2019年劇団フルタ丸が下北沢に帰ってきた。これまで本公演を重ねてきた「劇」小劇場から「駅前劇場」に進出、数年劇団員の6名のみで挑んできた本公演で再び客演を迎える。
そんな劇団フルタ丸2019年本公演のタイトルは『朝のドラマ』。日本人なら誰もが知っているあのドラマをテーマとし、今年の本公演に挑む劇団フルタ丸代表フルタジュンに話を聞いた。
-STORY-
新しく始まった朝ドラは、ナツコの人生に似ていた。
いや、どう考えても似過ぎていた。
主人公を取り巻く人間関係、エピソード、あらゆるものが酷似している。
出来すぎた偶然なのか、とても気味が悪い。
自分のしがない一生が全国民に見られているようで落ち着かない。
大いに混乱するナツコだったが、次第に“自分”のドラマへと没入してゆく……。
明るくもなく、前向きでもなく、歴史も動かさない
ヒロインによる朝ドラ・リアリティーショー。
---今回のタイトルは『朝のドラマ』とのことで、まさに毎朝15分間やっているドラマのお話ですよね?
フルタジュン(劇団フルタ丸代表): はい、そうですね
---作品のSTORYに「朝ドラリアリティーショー」とありますが、どのようなお話なのでしょうか?
フルタ: 僕なりに大事にしたいことは、日常生活とドラマと言われる物語、それがお互いにどのように作用するのか、それを具体化したいということです。この説明だけですと、ふわっとした感覚でわかりにくいですが
---自分の生活に、物語がどのように影響を与えるのかということですね
フルタ: 朝ドラはもちろんですが映画や小説、歌なんかもそうですが、自分にはまった作品ってありますよね。どうしてこの歌は自分の気持ちを語っているのだろうという感じに。その表現者が創ったモノと自分がイコールになってしまう、そしてその作品が自分の生活に作用しはじめてしまう。全ての物語や表現と、それに接する人間の日常的な作用について物語にしたいと考えました。そして、表現として朝ドラがこの作品のメインとなります
---そんな今回の本公演ですが、久しぶりに客演を迎えることになります
フルタ: 客演のみなさんを迎え入れた上で、今まで以上にやらなければいけないことがありますね。客演を含めた10人みんなで創る作品ではありますが、メンバーの6人が客演の4人を迎えているという意識を持つようにしています。以前に客演を迎えて本公演を行っていた頃に比べても、ハッキリしましたね
---その客演の皆さんについて伺いますが、二ノ宮ゆいさんがダントツで若いですよね?
フルタ: 現役の女子高生ですね、17歳の高校三年生です。そんな若い子がフルタ丸の現場にいることはなかったですね
---若干、娘がいるような感覚になったりしませんか?
フルタ: 近しきものはあるのですがやはり普通の17歳とは違っていて、他にもお仕事をされているので、びっくりするほどちゃんとしていますね
---リレーブログの二ノ宮さん紹介でも書かれていますが、声優としてもお仕事されてますからね。続いて、大勝さんについてお願いします
フルタ: 大勝さんは最もフルタ丸に出ていただいている客演さんで、信頼している女優の一人ですね。振り付けのお仕事など幅広く活躍されていて、客演を入れようと決めた際に真っ先に名前が挙がりました。安心ですね、安心の大勝さんです
---大勝さんはとにかく存在感が強烈ですよね、昨年の本公演は日替わりゲストで出演されていて、私も観ていたのですが全てをかっさらってしまいました、、、。次に、西川さんについてどうぞ
フルタ: 西川さんも、昨年の本公演のゲストの一人でとても達者な方です。フルタ丸の作品に凄くマッチする芝居の温度感で、メンバーと話し合いフルタ丸の作品にとても合うだろうということでお願いしました
---芝居の温度感がマッチする、それは何よりも重要なことですよね。昨年の本公演では西川さんを観ることができなかったのでとても楽しみです。最後に、安堂さんについてお願いします
フルタ: フルタ丸以外では何度かご一緒させていただいているのですが、普段はナレーションやMCを中心に、舞台や映像でも活躍されている方です。見た目も華やかな出で立ちの方です
---安堂さんについてはプロデュース公演でお芝居を何回か観ましたが、満を持してフルタ丸の本公演に登場ですね。本当に楽しみな4人の客演のみなさんが、今回の作品に参加されると改めて実感しました
---続いて会場となる「駅前劇場」について。前回下北沢での本公演は「劇」小劇場でしたが、今回の本公演は「駅前劇場」での上演となります。下北沢における劇場双六を一つ進むわけですが、その点についてどのようにお考えでしょうか?
