「コミュニティシップ 下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社」 「コミュニティシップ 下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社」

「コミュティシップ ~下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社~」下北線路街がいかに誕生し、アタラシイ下北沢を創り出すのか

2022年4月27日(水)学芸出版社から、「コミュティシップ ~下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社~」が発売されました。

「コミュニティシップ 下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社」
「コミュニティシップ 下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社」

「下北線路街」の全貌と、地域住民が街と積極的に関わり・幸せになる関係「コミュニティシップ」の重要性をプロ ジェクトメンバーが明かします。開発コンセプトの立案から住民の声を聞き、顔が見える個店の誘致を積極的に進めるなど、持続可能性を重視する取り組みをご紹介します。また、下北線路街に関わる様々の立場のインタビューや有識者による寄稿など盛りだくさん。まちづくりに携わったことがない方にも、手に取っていただきやすいよう、具体的な事例を中心に構成しています。
編著: 小田急電鉄株式会社 エリア事業創造部 橋本 崇、向井 隆昭
監修: 吹田 良平
出版社: 学芸出版社
価格: 2,860円(税込)
ISBN: 978-4-7615-2815-7
発売日: 2022年4月27日(水)
体裁: A5・224頁
装丁: テンテツキ・金子英夫
出版社による紹介ページ

小田急線の東北沢駅から世田谷代田駅の間が地下化され、その線路跡地に生まれた全長1.7kmに及ぶ「下北線路街」。その「下北線路街」のプロジェクトがどのような経緯で生まれ、下北沢という街でどのように開発が進められ、そして全長1.7kmにわたる全ての区画が完成に至ったのか。カタカナで表記する「シモキタ」に込めた想いとは何なのか、そして、この書籍のタイトルでもある「コミュニティシップ」とは。

小田急電鉄株式会社エリア事業創造部の橋本さんそして向井さんが、下北沢エリアに向き合った様々な思い、そしてその経験が今後様々な街づくりに活かすことができるよう、識者のコミュニティシップ論と共に実践可能な形でまとめられています。下北線路街がどのように誕生したのか知りたい方はもちろん、全国で街づくりに関わるデベロッパーの方々にとって、大きな気づきが得られる一冊です。

「コミュティシップ」目次
「コミュティシップ」目次
「コミュティシップ」目次
「コミュティシップ」目次

この本を読んで改めて感じたのは、下北沢の価値はこの街にいる様々な人たちによって作られているという事実。そして、小田急電鉄が下北沢周辺の線路跡地の開発を行うにあたり、下北沢に関わる人たちとの対話を何よりも重視し、これまでとは全く逆方向のアプローチで開発を進めたこと。文字にしてしまうとあまり難しく感じられないかもしれませんが、その進め方がいかに大変なことであり、結果として今までになかった価値を下北沢に生み出すことができたのか、この本を通して知ることができます。

そして、下北線路街の開発にとって外すことができないのは世田谷区との関係性。私自身、北沢PR戦略会議やそれ以前から行われてきたワークショップに参加してきましたが、小田急線跡地に区が整備した緑道はもちろんのこと、地域の住民と小田急電鉄をつなぐ役割を果たしたことが、下北線路街の価値をとても大きなモノにしてくれたと改めて感じました。

「コミュニティシップ」第一章より
「コミュニティシップ」第一章より

2016年、下北線路街の最も西側となる「リージア代田テラス」の開業にはじまり、2019年の「世田谷代田キャンパス」「下北線路街 空き地」「シモキタエキウエ」と続々と下北線路街の施設が開業しましたが、このプロジェクトが今までにないものだとはっきり感じたのは、2020年4月に開業した「BONUS TRACK」です。

店舗住居一体型のSOHO棟や「本屋 B&B」に「発酵デパートメント」、お店の個性の豊かさでは下北沢という街は日本でもトップクラスだと考えていましたが、そんな私にとっても心からワクワクするお店ばかりでした。あの時期は商業施設が開業するタイミングとしては非常に難しかったと思いますが、混乱した社会状況の中でも焦らずマイペースに日々を積み重ね、「BONUS TRACK」は下北線路街で最も注目されるスポットとなっています。

下北線路街にとって、土管のある広場「空き地」を暫定的とはいえオープンしたことも、大きな価値になったと言えるでしょう
下北線路街にとって、土管のある広場「空き地」を暫定的とはいえオープンしたことも、大きな価値になったと言えるでしょう

