夏に刈り残されたツタの先端が、秋になったら自力で紅葉した。
健気だ。最後の力を振り絞っている。
いや、待てよ。
ひょっとして、自分が根元から切り離されていることに気付いていないのか?
それで、例年のとおり紅く色付いているのか?
そうだよなぁ。根元は塀の背面にあったもんなぁ。
ここは、代沢の一角。
何も知らずに、ツタは
(どうだい? 見事なもんだろ?)
と、紅色自慢をしている。
このツタに、本当のことを教えた方がいいのだろうか。
んんん…。
春になって、まだ気付かずに若葉を出していたら、その時に考えるとする。