絶賛設営中の紅テントの前で 絶賛設営中の紅テントの前で

下北沢で新たな伝説が生まれる、唐組・第64回公演『ビニールの城』

2019年10月18~20日の3日間、下北線路街 空き地に建てられた特設紅テントにて唐組・第64回公演【唐十郎‘85名作選[第二弾]】『ビニールの城』が上演されます。その上演に先立ち 劇団唐組座長で作・演出の唐十郎さん、劇団唐組座長代行で演出・出演の久保井研さん、劇団東京乾電池の柄本明さん、本多劇場グループ 総支配人の本多愼一郎さんによる記念トークが下北線路街 空き地にて行われました。

唐さんが登場すると「座長の唐十郎です! このたびはこんなふうにやっていただき、ずいぶん照れるもんです、こりゃ面白いもんですねー。そう、彼とは本当に久しぶりで」と話すと、柄本さんと握手し「これからもよろしくお願いしまーす!」と快活に話しトークがスタート。

実はこの紅テントは下北沢には43年ぶりに建ったとのことで、柄本さんは「前にテントが建ったのは、下北沢ハイタウン(本多劇場の入る建物)が完成する前で空き地だった場所。ロックライブもあって忌野清志郎を観たり、黒テントもそこで観た」と話し、本多さんは「まだ本多劇場ができる前で、小さい頃あの場所で花火をやったりしていて、テントが建っていた記憶はあります」と当時を振り返ります。

今でこそ演劇の街として知られている下北沢ですが、この数十年で街自体が変化していることについて、柄本さんは「24歳ぐらいに来たから40年以上経っているけど、小田急線が地下になってこれからどうなるんだろう。ここに紅テントが建ったのは面白い、ここで唐さんのお芝居が見れるというのは素晴らしい話しで、たくさんの方が足を運んでくれるでしょう」と語ります。

また、久保井さんからはテント公演のハードルの高さについて、「先日の台風19号の直撃を受け2公演が中止になりました、それだけに下北沢での公演は一杯にして記憶に残る公演にしたい。テントは1日で建てたりばらしたりは難しく、今回も昨日から始めて2日目で、明日までかかりそうです」と話します。私自身、月曜日にこの場所でイベントを開催しており(下北沢カレーフェスティバル2019・ぱくぱくパーク)火曜朝に最後の片付けに来たのですが、20人ほどの皆さんが一斉にテントを組み始める姿をその場で観ており、テントによる公演の大変さを感じていました。

そして、今回の記者会見に参加していた下北線路街空き地の責任者でもある小田急電鉄の橋本さんから「紅テントのことは全く知らなかったが、野田さん( ザ・スズナリ支配人)の熱い情熱の言葉を伺い、その歴史を調べてみるとこれはやるしかないと。線路跡地で小田急が自由に使える事もありチャレンジしてみようと。我々もとてもワクワクしております」と、小田急電鉄として今回の公演に対する期待を語ってくれました。

その後の質問で、43年ぶりの紅テントとして演劇の街となった下北沢に殴り込みをかけるという感覚でしょうか、と問われると久保井さんは「それくらいの気持ちだと思っています。空き地無しではテントが建てられない、僕らは空き地ジプシーで敵はコインパーキング(笑)。場所を見つけるのが常に難しいが、今回は本当にラッキーでいつまでもこの場所があるといいなと思っています」。また、テントでの公演の醍醐味について、「何もなかったところに劇場を建て、赤いビニール一枚で中は虚構空間、唐十郎の世界が繰り広げられている。テントの周りから色々な音がしてきても中は虚構空間、それが終演と同時にそんな音が流れ込んできて現実に戻される、そういう面白さはあります」 と想いを語ります 。

唐作品の魅力について、柄本さんは「わからないです、何をやっているのか全然わからない。だけど、ある言葉が突き刺さってきたり、唐さんの世界に持っていかれちゃう。言葉が、音楽や照明と供に、、、なにか、なにをやっているのかよくわからないんだけど、『赤いビー玉』だの不思議な言葉が出てきて、それがいきなりこちらに突き刺さって思わず涙が出てしまう、感動してしまう、なにかわからない場所に連れていかれる。それが醍醐味ですかね」と不思議な魅力を伝えます。

