前に劇場で演劇を観たのは、今年の下北沢演劇祭でした。あれからCOVID-19の影響が拡大し、下北沢で演劇を観ることができないという誰も経験したことがない事態に直面しました。

6月に入り本多劇場から無観客生配信で演劇の上演が再開、お客さんを入れての公演も徐々に再開されました。そして7月24日、私は下北沢の小劇場B1へと向かいました。

受付で名前を伝えチケットをもらい劇場に入る、、、いや、その前にサーもカメラで検温し、ソーシャルディスタンスを守って入場を待ち、入場時には名前と電話番号を記入し、劇場の入り口で手をアルコール消毒をする。劇場に入るとかつてとは明らかに違うイスの配置。定員は半分以下でステージと客席の間隔もかなり広めに取ってあり、お客さんは全員マスクをしています。

それまでとはテンションの異なるオープニングのBGMが流れ、暗転。お芝居がはじまる高揚感、それはライブ配信で観る演劇とは全く違うものだと改めて知ることになります。

ひらさわひさよし&フルタジュン プロジェクト 第8弾『芸人温泉』、元々は今年4月にシアター711で上演される予定だったこのお芝居は、3ヶ月遅れて小劇場B1で初日を迎えました。お芝居がはじまるまでは、様々な感情が交錯しちょっと不安を感じていましたが、はじまってしまえばそこはかつてと変わらない世界が拡がります。

低空飛行を続ける三組の漫才コンビ。
「アラカルト」「地獄マーブル」「やまなり」
ぬるま湯で変わらぬ日々を過ごしながらも信じている。
いつか自分にだけは、太い蜘蛛の糸が垂れて来ることを。
ウケるか死ぬかの漫才狂騒ドラマ!!

正直、お笑いはそこまで好きなわけではないし、全然詳しくない。ただ、お笑い芸人という存在がどういうモノなのかは分かっている。役者はミュージシャンと並び、下北沢の街にはお笑い芸人がたくさんいる。そういえば、駅前で客引きをしていたお笑い芸人さんたちは今何をしているのだろう、そんなことが頭の片隅に浮かびながらも物語が進んでゆく。

3組6人のお笑い芸人とそれに関わる人による物語が、どんどん進展し人と人がクロスしはじめる。設定はともかく物語としてはある意味王道的な流れ、お客さんの誰もが期待する展開を予想するが、そんな予想を一気に突き抜けた展開にまたもやフルタジュンにしてやられてしまったと痛感させられる。この感覚は劇場でなければ味わうことができない、役者と観客が同じ空間にいるからこそ成立する、演劇の醍醐味をしっかりと感じさせてくれるお芝居でした。

ソーシャルディスタンスを守り順番に退場、物販もソーシャルディスタンスを確保し列を作る。いつもなら当たり前だった役者さんとの面会もできない。でも、演劇を劇場で観ることの喜びは何も変わっちゃいなかった。COVID-19の影響は未だ収まることはなく、今後の見通しも芳しいとは言えません。だからこそ演じる側も、観る側も慎重に慎重を重ね演劇を楽しむ。演劇に関わる全ての人による協力あってこそ、演劇の未来は切り拓かれていくのだと感じました。

ちなみに今回のお芝居「芸人温泉」は演劇を観つつもお笑い要素や漫才を堪能できる作品で、尚且つ何度でも観たくなるような設定が仕組まれています。そのあたりは、ぜひ劇場で自らご確認ください。ひらさわひさよし&フルタジュン プロジェクト 第8弾『芸人温泉』は、7月26日日曜日まで上演。最終日の18時からはアフターイベントも開催されます。

ひらさわひさよし&フルタジュン プロジェクト 第8弾『芸人温泉』

ひらさわひさよし&フルタジュン プロジェクト 第8弾
『芸人温泉』

2020年7月24日 (金) ~ 7月26日 (日)
会場:小劇場B1
開演時間:
 7月24日(金)15:00 / 19:00
 7月25日(土)15:00 / 19:00
 7月26日(日)12:00 / 15:00 / 18:00※
 ※アフターイベント公演(本編ではありません)、アフターイベント公演は約1時間を予定しております。
料金:前売 3800円、当日 4300円、学割 2500円
   アフターイベント公演(7/26(日)18:00)前売・当日 3000円
   チケット予約
出演: 阿部大樹(EARLYWING)、板橋廉平、北村真一郎(劇団ひまわり)、志乃、寺田晴名(スワロウ)、どいちゅー(トゥインクル・コーポレーション)、仲田ありさ(WonderSpace)、西川智宏(ラビット番長)、真帆(劇団フルタ丸)、諸田和典(オブジェクト)、山本綾(スターダストプロモーション)
作・演出:フルタジュン
漫才脚本:中村元樹
照明:鈴木麻友
音響:前田マサヒロ
美術:泉真
宣伝美術:長島拓也
WEB制作・管理:大城鴻樹
制作:中宮智彩
プロデューサー:ひらさわひさよし・塚原直彦
企画・製作・宣伝:LEVELS
公式サイト: http://levels.tokyo/special/geininonsen/

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クロダマサノブ

クロダマサノブ、もしくは廣田西五です。「予定は未定であって決定ではない」の人で、別名シモキタさん。主にインターネッツ各所や、ライブハウス、サーキット、そして下北沢にいる。愛知県豊川市出身、京都市右京区経由で、普段は世田谷区で生息しているが、突然京都や大阪そして新栄のライブハウスに現れ泥酔し、泣きながらライブを最前列で見ている。要注意だ [Twitter]ymkx

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