2024年9月12日(木)から16日(月祝)までステージカフェ下北沢亭にて、片岡自動車工業『そして下北沢で我々は』が上演中です。片岡自動車工業というどこから見ても演劇ユニットとは思えない名前が印象的で以前から気になっていましたが、ついに観劇することができました。
〈STORY〉
将来の夢は絶対に舞台女優。
…でも怠けてしまう…。
っていうか何やったらええかわからへん。
知らんところのオーディション受けるのチョット怖い。
舞台は好き。
…でも演出家が怖い…。
それ以前に先輩たちのアドバイス意味わからへん。
主役らしいけどちゃんと出来るか自信がまるでない。
実家を飛び出し大都会に来てまで芝居やる意味、
すでに自分の中に出てた答えを見失って、やってきました下北沢。
これはアタシの成長譚。
『片岡自動車工業』というユニット名と、『そして下北沢で我々は』という下北沢のローカルメディアとしてはスルーすることができない公演タイトルだけで観劇を決めましたが、かなり衝撃的な作品でした。まず目を引いたのはその個性的でカラフルすぎるアートワーク、そして衣装。序盤はどうにもその衣装が気になってしまいましたが、ストーリーが進むにつれ当たり前のように馴染んでくる、こんな体験は初めてでした。
そして、面白いのは作品の構成、物語の展開が巧妙すぎて、、、。いつもこんな構成なのかと思ったら、そういうわけではないとか。新人のお披露目公演と題しているのに、新人にはヘヴィーな気もしましたが、そもそも誰が新人なのかカーテンコールまで気がつかないほど、しっかりと魅せてくれました。
演劇自体をモチーフにしており、どうやら実話ベースのストーリーも組み込まれている、よく見るとフライヤーに「documentary」と書かれています。元々大阪で活動していたこともあり、キャストは関西弁。そのあたりもフィクションとノンフィクションをより曖昧にさせてくれ、不思議な感覚にさせてくれる作品です。
演劇あるある的なネタが随所にちりばめられ、爆笑しつつも泣ける。ラストシーンに込められた演劇と下北沢にかける想いは、舞台のみならず客席も含めて一体となる、そんな感覚をハッキリと感じました。演劇好きなら誰もが全てのキャラを愛したくなる、そんな作品です。はい、完全に片岡自動車工業の世界感にはまってしまいました。
片岡自動車工業『そして下北沢で我々は』は、ステージカフェ下北沢亭にて9月16日(月祝)まで上演。土日、夕方の公演は終演後アフターイベントもあります。ああ、もう一回見たくなってきた、小ネタが多すぎて拾い切れてないんだよなぁ、、、。

[2024/09/15 追記]
昨日16時からの公演を、再び観劇しました。2回目ということもあり細かいところを観るつもりでしたが、気がづいたら一つ一つの台詞に聞き入っていました。こんなに台詞に集中したことは初めてで、それはラストシーンまで続き、自分でも信じられないくらい潔い涙が頬を伝っていました。本がいい、とてもとても本がよい作品、片岡さんの素晴らしさをしっかりと感じることができました。
劇団の役者という設定であり演劇に関わる皆さんはもちろん、下北沢という街で何かにチャレンジしている誰にも共通している話であり、そういう意味で自分自身の話ともつながることをたくさん感じました。役者の同期三人、それぞれの想いが刺さり続ける80分間、だからこそあのラストシーンが成立するのでしょう。

この回の公演はアフタートークならぬ、アフターイベントというか短編が上演されたわけですが、2日前に台本が配られたばかりとは思えない、いやある意味だからこそさらにリアルな雰囲気の中で演じられたのかもしれません。確かにアレは気になるし、そんな人は見たことないからなぁ、、、。写真撮影可能でしたが、結局こっちも見入っていて終わってからしか撮れませんでした。
初日に見た際、雨あられ演じる川嶋芙優さんのお芝居がとても印象的で、どうにも言葉にしがたい存在感を感じていたわけですが、それは現実なのか演じているのかがわからないくらいリアルだったのだと気がつきました。いや、演じてるんですよ役者さんだから。でもなんだかその先に行っている気がして、、、。やっぱ、言葉にするのは難しい。たぶん演じた役と台詞が大きいとは思いますが、それだけにこれからも彼女のお芝居を見続けたいと思います、推します。
片岡自動車工業『そして下北沢で我々は』は、ステージカフェ下北沢亭にて9月16日(月祝)まで、あと3回の上演です。まだ予約できる回もありますし、15日16時の回は満席ですが13時の回は当日券も出ますのでぜひ! 下北沢の街で何かにチャレンジしている、そんなあなたに観ていただきたい作品です。
そして、ここからはおまけの話。
『そして下北沢で我々は』を観ようと思ったのは、しもブロのXを袋小路林檎さんがフォローしてくれたからなのですが、そもそも片岡自動車工業という演劇ユニットを知ったのは美津乃あわさんがきっかけだったりします。
というのも、以前に美津乃あわさんが立ち上げた演劇ユニットの作品を観劇しており、定期的に「美津乃あわのお知らせ」というメルマガが届くわけです。その中で初めて片岡自動車工業の名前を知りまして、なんかけったいな名前の団体の作品に出演するなぁ位に思っていました。が、そんな彼女が片岡自動車工業に所属することを知り、片岡自動車工業の名前が私の中に深く刻み込まれ、今回の公演を観劇するに至った訳です。あの時の公演は、スケジュールの都合で行けなかったんだよなぁ。
音楽の場合、イベントの対バンで新しいバンドやミュージシャンを知る事がありますが、演劇の場合は役者の繋がりで新しい団体や作品と出会うことがある。まさにそんなきっかけでしたが、片岡自動車工業の作品と出会うことができてよかったです。
片岡自動車工業 vol.11 新人お披露目ショートストーリー
『そして下北沢で我々は』
脚本・演出: 片岡百萬両
出演: 真壁愛、川嶋芙優、椎木ちなつ、美鈴、福澤音羽、袋小路林檎、美津乃あわ、片岡百萬両、前川ゆう(劇団鹿殺し)
劇場:ステージカフェ下北沢亭
上演日時:
9/12(木)15:00/19:00
9/13(金)19:00
9/14(土)13:00/16:00★
9/15(日)13:00/16:00★
9/16(月・祝)13:00
※受付、開場は開演の30分前より開始
★終演後アフターイベント
チケット料金:(全席指定、当日精算のみ)
前売 3300円
当日 3800円
※チケットの種類に関わらず、1ドリンク代500円別途必要
※ご観劇当日、受付にてお名前をおっしゃっていただき、チケット料金をお支払いください
※応援キャストのお名前は備考欄にご記入お願いいたします
チケット予約: Corich
照明・音響操作: 田村亮太
衣裳: 植田昇明(kasane)
宣伝美術: 片岡百萬両
演出助手: 真壁愛
スチール: booyon
ドキュメンタリー映像製作: なかやん(劇団タッタタ探検組合)
映像協力: ワルタン
制作: 藤元久美
協力: 劇団鹿殺し プロダクション芸学 他
主催・企画・製作: 片岡自動車工業
キャストの皆さんはみんな素晴らしいわけですが、とりわけ印象に残ったのは川嶋芙優さん。なんだろう、なんというか言葉にするのが難しい不思議な存在感を感じました。主宰の片岡さんは、そこにいるだけで笑えてしまう、いるよなーこういう主宰って、好きです。というわけで、本文にも書きましたが、片岡自動車工業の世界感に完全にはまってしまいました。来年10月も下北沢で公演があるようなので、楽しみです!