*このコラムは【第3-1回『ぽわん』 ~ コラム:下北沢は通過点でかまわない】の続きです
2014年12月24日、この年のクリスマスイブは下北沢で素敵なイベントの取材をしていた。その取材を終え、夜遅くに自宅に帰る。その日は取材以外にも印象的な出来事があり、ブログを書いていた。そして、そのブログを書き終わり俺は異変に気づいた。そう、ぽわんというバンドに訪れた異変にだ。
「ぽわんより皆様にご報告」
そう書かれた、そう、とても静かに書かれた公式サイトのニュースに目を通す。Ba.の戸田らら美さんがぽわんから脱退する。その事実を知らせつつ、メンバーそれぞれのコメントが掲載されている。ああ、なんてことだ、まだ気になり始めて一ヶ月も経ってないバンドから、そのバンドを創り出したメンバーが脱退してしまう。その事実を、まともに受け止めることは難しい。
バンドは水物、ある意味複数の人間で構成される恋愛の複雑系みたいな存在なんだ。それだけに、メンバーが抜けたり、入ったり、そして時には解散したり、そんなことは当然のことだと思っていたし、必然なことだと考えていた。でも、自分が好きになりかけているバンドにまさかそんなことが起きてしまうとは、思いもしなかった。
とても、とても衝撃的なニュースを今知ってしまった、、、まじかよ、かんべんしてくれよ、、、今のメンバーのライブが見たかったのに、、、
— 廣田西五◆ぽいずん (@ymkx) 2014, 12月 24
無理だ、今この文章を書きながらこの事実は受け入れられない。とりあえず、今聞いいている、この曲は聞き続ける — 廣田西五◆ぽいずん (@ymkx) 2014, 12月 24
たぶん、ぽわんの曲を聴いていたのだと思う。それだけにショックは大きい。そして、その時のメンバーでのライブで見るチャンスは既に自分には無かった。色々なことを捨てることによって、ライブに行くことは可能だった。正直、今現在のぽわんに対する思いを考えれば、何に替えても行くべきだった。でも、結果的にそのライブに行くことはできず、ぽわんから彼女は脱退してしまった。俺は彼女の何も知ることができず、手の届かないところに行ってしまった。
そして2015年、ぽわんの動きは速かった。1月2日にはこんなツイートをしている。
【急募】 ぽわんに加入したい女の子(ベース弾ける方優遇) 貧乳巨乳どちらでも可 powann.powann.powann@gmail.comに自己PRメールくださいっ♥
— ぽわん◆公式 (@powann_info) 2015, 1月 2
早くも新メンバーの募集を開始、さらに同日にはこんなツイートも。
【ぽわん新メンバー募集について】 大変恐縮なのですが、予想を大きく上回りまして、なんと50人以上ご応募いただいたので、只今をもって一度締め切らせて頂きます!沢山のご応募ありがとうございました(*^_^*)★★きっと素敵なメンバーが決まると思うので楽しみにしていてください♪ — ぽわん◆公式 (@powann_info) 2015, 1月 2
なんと、1日で50人以上の応募があったとのこと。さらに、3月末まではタカユキカトー氏をサポートベースに迎えライブを行い、さらにNEW EPを出すことも発表された。メンバー脱退、その事実を振り切るかの勢い、やはりこのバンドはただ者では無いと感じる。 そして、「下北沢にて’14」後初となるぽわんのライブが行われる1月21日を迎えた。 Shelter3ヶ月連続ライブの1回目、対バンは『LUI FRONTiC 赤羽JAPAN』に『チリヌルヲワカ』、オープニングアクトは『ぱいぱいでか美』というラインナップ。【下北沢にて’14】ではほとんど何も見れていなかったに等しかったため、実質ぽわんのライブを初めて見ることに。
