[インタビュー]Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!にかける想い

3月13日(日)に開催されるライブサーキットイベント『Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!』。出演アーティストのラインナップを見てもただならぬこだわりが感じられます。このイベントにかける思いを知るべく、「Beat Happening!」の水口さんにお話を伺いました

 

あの「Beat Happening!」が下北沢でサーキットイベント「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」を開催する、その知らせを聞いて胸が高まる思いをしたのは私だけではないと思う。ライブが好きすぎで下北沢にたどり着いて18年、「Beat Happening!」と冠されたライブイベントに何度足を運んだのか数えきれない。

2015年11月24日、イベントの開催が発表されると同時に公式Twitterで出演アーティストが次々と発表される。そして、12月13日にはさらに期待のアーティスト名が発表、その中でもひときわ目を引いたのは「モーモールルギャバン」の名前。まさか下北沢のサーキットイベントで、彼らのライブを見ることができるとは思いもしなかった。

それにしてもラインナップに自分が好きなアーティストがあまりに多い。他のサーキットイベントとは明らかに違うラインナップ、そしてイベント公式サイトに高らかと掲げられたメッセージ。どうしても直接思いを確かめてみたくなり、「Beat Happening!」の水口さんにお話を伺いました。

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---まずは「Beat Happening!」について、いつ頃はじめられたイベントでしょうか

Beat Happening!水口浩志さん(以下、水口さん): 「Beat Happening!」は、はじめて10年弱くらいですね。ちなみに私の音楽イベントの人生としては、その前の年からはじまっていますね。イベントを行っているライブハウスは渋谷LUSH下北沢BASEMENT BARが中心です。通算開催回数は「Beat Happening!」になってからは1,500回を超えていて、その前身となる企画も含めると1,700回ほど開催しています。

2016/2/13 『Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!PreParty!』 BASEMENT BAR
2016/2/13 『Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!PreParty!』 BASEMENT BAR

---「Beat Happening!」をはじめられた10年前に比べ、ライブ事情は変わっているのでしょうか

水口さん: まず、ここ10年でライブハウスの集客は落ちていると思います。きっちりお客さんがついているイベントはもちろんありますが、全体的には落ちています。お客さんが減ったというのは、正直悔しいしもどかしい気分がありますね。(大規模な)フェスの影響は少なからずあると感じています。フェスみたいな大きな音楽イベントからライブハウスにお客さんが流れてくる仕組みがあればよかったのですが、お互いがなかなか上手く繋がらない状態で、それが残念なところでもあります。 そこをうまく繋ぐことができれば、もっと面白いグルーヴが生まれるはずなのですが、、、。

そして、お客さんがついているバンドが減っているということもありますね。「YouTubeの再生回数」=「ライブでの動員」、となってくれればよいのですが、そう簡単にはいかないのが現実です。

さらに、CDの売り上げが減っている事は事実ですが、そのことはライブの動員には影響が無いということが通説です。かつてのライブハウスの全盛の時代でも、メジャーでやれてて名前が売れているバンドとはいえ、ライブでの動員は伸びないことはよくある話でした。CDが売れない状況に甘んじてはいけない、1日1日が発信の場ですからライブハウスは。毎日違うバンドがライブをやっていて、違うお客さんが音楽を求めて来てくれる、その感覚を大切にしたいですね。

『Beat Happening!』

---それでは、「Beat Happening! 下北沢CIRCUIT PANIC!」の開催に至る経緯をお聞かせください

水口さん: 出演してくれるバンドは「Beat Happening!」のレギュラー陣が多く、その延長線上にこのサーキットイベントがあります。イベントを始めて10年目というタイミングもあり、サーキットイベントをやろうと考えていました。2015年夏頃から企画を組み始め、「下北沢にて’15」の翌日11月24日に開催をアナウンスしました。

---サーキットイベントを開催するのは通常のイベントに比べ、どの程度大変でしょうか

水口さん: もちろん、大変なのは大変なのですが、実働的な大変さよりもいろいろなライブハウスを借りて開催するので、主催者としてはちゃんとお客さんを入れなければならないというプレッシャーに晒されていますね。毎日ご飯がおいしく食べられないくらい緊張しています(笑)。

10年目の勝負ということもあり、様々な卒業生(「Beat Happening!」出演者)に声を掛けていますが、残念ながら出演してもらえなかったバンドもいます。とは言え、今のラインナップを見ても最高のメンツだと自負しています。

---公式サイトにアップされているメッセージを読み、このイベント開催に対する覚悟を感じました。想いを全て書き切っていますね

水口さん: だから敵が多いんですよね(苦笑)。でも、そういうスタンスでずっと続けてきたので隠してもしょうがないというか、バンドとも常にガチンコでやり合ってますからね。

