ミニシアター『K2』 ミニシアター『K2』

下北線路街「(tefu) lounge」にミニシアター『K2』2022年1月オープン

2022年1月、小田急線下北沢駅南西口前に新たにオープンする下北線路街「(tefu) lounge」に、1スクリーン70席のミニシアター『K2(ケーツー)』がオープンします。元々、ミニシアターが入ると「(tefu) lounge」のリリースでも紹介されていましたが、正式にオープンが発表されました。

 「(tefu) lounge」 外観イメージ
「(tefu) lounge」 外観イメージ

『K2』は、映画・アートなどを企画プロデュースする団体『Incline』(MOTION GALLERYNEOPASunbornnekojarashiwerollの5社がメンバー)が主体者となって手がけられるミニシアター。また、単なるミニシアターではなく、以下に示すような新しい映画館を目指します。

  • 文化が好きな人たちの結節点となるような映画館
    インディペンデントでクロスカルチャーでボーダレスな総合芸術だった映画には、いつも「最新」で「多様」な社会や文化が宿っていました。映画が持つ力を体現する場として映画館を捉え、物販、館全体でのテーマイベントなどを通して、映画館の魅力を再獲得し、下北沢という街の文化性に貢献し、街に活気をもたらします
  • 普遍的な学びを共有する場所として
    多種多様な文化が混じり合う映画の、多様な側面に光を当てて「学び」を、映画館として発信・共有するようなチャレンジをしていきます。
    1.「雑誌『K2』の発刊」
    上映する作品の多様な面白さや背景を深堀りする雑誌をほぼ月刊のイメージで発刊し、映画文化を通じた”学び”自体を広めていきます。
    2.「オンラインスクリーンでの特別上映プログラム」
    『K2』で上映する作品の関連作品や、同時にみることで新しい意味が生まれる様な作品をセレクションし、オンライン配信します。
  • ”コモンズ”としての映画館
    昨今、小さなコミュニティに注目が集まったり、個人がSNSなどを使って発信する方が大手ブランドよりも信頼を得る、という状況があります。また、売り手と買い手が直接やり取りすることが増え、画一的ではない、違いのあるものが増えています。これは時代の変化をコロナが後押しし、明確にしたとも感じています。個人同士の距離が近く、役割の境界が混ざってきている今、「自分ごと」としてモノゴトが最初から作られ消費されていっています。街の映画館、『K2』にも街との対話、双方向のコミュニケーションが必要です。そこで「コモンズ=共有地」をコンセプトに掲げ、街の声が映画館に反映され、「自分ごと」が増えるよう、プログラムの一部を街のプレイヤーに開いていきます。街の文化のつくり手として、街の人が参加者に。消費者ではなく当事者を生み出す場所となることで、新しい才能を生み、映画人口の拡大にも寄与することを目指します。
  • コロナ禍に新しく生まれる映画館だからこそ。オンラインとオフラインのハイブリッドの形
    1.「Inclineが立ち上げる、映画館での劇場公開に連動したバーチャル・スクリーン『Reel』」
    『Reel』で上映される作品は、映画館で実際に上映されている期間に限り有料でオンライン鑑賞できます。その売上の一部は、その作品を上映している各劇場に均等に配分します。オンライン上映で発生する利益を、デジタルが浸透している都市だけでなく地方の劇場にも等しく分配することで、日本全体の映画文化を担保し続けようとするアクションであり、リアルとバーチャルでの映画鑑賞の体験を、相互に補完する狙いもあります。『Reel』に第一回作品として迎えるのは、『K2』のこけら落とし上映作品でもある、第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した濱口竜介監督「偶然と想像」です。『K2』ではこの『Reel』の取り組みと積極的に連動し、良い事例を生み出すことで、持続可能な劇場公開の選択肢を、全国の映画館の皆さまと一緒につくって行きたいと考えています。
    2.「ベーシック・インカムプラットフォーム『BASIC』を使った『K2』のファンコミュニティーの立ち上げ」
    ストック型で持続的な支援につながる月額参加型のコミュニティーを通じ、より深い『K2』のファンになっていただき、皆様の映画体験をより豊かにしていくためのアクションを行っていきたいと考えています(前述の「オンラインスクリーンでの特別上映プログラム」はこちらに含まれます)。『Reel』とは異なり『K2』単体のアクションとして、『K2』で上映する作品の関連作品や、同時に鑑賞することで新しい意味が生まれるような作品を『K2』でセレクションし、オンライン配信する。『K2』という映画館で映画を観た後、お家でも『K2』のオンライスクリーンで更にその作品の世界観や映画体験を拡げていく、そんな体験と学びを提供します。