新曲の「BED ON>>>>>>MUSIC」にはじまり、MVで見まくっていた「かわいいっていわないと呪う」と「サイダーの泡、恋模様」、2ndアルバム『BLUE』に入っている「しょおなんのかぜ」、ラストはこれまたライブ映像をYouTubeで何度も見ていた「シャンパンチラリズム」。あのライブ映像で見ていた世界がそのまま目の前で繰り広げられていることに、これまでにライブでは経験したことがないような衝撃を受けてしまった。アンコールで「さよならアイドル」をやったみたいだけど、全く記憶に残っていない。
とにもかくにも、モエさんのボーカルにやられてしまいました。そして、ミサキさんのコーラスとの高低差によって生み出されるギャップが半端ない。さらに、2人ともカワイイ、、、全く違うタイプのカワイさ。そして女装ドラマーであるマツコのドラムは、とても自由なのにちゃんとしていてこれまた意外。自分にとっての、ぽわんの実質初ライブで受けた印象はまさに『恋に落ちた感覚』、一発でこのバンドに惚れてしまいました。そして、その場で2月20日のライブに行くことも決めました。 2月20日Shelter、Key.のミサキさんのお誕生日でもあり、ぽわんファン一同から花が贈られていた。そして、この日は3月に発売となるNew EPの試聴会も転換中に行われました。ライブでは聞きたかった「下北バンドマンと女子高生の夜」を聞けたので大満足。あと、ミサキちゃんDJ風MCに吹いた。そして物販で「Tシャツ」と「セーラー服を着させて e.p」をゲット。物販列が全然無くならないんだよ、すげーよ! そして、3月11日にはNew EP「MUSIC>>>>>>BED e.p」が発売。下北沢のヴィレッジヴァンガードでコーナーが作られていたのでゲット。3月19日にはインストアライブが行われるみたいで、その特典会にも参加できるみたい。 次のライブは3月20日のShelterの予定だったけど、3月17日から仕事で京都に行く事になっていたので、急遽前のりして3月16日の京都nanoへ。ぽわんは大阪・神戸・広島・福岡・熊本・名古屋と連続ツアーのラスト。京都nanoは名前の通りナノサイズでアットホームなハコ、折角なので前の方で見てみた。そういえば、2月のShelterで見たファンが何人もいる、遠征しているのか? まあ、自分もそうなんだけどね。
この日のライブは猛烈に印象に残っている。8日間にわたるツアーだということもあり、かなり疲れていることもあったと思うけど、モエさんの見せる表情がとにかく凄かった。フロアに対する煽り方も下北沢のライブよりも荒々しい。なんというか、ぽわんというバンドの底力を感じられるライブでした。 そして、3月19日。出張を終え京都から直接下北沢、ヴィレッジヴァンガード下北沢店でのインストアイベントへ。ライブは2曲のみで、トークが中心。ライブでは感じることができないぽわんの魅力を存分に感じることができた、モエさんはカワイイだけじゃなくてカッコイイ。人生初のチェキも撮りました、まさかこの年になって20代のカワイイ女のコとチェキを撮ることになるとは、、、。 翌3月20日のShelter、ぽわんは今回のツアーファイナル、そしてシェルター3ヶ月連続企画のラストを飾るライブです。対バンは『日向文』そして『バンドじゃないもん!』、これはぽわんにとっては大きなチャレンジでした。トップバッターの『日向文』がアコースティックでメロウなライブを終え、フロアは一気に動き出す。そう、今回のスペシャルゲストの『バンドじゃないもん!』のファンがフロア前方に移動。そして、アクトがはじまる、初めて見た『バンドじゃないもん!』は圧巻。ステージはもちろん、それに呼応するフロアも含めて圧巻のライブでした。
そして、『ぽわん』のライブがはじまる。バンドじゃないもん!のファンも『ぽわん』のライブがどんなのものなのか様子をうかがうべくステージを見つめる。「BED ON>>>>>>MUSIC」にはじまり、今回発売された【MUSIC>>>>>>BED e.p】のリードトラック「ジェイポップ大崩壊」に進む。前方に詰めかけたぽわんファンは大盛り上がり。が、なぜかフロア中程に構える『バンドじゃないもん!』のファンはそれを上回るような盛り上がりだ、盛り上がってるフロア全体が盛り上がっている! MCをはさんで3曲目は「ゆうぇす感」、ここでフロアはクールダウン、そして『ぽわん』ファンなら誰もが来ると確信していた4曲目「ネオンタウン」。ぽわんは今日のシェルターで自分たちのライブを創りだそうとしている、そんな曲順でライブは後半戦へ。