最後にしもブロから、今回の公演が下北沢の街に与える影響について伺ったところ、久保井さんは「演劇の街である下北沢にテントを建てる、それ自体に意味があると思います。そして、お芝居を観る習慣のない方にとっても、明らかに異物ですよね街にとって。これが芝居を観るきっかけになったり、人の平穏をざわつかせるためにやってきた、そんな気持ちです」と下北沢で上演する意味について触れていただきました。
また、本多さんからは「うちは8軒劇場がありますが、外から見える劇場はどこにもなく、野外で行われる演劇は歩いている方からも見えてしまうことも多々あり、これをきっかけにお芝居を観に来る方が増えればいいなと。あと、この空き地が今回の公演がきっかけとなり拡がりが出てくると今後に繋がるのでは」と、今回のテント公演をきっかけとして今後の下北線路街空き地の展開に期待の言葉をいただきました。
最後に柄本さんから「街という安心な場所に、不安なモノができるってものすごく面白い部分があって、そこで一体何をやっているのだろうみたいな部分からはじまって演劇ファンが増えてくれればいいんじゃないかな」と締めていただきました。

正直、このテントが姿を現すまで、この公演の意味や意義についてそこまで深く考えてはいませんでした。少し距離はありますが、下北沢駅からもこの紅テントは目立ちます。今回のトークを通し、何があるのか何が行われるのかわからない、異物や不安というキーワードと供にこの紅テントが下北沢を訪れる人たちに与える影響はとても大きいと感じています。期間限定ではありますが、この下北線路街 空き地が生まれたことで新たな下北沢の歴史、いや、新たな伝説が生まれる、そう言っても過言ではないでしょう。あの紅テントの中ではどんな世界が繰り広げられるのか、観劇予定の18日の初日が楽しみでなりません。

唐組・第64回公演【唐十郎‘85名作選[第二弾]】『ビニールの城』は10月18日から20日まで。下北沢カレーフェスティバル2019の開催期間中なので、ぜひお芝居と供にカレーも楽しんでいただきたいです。チケットは各種プレイガイドにて絶賛発売中です。

左から、劇団唐組座長代行で演出・出演の久保井研さん、劇団東京乾電池の柄本明さん、劇団唐組座長 作・演出の唐十郎さん、本多劇場グループ 総支配人の本多愼一郎さん
左から、劇団唐組座長代行で演出・出演の久保井研さん、劇団東京乾電池の柄本明さん、劇団唐組座長 作・演出の唐十郎さん、本多劇場グループ 総支配人の本多愼一郎さん
絶賛設営中の紅テントの前で
絶賛設営中の紅テントの前で
唐組・第64回公演【唐十郎‘85名作選[第二弾]】『ビニールの城』
唐組・第64回公演【唐十郎‘85名作選[第二弾]】『ビニールの城』

唐組・第64回公演
【唐十郎‘85名作選[第二弾]】

『ビニールの城』

助けて。ビニールの中で苦しいあたしを。あたしはいつもそうです。
あなたとお会いしてからも、二人の間にはビニールがあって、なにか言えない、思いのたけをあなたに告げられないと、いつも気が急いておりました。
―朝ちゃん、ビニールを張った以上、ここはビニールの城です―

作=唐十郎
演出=久保井研+唐十郎
[役者陣] 久保井研、稲荷卓央、藤井由紀、岡田悟一、福本雄樹、福原由加里、加藤野奈、栗田千亜希、升田愛、全原徳和、戸辺俊介、川崎勇人、藤森宗、影山翔一、竹岡直紀 
[スタッフ]
絵=合田佐和子
作曲=北村早樹子、安保由夫
宣伝美術=及部克人、海野温子
舞台美術=紅美術団子
照明=福本雄樹
衣装=安楽きわ
音響=岡田悟一
舞台監督=全原徳和
人形美術=足利浩平
[公演日程] 
●下北沢特設紅テント
本多劇場グループ テント企画
下北線路街 空き地(下北沢交番横小田急線跡地)
2019年10月18日(金)19日(土)20日(日)
[開演時間] 
毎夕7時(6時30分開場)
[入場料] 
前売券=3,500円  
当日券=3,600円
学生券=3,000円(劇団でのみ販売)当日受付で学生証をご提示下さい。
※入場整理券(前売券と引き換え)及び当日券は、午後2時より受付にて発行致します。※ 独立した幼児以外の幼児は入場をご遠慮下さい。
[唐組事務所] 
〒165-0034 東京都中野区大和町4-3-9
Tel/Fax 03-3330-8118
[チケット取り扱い]
唐組 03-3330-8118
チケットぴあ  Tel 0570-02-9999
イープラス  http://eplus.jp/karagumi/
ローソンチケット http://L-tike.com/karagumi/
(0570−000−407(オペレーター対応)
(0570−084−003  ローソン・ミニストップ店内Loppiで直接購入可
シバイエンジン
[問い合わせ]
唐組 Tel 03-3330-8118
[協力] 
明治大学文学部
小田急電鉄株式会社
本多劇場グループ
AU舞台創造工房
大鶴美仁音
(株)千代田組
(株)ファーストビジョン
東映マネジメント
劇団東京乾電池
(株)ノックアウト