「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」主催者メッセージ
「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」主催者メッセージ

---「Beat Happening!」というイベントを本当に大切にしていると感じます。それにしても、バンドに対する愛が凄いです

水口さん: ありがとうございます。私と直接話してもらえばいろいろわかってもらえるはずなんですけどね、、、。

---「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」に出演されるアーティストについて、どのような経緯で選ばれているのかお聞かせください

水口さん: 基本的には1回以上「Beat Happening!」に出て頂いているアーティストで選んでいます。例外は「toitoitoi」で彼らは「Beat Happening!」には出演していませんが、こんなに凄い歌を歌う男女デュオはいないと思い、特別枠として参加してもらっています。

「toitoitoi」
「toitoitoi」

アーティストにはこちらから声を掛けていることがほとんどですが、「水中、それは苦しい」や「つしまみれ」など自分たちから出たいと名乗り出てくれるアーティストもいます。あと、「明日、照らす(名古屋)」や「ANATAKIKOU(大阪)」「ガール椿(広島)」といった、東京でなかなか見る機会の無いバンドにも積極的に声を掛けました。

「つしまみれ」
「つしまみれ」
「ガール椿」
「ガール椿」

---それにしても、出演するアーティストのラインナップには驚かされました

水口さん: ど真ん中的なアーティストがあまり好きじゃないのかも知れませんね。ど真ん中にも直球を投げられるけど、自分たちなりの面白い勝負球を持っているアーティストばかりを集めました。ど真ん中に速い球を投げられるだけでは、お客さんにも飽きられてしまいますし面白みもない。直球だけでは勝負できない時代、もちろんそれも投げられるけど敢えて一癖も二癖もあるラインナップにしました。

---個人的に注目しているバンドが多く出演しますが、その中でも「ぽわん」は私にとってもイチオシのアーティストです

水口さん: 「ぽわん」に関しては、自分たちで動いて作るイベントが多いので、ブッキングでどうこうというバンドじゃないですね。ただ、サーキットでは自分たちで何ができるのかを持っているバンドが強い。その日のその時間をどうやって使うのかをきっちり理解している、そんなバンドだと思います。もう、何も伝えなくてもわかってくれているバンドですね。

「ぽわん」
「ぽわん」

---そして、「ベッド・イン」と「クリトリック・リス」という二組の存在によって、何かが起きそうな感覚を覚えます

水口さん: その2組に加えて、「リバーシブル吉岡」という神戸の方がいるのですが、「ベッド・イン」と「クリトリックリス」もリスペクトしている凄いアーティストです。この3組が揃うのが初めてなので、かなり面白いことが起きますよ。

「リバーシブル吉岡」
「リバーシブル吉岡」

---正直、出演アーティストに共通点が探せない感じです

水口さん: 実は、私自身が人として好きかどうかというのが大きくて、今回ラインナップしているアーティストは音楽はもちろんですが、人としても素晴らしいアーティストばかりです。

---そういえば、先日別のサーキットイベントで「ナードマグネット」を初めて観ましたが、フロアを自分たち色に染め上げてしまう凄いライブでした

水口さん: 今年自分の中で『ポップ』というテーマを掲げていて、自分たちの『ポップ』感覚を持ったバンドが今年は確実に来ると思っています。まさに彼らは『ポップ』なんです、それを意識してずっと続けてきたバンドなんです。やっと去年くらいからリスナーが求める『ポップ』感覚と、彼らが続けている『ポップ』感覚がシンクロしてきた感じがあって、今年それが「うわー!」と高まったときに新しいシーンが生まれる。彼らは今年台風の目だと思います。今回のイベントの中で、どのバンドも素晴らしいので甲乙付けてはいけないという意識は持ちつつも、「ナードマグネット」は最重要バンドと言えますね。

「ナードマグネット」
「ナードマグネット」

---『ポップ』さですか

水口さん: そういう意味では「ベッド・イン」についてもものすごく『ポップ』さを持ち合わせています。実際にライブを観てもらえば分かってもらえますが、本当に素晴らしいです。まさにプロフェッショナルだと思います。

『ベッド・イン』

---まだ、発表されていないアーティストもいらっしゃいますか

水口さん: いま、イベントのトップを飾る選手宣誓をやってくれる大物と交渉中です。これは直前に発表ですね、そのタイミングと同時にタイムテーブルを発表できればと考えています。

---「Beat Happening!」といえば本気の学割設定(1,000円引き)が特徴ですが、今回の「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」でも思いっきり設定されていますね