5曲目はなにか、このまま定番の「かわいいって言わないと呪う」に入るかそれとも、、、とおもいきや、ぽわんの魅力をゆっくりしっかり刻みこむ曲「サイダーの泡、恋模様」をシェルターに響かせた。そう、バンドなんだよ『ぽわん』は、そうシェルターにいるみんなに伝えてくれたんだ。これで、完全にハコはぽわんのものだ。一気に「かわいいって言わないと呪う」に飛び込み、フロア全員に向かって『かわいい』コールを要求する。そうだ、いつものぽわんだ、いつものぽわんのライブだ、モエさんの目は完全に戦士のそれになっていた。そして、ラストは「シャンパンチラリズム」。もう、ここまで来るとフロアは完全にぽわんのもの。みんながみんな、盛り上がる。なんて素敵な空間なんだろう。マツコはフロアに躊躇なく飛び降り、ミサキちゃんは可愛い衣装を脱ぎ捨て、クラウドへダイブする。この場で、どのくらいの人がぽわんのことを好きになっただろうか。ぽわんは、このライブ=死闘を戦い抜き、自らのツアーを締めくくることができた。
もう、文句なしにぽわんというバンドを好きになってしまった、そんなライブとして自分の中ではとても印象に残ったアクトでした。
年明けすぐにはじまったぽわんの新メンバー募集、1月8日に応募を締め切り、2月に入って新メンバーの存在が明らかにされ、2名がぽわんに加入することが発表される。パートはベースとギター、4月からのぽわんは5人のメンバーで再スタートを切ることになる、はずだった、、、。4月1日の新メンバーお披露目ワンマンまであと1週間というタイミングで、新メンバーのうちの1人がぽわんに参加することができなくなってしまったのだ。
そして迎えた4月1日新宿Motion。前半は現行3人のメンバーが登場しトーク&オークションコーナー。過去に使ったステージ衣装をオークションし、その売り上げを全国を移動するための車の頭金にするとのこと。大盛り上がりのオークションも終わり、いよいよ新メンバーが発表された。新ベーシストとして加入したのはマリナさん、団地妻担当という言葉がしっくりくる大人の雰囲気、美しく力強いベースを弾く印象を漂わせている。
ついに、新メンバーを加え4人編成となったぽわんのワンマンライブが始まる。「セーラー服を着させて」に始まり、ベースが極めて重要な「一夏恋」、そして「サイダーの泡、恋模様」、ニューアレンジでのお披露目となった「Kiss-My-Hoppe2」と続く。最初は緊張感が漂う演奏だったけど、ベースの腕は確かであり、ぽわんに新しい風を吹き込む事を確信できた。そして、ライブは終盤「シャンパンチラリズム」そしてラストには「かわいいっていわないと呪う」と続き、アンコールではファズミサキによるデスメタル的な「鳩ぽっぽ」でフロアの度肝を抜くパフォーマンスを見せ、この日のライブを終えた。
え? ファズミサキ? そう、ぽわんはこのライブ中にメンバー名の改名を発表した。Vo,Gtのヨシヤマモエは「メイビーモエ」、keyの神永ミサキは「ファズミサキ」、Baのマリナは「マリナティシャン」、Drのマツナリナオキは「舘 松子莉(たち まつこり)」へそれぞれ改名。翌日の4月2日には改名パーティーを開催、その模様をUstreamすることも併せて発表された。
さらにニュースは続く、7月には新メンバーによるニューアルバムのリリース、そして7月25日には渋谷WWWにてぽわん企画イベント【渋谷フレンズ Vol.01】の開催を発表した。
あまりにたくさんの重大なニュースがあふれたこの日のイベント。ライブアクトとしては、5人のはずだったライブが4人になったことは言葉で表せない大変な事態だったと思う。しかし、その難局をぽわんは4人で乗り切った。新ベースを加えた新生ぽわんが、この日からはじまった。