単なるミニシアターではなく、コロナ禍を経て新たに作られるミニシアターだからこそ、映画と映画館が持つ魅力を、今の時代と未来にフィットする形でアップデート。特に「オンラインスクリーンでの特別上映プログラム」の取り組みは、下北沢のミニシアターでありながらその可能性を全国に拡げるものとして興味深いと思います。同じくオンラインの仕組みである「バーチャル・スクリーン『Reel』」、逆にオフラインの仕組み「雑誌『K2』の発刊」など、注目すべき試みが満載です。

また、なぜ今ミニシアターを作るのかについて、その経緯と現在の状況、そして今後について以下のように説明します。

  • 新しい下北沢に生まれる、新しい映画館
    2019年、下北沢は、小田急線「東北沢駅」~「世田谷代田駅」の地下化に伴い、全長約1.7kmの線路跡地を開発して生まれる新しい“街”「下北線路街」が立ち上がろうとするタイミングでした。ここに新しく映画館をつくれないかと、相談が舞い込んだことから『K2』の物語は始まりました。
  • コロナ禍の発生
    2020年1月、コロナが国内で猛威を振るい始め、時に映画館は名指しもされながら、強い自粛を求められました。その中で顕在化したのが、ミニシアターへの多大な影響です。映画館という特殊な施設には、立ち上げや運営には少なくない予算が必要です。それだけでなく、長い時間をかけて地域に文化を育んできた場所という意味においては、一度失われるとその回復は容易ではありません。ビジネス的な目的よりも文化的な目的に向けて運営されていることが多いミニシアターは、このコロナ禍が与えた経営的な影響は甚大でした。
  • 改めて感じたミニシアターの社会的意義
    MOTIONGALLERY代表の大高も発起人を務めた『ミニシアター・エイド基金』は、「その状況に少しでも時間的余裕を」と始まりました。これがミニシアターの存在の大きさを改めて教えてくれる、非常に特別な契機となりました。「ミニシアターを守りたい」という映画ファンの大きな大きな声、またその声から私たちは、各地のミニシアターがどれだけ地域に根ざした活動を、日々コツコツと行ってきたのか、と強く実感しました
  • 新しい映画館のかたちへの挑戦
    ミニシアターは、その街の文化を映す鏡のような場所であり、文化の多様性を私たちに教えてくれる場所になっている、そんな社会的意義をコロナ禍で改めて共有・認識したことで、ミニシアターが新しく生まれることに、映画作品の出口がまた一つ増えるというような単純なことではなく、下北沢という街のための新しい文化施設が生まれ、年齢も性別も関係なく、街の人(=住民の方も働きに来ている人も遊びに来ている人も表現しに来ている人もみんな)が思い思いに立ち寄れる”共有地”が増えることだと考えるようになりました。下北沢という文化の土壌がある中に立ち上げられるのだから、最初から街の交流装置として位置づけられていたら、それだけで他の街とは絶対に違うミニシアター像というのが立ち上がるはずです。また、映画界の発展にも貢献できる、映画界の共有地としてのチャレンジにも取り組み、新しい映画館のかたちを生み出して行きたいと願っています。

