてくれて、成田さんと撮ったシーンは緊張していましたがおしゃべりする時間もあり楽しかったです。成田さんはやっぱすごい」と語ると、今泉監督からは「若葉さんを横にして」と突っ込まれ「違う違う」と否定する穂志さんに対して、「成田凌、やっぱすごいな」と若葉さんが思わず口にします。さらに穂志さんは「最初は怖かったんです、成田さんは売れてる若いイケメンの俳優さんだから。そう思っていたからこそ、成田さんの親しみやすさにとても救われました」と、成田さんに対する印象と現場でのエピソードを振り返りました。

3人の様々なや想いや現場での話が語られた大ヒット御礼舞台挨拶。最後にそれぞれ一言ずつメッセージをいただきました。

今泉監督「映画館は今も大変な状況ですが、このように足を運んでいただき嬉しく思っています。劇場で知らない人同士が一緒に観ながら、同じタイミングで笑うのは映画館の醍醐味だと思います。『街の上で』もまだ続きますが、他の映画も映画館で観てください。あと、告知ですが10月15日に『かそけきサンカヨウ』という次の映画も公開されますので、そちらもぜひ観ていただければ」

そう語ると、6月10日に誕生日を迎える若葉竜也さんに、今泉監督からサプライズで花束がプレゼントされました。32歳の抱負を聞かれ若葉さんは「週刊誌とかに撮られないように、粛々とひっそりと生きます」と語り、会場は拍手と笑いに包み込まれました。

サプライズでお誕生日の花束をプレゼントされた若葉さん
サプライズでお誕生日の花束をプレゼントされた若葉さん

穂志もえか「配信サービスなどおうちで映画を観ることができる中、こうやって映画館に来てくださることは本当に嬉しいことですし、ステキなことだとみなさん感じていると思います。映画館で映画を観る時にしか体験できない気持ちもあると思うので、これからも映画館をよろしくお願いします。『街の上で』も、引き続き口コミなどで広めてくださったら嬉しいです、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。」

穂志もえかさん
穂志もえかさん

若葉竜也「この映画は劇的なことは何も起きないし、人が亡くなったり号泣したりすることもなく、主人公が成長することもない。例えば誕生日のケーキが劇中に出てきて、買いに行くシーンや選んでいるシーンの方が映画としては画になったりますが、そのケーキを買って崩れないように持ち帰る、そのことがその人にとってピュアな瞬間だったりして、そんな時間の切り取り方を今泉監督がしてくれ自分もそんな映画にしたいと思っていました。人が無意識に人と接して、一生懸命人とつながろうとしている、その積み重ねでできたような映画です。32歳になりますが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします」

若葉竜也さん
若葉竜也さん

映画『街の上で』大ヒットを受けて行われた御礼舞台挨拶、この日のチケットは発売開始2分で売り切れたとのことで、公開から2ヶ月経っても引き続き話題の作品です。下北沢トリウッドでも引き続き上映されており、今後も各地で上映が開始されますので、ぜひお近くの映画館でご覧ください。

『街の上で』

出演:若葉⻯也、穂志もえか、古川琴⾳、萩原みのり、中⽥⻘渚、村上由規乃、遠藤雄⽃、上のし
おり、カレン、柴崎佳佑、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、左近洋⼀郎(ルノアール兄弟)、
⼩⽵原晋、廣瀬祐樹、芹澤興⼈、春原愛良、未⽻、前原瑞樹、タカハシシンノスケ、倉悠貴、岡⽥
和也、中尾有伽、五頭岳夫、渡辺紘⽂/成⽥凌(友情出演)
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉  大橋裕之
撮影:岩永洋
録音:根本飛鳥
美術:中村哲太郎
⾐裳:⼩宮⼭芽以
ヘアメイク:寺沢ルミ
助監督:滝野弘仁 平波亘
スチール:⽊村和平 川⾯健吾
音楽:入江陽
主題歌:ラッキーオールドサン「街の人」(NEW FOLK / Mastard Records)
製作:遠藤⽇登思 K.K.リバース 坂本⿇⾐
プロデューサー:髭野純  諸田創
ラインプロデューサー:鈴木徳至
制作プロダクション:コギトワークス
特別協⼒:下北沢映画祭実⾏委員会/下北沢商店連合会
製作幹事:アミューズ
配給:「街の上で」フィルムパートナーズ
配給協⼒:SPOTTED PRODUCTIONS
2019/日本/カラー/130分/ヨーロピアン・ビスタ/モノラル ©『街の上で』フィルムパートナーズ
■公式サイト https://machinouede.com/
■公式Twitter https://twitter.com/machinouede
■公式Instagram https://www.instagram.com/machinouede/

About the Author

クロダマサノブ

下北沢情報サイト【しもブロ】のキュレーターです、キュレーターってなんやねんって?下北沢のありとあらゆるモノをキュレーションしています。下北沢の街にたどり着いて25年、常に変化し続けるこの街のことを見続け、下北沢のイマを伝えています

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