そうそう、4月2日の改名パーティー内でぽわんファンは「ぽいずん」と呼ばれることとなりました。俺も「ぽいずん」になりました。
4月17日下北沢DaisyBar、下北沢ではShelterでしか見ていなかったぽわんのライブを初めて別のハコで。今回はマリナティシャンに注目、彼女のベースはとにかく弾きっぷりがカッコイイ、なんというかベースのことを単なる楽器と思っていないような、うまく言葉にできないけどベースも含めて自分自身なんだ(書いている自分でも意味がよく分からない)。
そして、ぽわんは4月1日のお披露目ライブとは明らかに違っていた。マリナティシャンがぽわんメンバーとして馴染んできたというわけではなく、4人のぽわんとして進化していると感じました。メイビーモエはマリナティシャンのことを単なるベースのメンバーだなんて考えていない、マリナティシャンがいるからこそ到達できるであろうぽわんを創り出そうとしているんだ。
この日は3つの新曲が披露されました、「でゅんでゅんTHEわーるど」「チェリーボーイ 」「女の子と男の子」どれも後に発売されるアルバムに収録される曲だが、それぞれ個性の強い曲だ。その中でも一つ触れておくとすれば「チェリーボーイ」だろう、この曲はメイビーモエだからこそ成立するそんな彼女のヴォーカルの可能性を追求した曲だった。
そんなDaisy Barでのライブを終えた後、ぽわんからビックニュースがもたらされる。
【ぽわん、まさかのコースト進出😭✨】 6/10@新木場スタジオコースト 「clubEARTH 9th Anniversary」 前売4800円(D別) 出演:ぽわん/deronderonderon/Goghst+magic love http://t.co/QLnDETYIoK
— ぽわん◆公式 (@powann_info) 2015, 4月 17
新木場STUDIO COAST、キャパシティはスタンディングで2400人を超える、そんな広大なハコでのライブが決定したのだ。そして、この時はまだ発表されていないが、とんでもないバンドが対バンとして登場する事実を「ぽいずん」(ぽわんファンの愛称)は知る由もなかった。
4月30日タワーレコード新宿店インストア、内容は『MUSIC>>>>>>BED e.p』発売記念 ミニライブ&チェキ撮影会。この時期はかなり大変なことが続いており、気分転換のつもりで行ったら気分転換どころか、その盛り上がりっぷりにいろいろなことが吹き飛んでしまった。ぽわんはどんなイベントだって本気で挑んでくる、そんなことを確認できました。
ちなみに、マリナティシャンはこの衣装が無い時期だったので、なぜか白衣を着て登場。参加していた「ぽいずん」はもちろんのこと、その場に居あわせた観客を惑わせる実力行使に出てきた。やばい、やはりこの人はただ者じゃない。
1週間後の5月7日、再び下北沢Shelter、この日は「藤岡みなみ&ザ・モローンズ」の企画に出演。この日は「シャンパンチラリズム」から始まるという挑戦的な曲順、自分がライブに通い始めてから「シャンパンチラリズム」はラストに近いところでやるイメージがあったので、よりそのように感じられました。ぽわんは2バンド目、1バンド目が作りだしたとてもステキな雰囲気をいい意味で吹き飛ばした攻めの1曲といえるでしょう。その後も「We are the idol」「でゅんでゅんTHEわーるど」「かわいいっていわないと呪う」「サイダーの泡、恋模様」と全力総攻撃のようなセットリストでした。
この日のライブは本当に凄い勢いで始まり、そのまま一気に駆け抜けた印象。しかし、ラストにサイダーを持ってきている辺りに、メイビーモエの『ぽわんはこんな曲もあるんだ!!』という強い主張を受け止めました。この時期は連日最高気温が25℃を超えており、ついにこの曲の季節がきたなぁと実感しましたね。そして、マリナティシャンの存在感がライブを追うごとに増しており、ベースを唸らせフロアに睨みをきかせてくる、なんだこの威圧感は、、、。ぽわんはこのベーシストを加えて、確実にパワーアップしてる!