確かに「下北線路街」がリリースされたタイミングから、この場所にミニシアターができると記載があったと思います。その後、コロナ禍で下北沢の街はもちろんですが、全国のミニシアターや映画に関わる全てが大きな影響を受けました。一方で、映画の魅力や価値が改めて評価されたことも事実です。そんな苦しい状況を経たからこそ、新しい映画館のかたちへ挑戦するわけですね。そのチャレンジの場として下北沢が選ばれ、とてもうれしいと感じています。

下北沢のミニシアターと言えば『下北沢トリウッド』が絶対的な存在ですが、代表の大槻さんから応援コメントが寄せられています。

K2開館、おめでとうございます。現下北沢唯一の映画館としては、お客さんや作品を奪われやしないかとドキドキして…というのは冗談で(笑)、本当に心から楽しみにしています。演劇でも古着屋さんでも複数ある方が、お客さんの選択肢が増え、それにより全体のパイを増やせるのだろうし、ひいてはそれが文化になっていくのだろう、とお互い、もっと面白いもっと変なことを探して、様々なものと出会える街を目指していきましょう。
《下北沢トリウッド代表/ポレポレ東中野代表 大槻貴宏》

これまで唯一のミニシアターとして下北沢の映画カルチャーを支えてきた『下北沢トリウッド』の大槻さんから、まさに応援メッセージにふさわしい温かいコメント。2022年、下北沢の映画カルチャーが大いに盛り上がる予感。毎年秋に開催されている「下北沢映画祭」も、ますます盛り上がりますね! 

さらに、演劇界からもステキな応援メッセージが寄せられています。

下北沢にミニシアターオープン、映画界も音楽界も演劇界も厳しい時代にとても明るいお話です。下北沢はライブハウスも劇場も多い街で映画館はトリウッドさんだけでした。この状況で映画館をオープンされることに意気込みを感じます。芸術文化とか堅苦しい言葉抜きで街の皆様が気軽に観に来られて、楽しんでもらえる場所として映画館もライブハウスも劇場にも来ていただきたいと思っております。作品を観てもらえて、語り合い、集まれる場所。観た後も観る前も下北沢は温かい街です。ご一緒に少しでも下北沢を御盛り上げていければと思っております。応援してます。
《本多劇場グループ総支配人 本多愼一郎》

演劇をはじめとして音楽、そして映画、下北沢という街はそれぞれのカルチャーにおいてとても大きな役割を果たしています。それぞれのカルチャーが交差する、そんな場所になることを予感させてくれます。

そして、ミニシアター『K2』を手がける「Incline」の北原さんと大高さんから、オープンに先駆けコメントが寄せられています。

Incline LLPの北原さん(左)と大高さん(右)

僕は10代20代をミュージシャンとして下北沢のライブハウスで過ごし、30代で音楽を辞めてからも下北沢の文化や街が好きで、今は住民として子育てしながら過ごしています。このプロジェクトには、地域住民としての自分と、過去の表現者としての自分も含めた、夢の実現として取り組んでいます。ミュージシャンだった昔の自分がヒントを掴んだり、子どもたちが成長に合わせて刺激(時にちょっと背伸びした)を受けたり。年代関係なくみんな自然と居合わせて、混ざっていて、居合わせている以上の理由もいらなくて、連帯や共感を感じられる場。そんな場があったらとても素敵です。映画館にはある種公共性があって、それが年代や好きなジャンルを飛び越えて、受け容れて繋げてくれる力があると思っています。そもそも下北沢には色んなジャンルの表現やモノがある。すごいポテンシャルです。でも意外と交流はしていない。少なくとも若い自分がそうでした。そこの境界がもっと混ざったらどうか。その可能性にとても夢を感じています。新しい映画館『K2』を、そういった「街の仕掛け」にしていきたい。その仕掛けが生み出すものを一緒に見つめて育てていける仲間が増えることを願っています。
《Incline LLP役員/株式会社Sunborn代表/株式会社weroll共同代表 北原豪》