フルタ: 稽古がはじまる前までは、実際そのことを考えていました。「劇」小劇場などでやってきて、今回「駅前劇場」でやることが決まった時、劇団としてやるのは初めてだったのでテンションがグッと上がりましたね。でも、いざ制作に取りかかり始めたらそんなことよりも、「駅前劇場」でお芝居をつくる大変さを思い知ることになりました。
今までならこのくらいの演技で済んでいたのに届かない、劇場の横幅が広いので対角線で考えると後ろのお客さんからはさらに遠い。今まで近くで見ていた人たちに通じていた演技ともちがっていて、演技のサイズなど様々な点で影響が出ています。
---劇場が変わることによって、演技自体にも影響が出るわけですね。確かに、個人的には「劇」小劇場だと最前列で見るのが一番テンションが上がりますが、「駅前劇場」だと引いた場所から観てちょうどいい、そのくらいでないと全体が把握しずらい感覚があります
フルタ: 正直、後ろに行けば行くほど全体が見渡せますからね。先日、駅前劇場で観たのですが、一番後方の真ん中でしたがとても見やすかったですね。自由席なのでどこに座っていただくのはもちろん自由ですが
---広くなると様々な点で変化が必要とされる、様々なことを考える必要に迫られているというわけですね
フルタ: ここをなんとか乗り越えたいですね。悪戦苦闘していますが見つけたいですね、フルタ丸としての答えを
---すこし話がそれますが、このチラシの裏面に書かれている【「フルタ丸 胸に迫る あたたまる」 ひとりぼっちの夜を救う演劇を創作している劇団。】 というメッセージですが、これはいつ頃から書かれていたのでしょうか?
フルタ: 2年くらい前に、それまで使っていた「フルタ丸とは何か」という言葉を変えたタイミングから書かれていますね。自分自身が劇団の真ん中にいて17年、正直自分の劇団を客観的に観ることができない。なので、途中から入ってきたメンバーから言葉をもらって創ったメッセージですね
---【ひとりぼっちの夜を救う】 というメッセージが強烈で、実際にフルタ丸のお芝居を観た後に思うことはまさにこの感覚です。
話を戻しますが、フルタさんのリレーブログで序盤に大きく内容を変えたと書かれていました
フルタ: 修正しましたね、実際に読んでもらって上手くいっていない点を書き直して、まさに今お話しした劇団の理念にもう一度立ち返って作品を見つめ直したのが、自分なりの修正ポイントでした。もちろん最初はこれでいけると思っていたわけですが、実際に読んでもらうと上手くいかないなと。自分の中のブレがあったなと
---やはり声を出してもらうと、いろいろハッキリするわけですね。
そして、フライヤーの表面いわゆるキービジュアルについてですが、これは、、、「篠原さん」ですね
フルタ: ええ、「篠原さん」ですね(笑)。主人公というか、ナツコ役ですね、もう篠原しか写ってないですからね(笑)
---今までの本公演で、ここまでハッキリと主人公を押し出してくることはなかったですよね
フルタ: ここまでハッキリ出しているのは、初めてですね。先に写真を撮らなければいけなかったので、早々にメンバーに「篠原が主人公で写真を撮るから」と伝えました
---それにしても、なんとも言えない微妙な笑顔ですよね。笑顔なのに笑顔じゃない、なんだかじわじわくる、、、そして、裏面の写真も
フルタ: いい顔をしてますよね
---なんですかね、ちょっと怖いです。リアルを突き抜けた、リアル感をまとった無表情というか
フルタ: このナツコの裏面と表面の表情のギャップは、今回の作品の何かを物語っています
---さて、今回の物語のテーマとなる朝ドラですが、今放送中の朝ドラ「なつぞら」は、ご覧ですか?
