8/29(金)から9/7(日)、下北沢の本多劇場にて、京都の人気劇団「ヨーロッパ企画」の第33回公演『ビルのゲーツ』が上演される。TVやラジオ、CMや映画はもちろん、様々な自主企画など劇団とは思えないほど多方面で活躍するヨーロッパ企画。主宰代表の上田誠氏にお話を伺った。
―――ヨーロッパ企画のこと
■ヨーロッパ企画さんは、劇団では珍しく、本公演以外にたくさんのコンテンツがあっておどろきました!他の劇団にない特色ですね。どうしてこういうことになっていたのでしょうか!?
もともと演劇だけではなく、演劇以外にも興味のある人たちの集まりだったんです。モノづくりの好きな、気の合うひとらが集まった。当初「企画集団」という言い方をしたりもしてました。モノづくりを、舞台美術などのスタッフワークも含めて自分たちでやっていたんです。普通、東京だったりすると、音響照明などのスタッフワークや役者などそれぞれのプロが集まってセクショナルにすすめるのが基本なのでしょうが、京都ということもあって、そんなにすぐに頼める人が周りにいなかった、というのも言えると思います(笑) 例えるなら地方局のアナウンサーが、下調べ原稿書きナレーター全部やる!みたいな。なんでも自分たちでやるのが普通、のスタートでした。それにちょうどビデオカメラやインターネットの広まった時代と重なっていて・・劇団のDVDも自分たちで撮って編集して・・というのをわりと早い時期からやっていたと思います。たぶん僕らよりちょっと上の世代では難しかったチラシの入稿なども自分たちでできるようになった時代でした。
■地方性と時代・・そして演劇以外にも興味のある人が多かったんですね。
役者のプロとしてやっていこう!という人がたくさんいる劇団というよりは、絵も描けますとか、そういう人と積極的に一緒に・・役者の技術っていうのはだんだん積まれていきますけど、そもそもいろんなことに興味があるひと、気の合う人、趣味趣向の合う人と出会うことが大事だと思っていたので・・そうですね。
■演劇だけに特化した人じゃない人を積極的に採用したことが、独自の発展を遂げる第一歩だったのだな、と感じました!
■上田さんは、大学に入るまでは演劇活動をしていたのですか?
いえ、中学高校は・・ぼく理系なんですけど、パソコンのゲームなど、ひとりで作るものを主にやっていました。そしてたまたま演劇に出会って、大学には演劇をやるために入りました。
■その頃からプロは意識していた?
何かしらの作り手になりたいとは希望していて、劇作家なのか放送作家なのか・・何もわかりませんでしたが、そういう意気込みだけは持っていましたね。その後大学を卒業して、プロで、っていう自覚があったかは分からないですけどなんとなくみんな就職をせず演劇を続けていて・・丁度その頃映画化の話(『サマータイムマシン・ブルース』)があったり、会社にして、本格的に腰を据えてやっていこうという動きがあったりして・・プロでやっていこう、となったのはこのあたりからですね。
■会社化してる劇団さんって珍しいですよね!それは大きな転機ですね~~
そうですね~。いまだにでももともと、仲良しグループから始まって、構成メンバーもそんなに変わらず、場所ももともとぼくの実家のお菓子工場の空いている部屋をたまり場にしていて、今もそこを改装して使っていて移転もしていないので、意識としてはつながっているんですけど、やっぱり”こっからはプロで”という、切り替えていかないとという気持ちはみんなあったと思います。でも両方の風土がありますね、経営・商業的な部分と、インディーズでやっていたころの”これ面白いからやろうよ!”という部分。現在ネットに挙げてるいろいろな企画も、まだ経済的な見通しは立ってないけどとりあえず”これ面白いからやろうよ!”とスタートするものがほとんどです。それらが幸運にもTV番組になったりコンテンツになっていったりしています。
■ヨーロッパ企画らしさを大事にした結果こんなガラパゴス的な発展を遂げたのですね。
プロデュース公演とか、外部の作品に出る時には、やっぱり個人の作家演出家として、あるいは役者としてプロであることが求められるんです。でもそれだとヨーロッパ企画として普段やっていることはできないし、上には上がいる・・なので半ばあきらめて、劇団でモノを作る!と開き直ってます。
■”役者は役者だけに集中しなくてはいけない”、”外部の作品に積極的に関わっていかなくてはいけない”と言った考えではなく、自分たちに合った柔軟な考え方を貫いているのも、この現在の発展につながっているのだなと思いました。貴重なお話、ありがとうございました!