5月13日渋谷チェルシーホテル、この日は無料ライブということもあり混雑を予想していたけどそれほどでもなく、しかしそんなところでもファズミサキは躊躇なく飛び込んできたので、支えるのに必死でした。ええ、あのYouTubeをチェックした人なら分かるあのシーンです。そして、この日もBa.のマリナティシャンをじっくり観察、本当にマリナティシャンはベースが似合う、ベースが似合うというよりはベースってこの人のために生まれた楽器なんじゃないか思ってしまうレベル。カワイイというよりはキレイな方ですが、曲の中程でまっすぐフロアの中央を見つめ、ブツブツつぶやきながらフロア中央に迫ってくる時の迫力たるや、、、。
5月15日、7月に発売されるアルバムの詳細が発表された。
<ボーイ・ミーツ・マイナーガール 収録曲> 1マイナーガール 2でゅんでゅんTHEわーるど 3チェリーボーイ 4Kiss-My-Hoppe2 5女の子と男の子(もえちゃんとくぼたせんぱいver) 6シャンパンチラリズム’15 7みずいろfeat.クボタマサヒコ btお話しようよ
— ぽわん◆公式 (@powann_info) 2015, 5月 15
え? 『ボーイ・ミーツ・マイナーガール』?? なんとも、ぽいずんのみんなの心をくすぐるタイトルだ。新曲が5曲、ニューアレンジ2曲、松子莉1曲。1曲目に入っている「マイナーガール」、この曲にかけるメイビーモエの想いはこの時点で明らかにされていない。
5月18日、この日はぽわんではなくメイビーモエの弾き語り。彼女のヴォーカリストとしての魅力を思う存分堪能。自分が今までの人生の中で出会った最も魅力的な声を持つミュージシャン、そのことを改めて確認できました。
1人でステージにいるときのメイビーモエは、ぽわんとしてステージにいるときと決定的に雰囲気が違う。バンドとしてそこにいる彼女は強烈なオーラをまといフロアに対して全開で挑んでくる。それに対して、弾き語りの時の彼女はちょっとした緊張感とあたたかさ、そして歌詞に精一杯の想いを詰め込んで聞かせてくれる。声はもちろんステキだけど、彼女がつくりだす世界、それが好きなんだと感じることができます。
5月30日、『Shimokitazawa SOUND CRUISING 2015』、下北沢周辺12のライブハウスに120のアーティストが出演するライブサーキットイベント。ぽわんは2014年6月にできたばかりのライブハウス「下北沢WAVER」のトップバッター。フロア前方はいつもぽわんを見ている人たち、しかし中程以降はこのイベントで初めてぽわんを見るであろう人たちがひしめき合っている、トップバッターにもかかわらず会場は熱気に包み込まれている。
1曲目の「We are the idol」から、WAVERは大盛り上がり。フロア後方にいる様子見のオーディエンスにもおもいっきりレスポンスを求めてくる。その勢いのまま2曲目の「シャンパンチラリズム」になだれ込むと、メイビーモエがマリナコールを要求、マリナティシャンのベースがうなる。舘 松子莉もいつもより鋭い目つき、マリナティシャンと共にフロアに睨みをきかせる。舘 松子莉の『谷間』コールにフロアは大盛り上がり、ファズミサキがおもむろに衣装を脱ぎ捨て『みんなの上をクルージングしちゃうぞ!』といい放つと水着でフロアに飛び込み、宣言通りクラウドサーフ、もといクルージングをきめる。そしてこの曲の定番である舘 松子莉のパンチラで我々が目にしたのは、、、しもっきー、そして『俺のしもっきーは見せないからな!』と叫んだ、俺のしもっきーって。ちなみに、この日の夜中WAVERでしもっきーが『Shimokitazawa SOUND CRUISING 2015』に出演することを知り、こんなパンツを用意したとか。