フルタ: 実は5月15日から1週間くらい海外に行きまして、それまでは毎日観ていたのですが、そのタイミングで物理的に観れなくなったので録画に切り替えた結果、観れていないですね。朝ドラって生活の一部として機能しているので、ひとつ歯車が狂ってしまうと、という感じですね。もう一度そこから続きを観たいのですけど、、、
---ちなみに、今回の朝ドラについての評価は
フルタ: 面白いですね。僕の思う広瀬すずちゃんは、 女優さんとしてすごく綺麗ですけどモデルのような美女ではなくて、でもそれがあの主人公にはまっていて、僕は面白く観ていますね
---ずばり、朝ドラを書きたいですか?
フルタ: 書きたいですね。物語を書く人間として生活にいかに入り込んでいくのかが永遠のテーマで、みんなの生活に作用させられるモノをより多くに出したいとずっと思っていますから。朝ドラはその究極だと思うんです
---オンリーワンですよね
フルタ: そう、オンリーワンです。朝ドラのお約束ってあるじゃないですか、例えばナレーションだとか。そのお約束的な部分も、今回の作品の中でネタにしています
---それでは今まで見た朝ドラの中で、一番インパクトがあったのはどの作品でしょうか?
フルタ: 上京したときにやっていた「ちゅらさん」ですね。自分が大学で上京したタイミングではじまったので、 東京で慣れない生活をしながらずっと観ていました
---大学生なのにちゃんと朝起きてるというのは凄いですよね
フルタ: 「ちゅらさん」があったから、ちゃんと朝起きることができました。今思うとあの頃は精神的にも、朝ドラにお世話になっていましたね、毎日やっていたことも含めて
---そういう意味では演劇を始めた頃からのつきあいですか
フルタ: いや、演劇を始める前からですね
---そう考えると本当に長い付き合いで、まさに生活に入り込んでいるわけですね
---今回の本公演は学割設定がありますが、対象は?
フルタ: 学生さん全般ですね、大学生でも学生証を見せていただければ大丈夫です
---大学生も対象、これはぜひ大学で演劇をされている方や興味がある方にも観てもらいたいです
フルタ: 学割について0円にしている所もありますが、劇団の中で話し合って0円だと逆に行かないのではないかと。お金を払って観る、そしてそこから受け取るモノがある、そのことを考えて1500円という金額を設定しました。映画の学割価格と同じですね
---前売り価格が3800円に対して、学割は1500円ですからね。ぜひ、母校の明治大学の皆さんにも観てもらいたいです。最後に、このインタビューをご覧いただいている方にメッセージをお願いします
フルタ: いつもフルタ丸を観ていただいている方にもきていただきたいですが、しばらく見に来ていただけてない方にもぜひ観てもらいたいです。昨年は浅草でこれまでに比べて遠くなってしまいましたが、今年はホームグランドの下北沢ですので
---そうですね、ぜひ下北沢の皆さんにも観ていただきたいです。ありがとうございました、公演楽しみにしています!
劇団フルタ丸 2019年 本公演
「朝のドラマ」
作・演出: フルタジュン
出演:宮内勇輝・真帆・篠原友紀・工藤優太・清水洋介・フルタジュン(以上、劇団フルタ丸)
大勝かおり・安堂サオリ・二ノ宮ゆい/西川智宏(ラビット番長)
公演日時:
2019年7月3日(水)~7日(日)
7月3日(水)19:30
7月4日(木)14:00★/19:30
7月5日(金)19:30
7月6日(土)13:00/17:00
7月7日(日)13:00/17:00
※受付開始は開演の45分前・開場は開演の30分前
※★アフターイベント(短編「夜のドラマ」限定上演)
会場: 駅前劇場(世田谷区北沢2-11-8 TAROビル3F)03-3414-0019(公演期間のみ)
交通: 下北沢駅(小田急線「東口」徒歩3分、京王井の頭線「京王中央口」徒歩3分)
チケット料金:
前売3,800円 当日4,300円
学割1,500円(前売当日共通・要証明)
※日時指定・税込/全席自由
※未就学児の入場不可
※発売開始:5月12日(日)10:00
チケット取り扱い:
●カルテットオンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/asadra2019
●演劇パス
https://engeki.jp/pass/redirects/link/584
お問い合わせ:
●電話 080-4898-2002(フルタ丸)
●メール info@furutamaru.com
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公式サイト:https://furutamaru.com/portfolio/朝のドラマ/