[レビュー]劇団フルタ丸 2016年 本公演ツアー 『ビッグマウス症候群』

2016年5月25日、劇団フルタ丸『ビッグマウス症候群』の初日を迎えた。このお芝居でフルタは何を伝えたいのか、初日レビューをお贈りします

劇団フルタ丸 2016年 本公演ツアー 『ビッグマウス症候群』 「劇」小劇場

2016年5月25日(水)、劇団フルタ丸 2016年 本公演ツアー『ビッグマウス症候群』が初日を迎えた。19時15分頃に「劇」小劇場に入る、すでに客席は8割方埋まっていた。初回はなるべくステージ全体を見たい、下手最後列の席に座る。席に置かれているパンフレットをめくる、いつもと変わらない流れのつもりだったはずなのに、そこに書かれていた「あいさつにかえて」に衝撃を受ける。代表のフルタジュンによる恒例の挨拶文だが、あまりに内容が衝撃的でお芝居が始まる前から動揺が隠せない。

公式パンフレットそしてブロマイドも販売中
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1部800円の公式パンフにはネタバレ内容が書かれていると言うことで、開演前は読まないことにした。再び席に置かれたパンフレットに目を通す。そうか、そういうことなのか。これまで全く聞かされていなかった事実、フルタジュンはこの公演にどのような想いを込めたのか。2回のインタビューを通して直接話しを聞いている自分でさえ、その全容はわからない。動揺は収まらないまま、劇場の照明が落ち、静かにお芝居が始まった。

ここで、改めて公演フライヤーに書かれていた概要を掲載したい、

久しぶりに聞かせてくれないか、君のビッグマウスを。

精神科医の元に、ある男がやってくる。
彼は子供の頃からウソツキとして有名だった。
できそうにもないことを堂々と宣言しては、いつも周りを混乱させた。
大人になると、職場の同僚達は彼のことをペテン師と呼ぶようになった。
医者は男と目を合わせるなり、すぐに診断結果を伝えた。

「ビッグマウス症候群。病気ですね。」

大口を叩く人間に病名が付いた世界で起きる、
これは生き様のオハナシ。

『ビッグマウス症候群』という公演名が表すように、このお芝居は『ビッグマウス』についてテーマにしたお芝居だ。しかし、あるタイミングからそのテーマが自分の中から完全に消え去る。裏テーマと表現してよいのか自信は無いが、『ビッグマウス』に置き換わるキーワードで「劇」小劇場は満たされる。

物語自体はとてもシンプル、そして、展開はドラマチックながらもとてもわかりやすい。そして迎えるラストシーン、自分が予想していたのとは真逆の結末を目にする。劇団フルタ丸の喜劇路線はもちろん含まれている、笑わせるときには徹底的に笑わせる。しかし、今回の物語には静かにそして熱く流れる想いが見え隠れする。

劇団フルタ丸『ビッグマウス症候群』

初回の公演が終わり、今回のお芝居を振り返る。それと共にパンフレットに書かれていた「あいさつにかえて」に書かれていた事を思いだした。この物語は、観劇した一人一人が違う想いを抱く、そんな作品である。そして、新たな第一歩を踏み出す人が現れてもおかしくないだろう。これまでの劇団フルタ丸の公演もメッセージ性は強かったが、今回ほど観劇した人の心に強くしっかりと届いた作品はない。

公演終了後、代表のフルタさんと篠原さん、真帆さんに初日のコメントを伺った。

フルタさん、篠原さん、真帆さんはこの写真撮影後合流
フルタさん、篠原さん、真帆さんはこの写真撮影後合流

---初日が終わりどうでしょうか

フルタさん: ほっとしているという感じですね、これから明日以降の7回分をどうするのか冷静になって考えたいです。今は終わったばかりの安堵感と高揚感だけですね

---今回はフルタさんの出番が多いように思えますが

フルタさん: ちょろちょろとですが、何回も出てきますね。セリフ量は他の役者と比べると少ないと思いますが、登場回数は少なくないですね

---劇団フルタ丸の総力戦として、フルタさんの出番が増えているように感じます

フルタさん: 空気を変えるようなポジションだと自分では思っているので、芯となる部分はみんなに委ね、僕はご飯における漬け物みたいな存在でいようと思っています

---篠原さん、難しい演技が要求される役だと思いますが初日いかがでしたか

篠原さん: さっきまでは「終わったー」と思って安心していたのですが、先ほど話しを聞いたときに(このコメントをもらう前に、私の感想を伝えていました)メラメラメラと燃えるような気持ちになって、また明日からが楽しみになってきました