■それでは、最後にヨーロッパ企画第33回公演『ビルのゲーツ』について教えてください!
タイトルからしてこんな感じなんですけど・・(笑)ぼく、ビルの扉(ゲート)が好きで。サラリーマン風の人がビルの自動ドアに社員証をピッとこうしてかざして吸い込まれているのがすごくいいなぁと。で複数形なのでゲーツなんですけど。ゲートがたくさん出てくるお芝居です。
■ゲートがたくさん出てくるお芝居って・・・前代未聞ですね。気になります。
僕はいつも作品を作るとき、まずタイトルを考えて、そのあと仕掛を考えるんです。企画性コメディという言い方をしてますが。仕掛けを美術さんに話して舞台装置を作ってもらって、そのあとその仕掛けで役者さんたちにエチュード(即興劇)で動いてもらう。そうするとその場で起こる笑いがある。たくさん話し合い、バンドが曲を作るように、セッションのように作品を作っていきます。今回も、大きな仕掛けがありますよ!
■見どころを一言でいうと!?
仕掛けと、ゾロゾロ感でしょうか・・
■ゾロゾロ感(笑)
大人数がゾロゾロした劇です。あとはやはり今回も珍しい仕掛けを用意しているので、何が見られるのか!ていうところですね。あと本多劇場くらいの大きな劇場で仕掛けのあるコメディを上演すると、ものすごいバカバカしさが増す、ということに気づいて(笑)その辺も楽しみにしていただけたらと思います。
■楽しみにしてます!ありがとうございました!
ヨーロッパ企画第33回公演『ビルのゲーツ』
作・演出=上田誠
出演=石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力
/岡嶋秀昭 加藤啓 金丸慎太郎 吉川莉早
■東京公演 本多劇場
8/29(金) 19:00
8/30(土) 13:00 / 18:00★
8/31(日) 13:00
9/1(月) 19:00★
9/2(火) 休演日
9/3(水) 19:00★
9/4(木) 14:00★ / 19:00★
9/5(金) 19:00
9/6(土) 13:00 / 18:00★
9/7(日) 13:00
(開場は開演の30分前) ★印の回は出演者よる「おまけトークショー」あり
8/29(金)東京公演初日は来場者全員に“お土産”あり
前売4,500円/当日5,000円(全席指定・未就学児入場不可) 6/28(土)チケット発売
学生シート(前売のみ)3,500円(入場時要学生証提示)
サンライズオンライン http://sunrisetokyo.com(パソコン・携帯)
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:438-028) 0570-02-8810(発売日特電)
http://pia.jp/t/(パソコン・携帯)
e+(イ-プラス) http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
ローソンチケット 0570-000-407、0570-084-003(Lコード:37756)
本多劇場窓口(11:00~19:00・電話予約不可)
主催=ニッポン放送/ヨーロッパ企画/オポス
制作協力=サンライズプロモーション東京/ゴーチ・ブラザーズ
助成=文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
■託児サービス/8/31(日)13時、9/4(木)14時、9/7(日)13時のみ託児サービスがあります。 0歳、1歳のお子さまお一人につき2,000円、2歳以上のお子さまお一人につき1,000円の託児料をご負担ください。 お申し込み◆イベント託児・マザーズ 0120-788-222(10:00~12:00・13:00~17:00 土日祝休み) 各公演日の一週間前まで受け付けますが、定員になり次第締め切らせていただきます。お早めにご予約ください。
問=サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~19:00)