水口さん: 学割は対象は高校生以下に対して、1,500円引きの3,000円としています。チケットを買うタイミングで学生証を見せて頂ければ学割になります。学割をすることでたくさんのアーティストに出会わせたい。その子たちが大人になったときに一つでも多くの好きなバンドがいて、ライブハウスに通ってくれるようになればいいと考えています。高校生の皆さんはテストも終わっているタイミングですので、ぜひ来てもらいたいです。普段は見ないようなアーティストが見れると思いますからね、例えば「クリトリック・リス」とか。意外な出会いが生まれればいいなと考えています。

「クリトリック・リス」
「クリトリック・リス」

---下北沢は複数のサーキットイベントが開催されていますが、サーキットイベントが下北沢の音楽シーンに対して果たす役割についてどのようにお考えでしょうか

水口さん: まず言いたいことは、サーキットイベントも大事ですが、ライブハウスにとっては1日1日のブッキングでどこまで濃厚にやる事のほうが大切なことだと思います。サーキットイベントはどうしても心がざわついてしまいますからね。

サーキットイベント自体が増えすぎてしまうことは個人的にはあまり好きではないのですが、昨年いくつかのイベントに参加して、それぞれが意思が明確で面白いことをやっていることも事実です。特に「下北沢サウンドクルージング」と「下北沢にて」、そして「下北沢インディーファンクラブ」は下北沢のサーキットイベントの王様ですね。それぞれのイベントが歴史を持っているので、イベント自体にお客さんがついていると感じます。イベントを続けていかないと、お客さんの興味がついてきませんから。

その中でも「下北沢にて」については、企画しているTHEラブ人間メンバーとスタッフが信じられないくらい頑張っていて、それを目の当たりにして本当に凄いと感じます。今回の「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」でもTHEラブ人間のメンバーにわからないことをいろいろ聞いて、もはや特別顧問です。実際、今回のイベントでもCave-Beについて『 下北沢にて×Beat Happning』として開催しますので。

3月5日から3月13日にかけて開催される「下北沢にて'16番外編」。そのラストを飾るのが3月13日の『Beat Happning!にて』となります
3月5日から3月13日にかけて開催される「下北沢にて’16番外編」。そのラストを飾るのが3月13日の『Beat Happning!にて』となります

---最後に、「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」にかける意気込みをお聞かせください

水口さん: 未体験な音楽やキャラクター、バンドがたくさん見ることができるイベントですので、新しい音楽をキャッチするきっかけにしてもらいたいです。それをつかみに来れば絶対に満足させられる自信のある人ばかりなので、名前を知らないアーティストほど観てもらいたい。びっくりさせる自信しかありません。

一つでも多くの新しい音楽に出会って胸をドキドキさせたい、それがビートハプニングの『ハプニング』に込められた願いなので、皆さんの気持ちに一つでも多くの『ハプニング』を巻き起こしてもらえればと考えています。

---ありがとうございました

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「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」の話しはもちろん、下北沢のライブシーンやサーキットイベントの話しまでしっかりと話を伺うことができました。お話しの中でも、ひときわ盛り上がったのは出演するアーティストそれぞれに関する部分。多くのバンドの音楽を聞きライブを観る、そして直接対話をする。そんな「Beat Happening!」での積み重ねの上に、今回開催する「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」ラインナップが決まったことを知り感無量です。

「Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!」開催まであと2週間。タイムテーブルの発表を控え、気持ちは高まるばかりです。チケットは前売り4,500円(+1Drink500円)、高校生まではなんと1,500円引きの3000円(+1Drink500円)で購入できます! チケットは下北沢GARDEN及びBASEMENT BAR(学割チケットも販売中、要学生証)、e+(スマチケ対応)、そして枚数限定でメール予約も行っています(学割もOK、当日要学生証)。メール予約希望の方は、bhmenking@gmail.comまで「お名前」「お目当てのバンド名」を記載して送信してください ⇒ 関連情報

『Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!』フライヤー

『Beat Happening!下北沢CIRCUIT PANIC!』

[開催日時]2016年3月13日(日)開場:11:00/開演:12:30
[開催会場]下北沢GARDEN、BASEMENT BAR、THREE、Club251、Daisy Bar、Laguna、Cave-Be(計7箇所にて開催)
[価格]一般 前売:¥4,500(+1Drink¥500)予定/当日:未定|学割 前売:¥3,000(+1Drink¥500)予定/当日:未定
[チケット問い合わせ]BASEMENT BAR:03-5481-6366/GARDEN:03-3410-3431
*学割チケットはGARDENとBASEMENT BARのみで発売です。ご購入時に顔の分かる学生証が必要です。お気を付け下さい。
*開場&開演時間は変更になる可能性がございます。
*リストバンド受付の際にDrink代500円を頂きます。
*出演者は止むを得ずに変更になる事がございます。その際チケットも払い戻しは出来ません。ご了承下さい。
[公式サイト] http://bh-max.com/
[Beat Happening!Twitter] https://twitter.com/BH_MENKING