それ以降も、世田谷代田寄りの温泉旅館「由縁別邸 代田」や、下北沢駅と東北沢駅間の洗練されたお店ばかりの商業施設「reload」、全室にレコードプレイヤーが完備されている「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」と、これまた他では見られないような施設が続々と開業しました。

そして2022年5月末には下北沢駅南西口前に「NANSEI PLUS」の全ての施設が開業し、下北線路街が全面開業します。「NANSEI PLUS」には複数の飲食店やミニシアター、シェアオフィス・ラウンジなど様々な施設がありますが、最後に完成するのが下北線路街の緑を整備し続けてきた「シモキタ園芸部 ののこや」と広場「ののはら」であり、アートギャラリー「SRR Project Space」というのが下北線路街というプロジェクトのユニークさを物語っています。

これら下北線路街のそれぞれ施設ができた背景についても、地域の方々や下北線路街に関わった方々へのインタビューを通して知ることができます。編著者である小田急電鉄の橋本さんと向井さん、そして監修を担当した吹田さんからの書籍紹介動画がありますので、こちらもぜひご覧ください。

そして、5月19日(木)20時から下北線路街・BONUS TRACK「本屋 B&B」にて、『橋本崇×向井隆昭×吹田良平「街とデベロッパーの新しい関係づくり」『コミュニティシップ :下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社』(学芸出版社)刊行記念』が開催されます。現地及びオンライン配信でも参加することができるイベントですので、下北線路街について深く知りたい方はぜひご参加ください。

[追記]
5月19日に『本屋B&B』で開催されたイベントに参加しました。

下北線路街・BONUS TRACKにある本屋B&Bへ
下北線路街・BONUS TRACKにある本屋B&Bへ
もちろん「コミュティシップ ~下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社~」も販売されています
よく考えたら、BONUS TRACKに移転してから初めて店内でのイベントに参加しました
よく考えたら、BONUS TRACKに移転してから初めて店内でのイベントに参加しました

編著者を務めた小田急電鉄の橋本さんと向井さん、そして監修を務めた吹田さん、さらに後半はBONUS TRACKを運営する散歩社の小野さんの4人が下北線路街を語る2時間。徹底的に地域のことを調べ、そして地域の人との対話を重ねた上で、社内での調整を図る。小田急電鉄は大きな会社だけに、下北線路街のようなプロジェクトを動かすことの大変さを実感しました。

よく考えたら、本屋B&BがBONUS TRACKに移転してから参加する初めての現地イベントでした。移転オープンしたのが2020年4月でそれ以降は配信限定のイベントばかり、お客さんを迎えてのイベントはつい最近再開したばかりです。小田急線が走っていた跡地に生まれた下北線路街のBONUS TRACKで、下北線路街について語るのは本当に感慨深いです。

B&BはBOOK&BEER、ビールを飲みながらイベントに参加。山椒を使ったビール、スパイシーで美味しかったー
B&BはBOOK&BEER、ビールを飲みながらイベントに参加。山椒を使ったビール、スパイシーで美味しかったー

改めて、2022年5月28日に「NANSEI PLUS」が完成し、下北線路街は全面開業を迎えます。しかし、それは下北線路街の施設=ハードが完成することを意味し、下北線路街を利用する=ソフト面はまだスタートしたばかりです。

すでに人気スポットとなっている「BONUS TRACK」や「reload」といった商業施設をはじめとして、宿泊施設の「由縁別邸 代田」と「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」、シェアオフィス・ラウンジの「( tefu )lounge」、さらには元気な子供たちを育む「世田谷代田 仁慈保幼園」や下北沢で学ぶ若者が集う「SHIMOKITA COLLEGE」といった教育施設など、下北線路街に人々が集い共に新たな価値を創り出すのはこれからです。その繋がりは下北線路街に止まらず下北沢の街や人、そして京王電鉄が井の頭線高架下に整備した「ミカン下北」へも拡がります。まさに、アタラシイ下北沢へのスタート地点に立ったと言えるでしょう。

「コミュティシップ ~下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社~」は、全国の書店やネット書店で絶賛販売中です。下北線路街のことを深く知りたい方、街づくりに関わる方にぜひ読んでいただきたい一冊です。

下北線路街・BONUS TRACKの『本屋B&B』以外に、なんとミカン下北の『TSUTAYA BOOKSTORE』にも置かれています! 
下北線路街・BONUS TRACKの『本屋B&B』以外に、なんとミカン下北の『TSUTAYA BOOKSTORE』にも置かれています!