---一方、観ている側も気持ちがよくなるような役の真帆さんはいかがでしょうか

真帆さん: そうですね、気持ちがいい部分もありますが、毎回不安ですね。受け入れてもらえるのだろうかと。そして、個人的には戦う部分もありますので、気持ちよさと不安は半分半分くらいですね

---ありがとうございました、まずは下北沢の残り7ステージ頑張ってください

お芝居はステージを重ねるごとにより理想的なモノへと変わってゆく。初回公演を終えて、フルタさんをはじめとした役者はさらなる試行錯誤を重ね2日目の公演を迎える。

本日5月26日19:30からの回も当日券が出るとのこと。本当の気持ちを抑え込んでいる人、何かを諦めてしまっている人、自分を見失っている人、そんな方に1人でも多く観てもらいたい、劇団フルタ丸『ビッグマウス症候群』はそんなお芝居でした。

ビッグマウス症候群

劇団フルタ丸 2016年 本公演ツアー
『ビッグマウス症候群』

作・演出:フルタジュン

<出演>
宮内勇輝
真帆
篠原友紀
工藤優太
清水洋介
フルタジュン

ビッグマウス症候群

久しぶりに聞かせてくれないか、君のビッグマウスを。

精神科医の元に、ある男がやってくる。
彼は子供の頃からウソツキとして有名だった。
できそうにもないことを堂々と宣言しては、いつも周りを混乱させた。
大人になると、職場の同僚達は彼のことをペテン師と呼ぶようになった。
医者は男と目を合わせるなり、すぐに診断結果を伝えた。

「ビッグマウス症候群。病気ですね。」

大口を叩く人間に病名が付いた世界で起きる、
これは生き様のオハナシ。

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【東京公演】
2016年5月25日(水)~29日(日)
25日(水)19時半
26日(木)19時半
27日(金)14時/19時半
28日(土)14時/18時
29日(日)14時/18時
※前売り日時指定・全席自由
※受付開始は開演の40分前・開場は開演の30分前
<チケット代金>
前売3,500円/当日3,800円
学生割引 2,500円(受付で学生証提示)
<チケット予約>
公式サイトから
<会場>
下北沢「劇」小劇場
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-6-6
Tel:03-3466-0020

【岐阜公演】
2016年6月10日(金)~12日(日)
10日(金)19時
11日(土)19時
12日(日)19時
※前売り日時指定・全席自由
※受付開始は開演の40分前・開場は開演の30分前
<チケット代金>
前売・当日 2,000円
学生割引 1,500円(受付で学生証提示)
<チケット予約>
公式サイトから
<市内プレイガイド>
美濃市文化会館 0575-35-0522
美濃「道の駅」にわか茶屋 0575-33-5022
<会場>
美濃「道の駅」にわか茶屋 大多目的室
〒501-3714 岐阜県美濃市曽代2007
Tel:0575-33-5022

<協力>
特定非営利活動法人四つ葉のコウゾ

<スタッフ>
照明・広報:satoko
音響:前田マサヒロ
音響プラン:水野裕
音楽:平野智子
舞台美術:泉真
写真:木村健太郎
撮影:株式会社アンダンテ
当日運営:安田有希子
協力:古田大地/濱路沙優里
制作:三村大作
企画・製作:劇団フルタ丸

<お問い合わせ>
●電話 080-4898-2002(フルタ丸)
●メール info@furutamaru.com
電話もしくはメールでのチケット予約も承っております。
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