僕は、これまで一番影響を受けている時間は「映画館で映画を観る時間」だと実感することが多く、この本当に貴重で重要だと感じる文化発信の場に携わることの大きさを改めて感じています。映画が大好きで映画館に通い詰めていたものの映画に関わる仕事に就こうとなんて思っていなかった学生時代。しかし政治哲学という一見遠い領域を専攻していたことで結果的に映画やアートに携わりたいという方向性に導かれたり、はたまた脱サラして藝大に進学したのにそのまま映画製作ではなくクラウドファンディングを立ち上げるというこれまた一見遠い領域で活動し始めたのことが結果映画館の運営に携わることになったりと、本当に不思議なご縁を感じています。一方で、そんな振れ幅の中でも「文化」と「公共性(もしくは親密圏)」という社会彫刻という概念に収斂するワードが常に僕の中では活動に共通していました。映画館「K2」のコンセプトとして、下北沢の文化的”コモンズ(共有地)”を掲げさせていただきましたが、まさに文化の公共性である映画館を、下北沢に関わる人たちが主役となるコモンズとして運営していくことで、きっと下北沢に、そして映画文化に貢献することが出来るのではないかと考えています。もしかしたら向こう見ずな挑戦かもしれませんが、ぜひ1人でも多くの方に応援いただき、そしてそして1人でも多くの人に「映画館で映画を観る時間」をより良く届けることが出来るように頑張って行きたいと思います。応援よろしくお願いします。
《Incline LLP役員/MOTION GALLERY代表/映画プロデューサー/さいたま国際芸術祭2020キュレーター 大高健志》

そして、クラウドファンディングサービス「MOTION GALLERY」代表の大高さんが関わっている、ということはもちろんクラウドファンディングでミニシアター『K2』開館に関わる資金の支援も、プロジェクト「東京・下北沢の線路跡地に生まれた新しい“街”の入り口に、文化の共有地となるミニシアター『K2』が誕生します。」として受け付けています。

こちらのページでは、トリウッドの大槻さん、本多劇場グループの本多さんに加え、ライブハウス「下北沢Garage」の渡辺新二さんや、「下北沢商店連合会」の柏雅康さん、さらには下北線路街の仕掛け人である「小田急電鉄」の橋本崇さんからも応援のコメントが寄せられています。まさに、下北沢の全領域から応援されるミニシアターになりそうです。そして、プロジェクトメンバーに増田早希子さんの名前を発見! 下北沢にとーっても縁のある方でして、このプロジェクトの下北沢での本気を感じました。

クラウドファンディングの募集期間は2022年1月31日までで、目標金額は300万円。映画鑑賞券やオリジナルZine・オリジナルTシャツ、さらには1日館長権といったリターンがありますので、ぜひチェックしてくださいね

2022年1月オープン、ミニシアター『K2(ケーツー)』 。映画好きな皆様はもちろんですが、下北沢の街が好きな多くの人たちに愛される、そんな場所になる予感でいっぱいです。

ミニシアター『K2』
ミニシアター『K2』

シモキタ – エキマエ – シネマ『K2』

1スクリーン ・70席
2022年1月開館予定
北沢2-21 tefu lounge 2F (シモキタエキウエ直結)
[名前『K2』に込めた想い]
様々な文化のるつぼである下北沢の、しかも誰もが立ち寄りやすい駅直結の場所にミニシアターは生まれます。そんな映画館が出来る場所は、世田谷区北沢2丁目。このとても貴重な出来事をこの映画館が立つ場所「北沢2丁目」を映画館の名前に刻むことで表現するのはどうだろうかと考えました。あわせて、映画を完成させるまでに多くの困難や山を突破し登り切り、その結果多くの人に観ていただくハレの舞台の1つである映画館。ここを最高峰の場所となるべく目指して運営していきたいという決意も込め、カラコルム山脈にある世界の最高峰の一つ『K2』からも名前を取りました。