3曲目「でゅんでゅんTHEわーるど」を経て、4曲目は「マイナーガール」。この日初めてこの曲を聴いて瞬間的にこの曲はぽわんを代表する曲になると感じる、ピアノとギターの掛け合いに鳥肌が立つ。そして、この曲を歌うときのメイビーモエの感情の入り具合に、今までにないぽわんを感じる。そして、ラストは「かわいいっていわないと呪う」、感情のこもった空気を一気に払拭。聞いていて楽しい、今まで聞いていた中で最も楽しい雰囲気。メンバーもみんな笑顔、文字通りとびっきりの笑顔だ。そして、サイコーに盛り上がっている雰囲気の中、あのコールアンドレスポンスが始まる。
『世界で一番かわいいのはだーれ?』
『サウンドクルージングの中で一番カワイイのはだぁれっ? ハイッッ!!』
もはや『ぽわん』以外の言葉を口にはできない空間、凄い世界がそこには生み出されていた。メイビーモエはマイクをフロアに向けレスポンスを強硬に要求、ファズミサキはmicroKORGを担ぎ、マリナティシャンは荒れ狂いながらベースを、舘 松子莉は乱れながらドラムを打つ。そして、それに応えるようなフロアの熱気、もはや容易に言葉にできない盛り上がりを感じた。そうだ、これだこの盛り上がりを俺は2014年11月30日に感じて、このバンドを知ったんだ。ライブサーキットトップバッターとしての役割を十分すぎるほど果たし、この日のぽわんのアクトは終わった。
この日はぽわんに始まり、翌朝まで凄い数のアーティストのアクトを目にしたけど、ぽわんが一番でした、もう優勝です、ええ優勝です!
6月10日、俺は新木場COASTにいた。そう、新木場COASTでぽわんがライブをやることが発表されたのが4月18日、そして5月23日にまさかの最終出演アーティストが発表された。
6/10新木場コーストの最終出演者はSEKAI NO OWARIでしたっ・・!!ゆ、、夢じゃないっ😳? pic.twitter.com/8frloNFo3G
— メイビーモエ◆ぽわん (@moe_powann) 2015, 5月 23
チケットは即完売、当然だ数万人のスタジアムでワンマンをきめるアーティストが2400キャパのハコに出るのだから。『clubEARTH 9th Anniversary』と題されたこのイベント、大鳥居にあるclubEARTHは「SEKAI NO OWARI」が自分たちの手で作りだしたライブハウス。その記念すべきイベントとなれば、彼らが出演するのは当然だろう。そして、ぽわんもclubEARTHでライブを行っており、今回出演することになったのだ。
開演から少し遅れて新木場STUDIO COASTへ。フロアに入った瞬間、人人人で全く前に進めない。周囲にはぽいずんも全く見当たらない、アウェイだ究極のアウェイだ。しかし、構わない、俺はできる限り近くでぽわんを見る。ひとり、漆黒のでゅんでゅんTシャツを着てフロア中央まで進む。しかし、それ以上前には行けない。ステージ前方でぽわんのタオルを振る一団が見える、いつも最前列でサイコーに楽しんでいるぽいずんのみんなが遠い、、、。そんなことを考えている間にフロアの明かりが落ち、広いステージにぽわんの4人が登場した。
ファズミサキは最初から水着、そしてclubEARTHにちなんだ地球的なかぶり物を被って登場。遠くて表情をはっきり確認できないけど、それでもメンバーが緊張しているのが伝わってくる。1曲目はそんな緊張を払拭できる「シャンパンチラリズム」、いきなりのハイテンションナンバーに周囲は反応に戸惑っていたけど、暖まるのは早かった。谷間コールでメガフォンを掲げドラムセットから飛び出す舘 松子莉にフロアはさらに盛り上がり、ぽわんのドラマーがなんなのか、ぽわんというバンドがなんなのかを一瞬でその場にいるみんなに刻み込んだ。2曲目は「ジェイポップ大崩壊」、1曲目のテンションのまま、メイビーモエのヴォーカルのインパクトをみんなに認識させる。3曲目「サイダーの泡、恋模様」、それまでのハイテンションから一転、COASTにメイビーモエの澄んだヴォーカルが響き渡る。周囲のオーディエンスの視線はメイビーモエに集まる、ここまでの3曲でぽわんというバンドを理解したからこそ集まる、これまでには無い規模の視線を彼女は感じていただろうね。
『clubEARTHにバンドとして出て、9周年のこのイベントに出ることができ、本当にバンドを続けてきてよかった。あの時とはメンバーも違うけど、とにかくバンドを続けてきてよかった』
MCでメイビーモエはこう話し、彼女がどんな気持ちでぽわんを続けてきたのかを私たちに伝えてくれた。はっきりとその場にいた全員にぽわんというバンドの名前を刻み込む、そんなMCだった。
そして、ライブは後半戦となる4曲目。ここにぽわんは「マイナーガール」を持ってきた。メイビーモエのギターと、ファズミサキのピアノが交錯し、メイビーモエの声が再びCOASTに響き渡る。そこで歌う彼女は強いスポットライトの光を浴びて、これまでで一番カワイく最高にカッコイイ姿を見せてくれた。
いよいよ、最後となる5曲目「かわいいっていわないと呪う」、ファズミサキのキーボードが響き渡る、もう登場した時の緊張感は全くない。4人は全力でこのアクトを楽しんでいる、サイコーの笑顔でサイコーの演奏だ。COASTは完全にぽわんのモノになっていた、ぽわん至上最強のカワイイコールがホールを包み込む。メイビーモエは激しくギターをかき鳴らし、ファズミサキがmicro KORGを掲げ、マリナティシャンがどっしりとフロア中央へ進み、舘 松子莉の激しいドラムに長髪のカツラが飛ぶ! そして、これまでにぽわんのライブでは感じたことが無いような凄い歓声と拍手に包み込まれ、4人は笑顔でステージをあとにした。
ラスト「SEKAI NO OWARI」のアクトが終わり、この日出演したアーティストがステージに勢揃いする。DJ LOVE・メイビーモエ・ファズミサキ・マリナティシャン・舘 松子莉、そしてFukase、まさかこんなシーンを目にするとは思ってもいなかった。また、必ずぽわんはこの場所、新木場STUDIO COASTのステージに立つ、そんなぽわんの決意をぽいずんのみんなは感じたはずだ。そう、俺もそれを感じたからね。
そして、完全にぽわんの虜=ぽいずんとなった2015年の夏が始まりました。
【第3-3回『ぽわん』 ~ コラム:下北沢は通過点でかまわない】に続く
*本日12月2日からワンマンツアーが始まります、初日は京都nano! まだ、間に合う!! 当日券もたぶんある!! ⇒ ぽわん公式Twitterでご確認ください
2015/12/02 wed 京都Live House nano
「ぽわんの毒まきワンマン京都編」
open/start 19:00/19:30
adv/day 2500/3000+1drink
出演:ぽわん
イープラス http://goo.gl/RrsfmC
店頭予約 http://livehouse-nano.com/
2015/12/03 thu 北堀江Club vijon
「ぽわんの毒まきワンマン大阪編」
open/start 19:00/19:30
adv/day 2500/3000+1drink
出演:ぽわん
イープラス http://eplus.jp
チケットぴあ P-CODE:276-749
ローソンチケット L-CODE58338
2015/12/04 fri 名古屋CLUB ROCK’n’ROLL
「ぽわんの毒まきワンマン名古屋編」
open/start 19:00/19:30
adv/day 2500/3000+1drink
出演:ぽわん
イープラス http://goo.gl/P4BkXm
ローソンチケット L:42548
2015/12/05 sat 下北沢SHELTER
「ぽわんの毒まきワンマンファイナル!」
open/start 18:30/19:00
adv/day 2500/3000+1drink
出演:ぽわん
イープラス http://eplus.jp
チケットぴあ (Pコード:277-202)
ローソンチケット (Lコード:76883)