映画『ほなまた明日』10月30日トークイベント 映画『ほなまた明日』10月30日トークイベント

[レビュー]映画『ほなまた明日』、写真家を目指す若者たちの青春群像劇

作品との出会いはいつだって偶然だったりする。2024年10月18日よりシモキタ – エキマエ – シネマ『K2』で上映されている映画『ほなまた明日』、この作品との出会いもたまたまK2のXのポストから予告編を見たことがきっかけでした。

いきなり自分の話で恐縮ですが、高校の部活動、そして大学のサークルとして7年間、写真を撮り続けていました。デジタルではなくアナログ、カラーではなく白黒で、一体何枚撮影したのか全く覚えていないけど、自分もよくフィルムを印画紙に直接置き一覧で見ることができるコンタクトシートを眺めていたことを思い出しました。関西の大学に進学したこともあり大好きな関西弁、そして大阪の景色、出会ってしまったからには観なければならない。私は、K2で映画『ほなまた明日』を鑑賞しました。

《ストーリー》
大阪。大学卒業を控えたある年の夏。
写真家を目指す芸大生の草馬ナオ(田中真琴)は、写真中心の生活を送っていた。
同じ写真学科の小夜(重松りさ)、山田(松田崚汰)、多田(秋田卓郎)は、写真に夢中になるあまり、人としてはどこか不器用なナオに振り回されつつ、その才能を認め彼女を応援していた。
人生の岐路を前に、写真の本質に近づこうとするナオの情熱は、否応なしに3人の心をざわざわと揺らし、嫉妬や焦燥を生み、それぞれに“選択”を迫っていく。卒業後、写真家となったナオは、小松、多田と久々の再会。そこで山田が失踪していること
を知る。

部活動やサークルで写真を撮っていた自分と、芸大・美大で写真を専攻し様々な形でプロを目指している人を比べてはいけないけど、そこに登場する人物やエピソードを感じることができる。仕事がら写真のみならず様々な表現に接していることもあり、アマチュアとプロ、そして商業とアートの超えがたい壁の存在も理解している。この作品の中で描かれた99分間が彼らの日常でありリアルである事を、しっかりと受け止めることになりました。

写真がテーマではありますが、何か1つのことを追求しようとしている人には通じるモノがあります。そして大学生という理想と現実の間にいる、そんなタイミングだからこそ向き合わなければならないこと。ズバリその世代の皆さんはもちろん、自分を含めた上の世代の方々にとっては、かつて見た景色を思い出すかもしれません。

大古知 遣さん演じる北野先生が、田中真琴さんが演じる主人公のナオと、重松りささんが演じる友人の小夜に投げかけた言葉が心の奥深くに残っています。ざっくりとしていますが的確に二人が進むべき方向を示しており、写真という世界の奥深さを改めて感じさせてくれる言葉でした。

上映後にパンフレットを購入し台本を読みましたが、台本と仕上がりが大きく違っていることに気がつきました。この作品が放つ写真やアートの真髄、それを感じさせるために削った価値はあまりに大きい。ぜひ、パンフレットを手に入れチェックしていただきたいです。

ナオは、松田崚汰さん演じる山田の事を「愛おしい」と言うけど、私からしたら4人とも愛おしい。いやいや、北野先生はもちろん、登場人物全てが愛おしいそんな作品です。あと、久しぶりに大阪でたこ焼きが食べたくなりました。そして、最近はデジタルカメラでしか写真を撮ってないけど、久しぶりにフィルムで写真を撮りたくなりました。いっそのこと、モノクロフィルムで撮ろうかな。もう、現像方法とか忘れちゃいましたが。

2024年10月19日に行われたアフタートークにて、左から出演されていた西野凪沙さん、監督の道本咲希さん 、俳優の斉藤陽一郎さん
2024年10月19日に行われたアフタートークにて、左から出演されていた西野凪沙さん、監督の道本咲希さん 、俳優の斉藤陽一郎さん
10月28日のアフタートークは、多田を演じていた秋田卓郎さん、山田役の松田崚汰、山田の姉役の加茂井彩音さん、そして父役のゆかわたかしさん(左から)
10月28日のアフタートークは、多田を演じていた秋田卓郎さん、山田役の松田崚汰さん、山田の姉役の加茂井彩音さん、そして父役のゆかわたかしさん(左から)
10月30日のアフタートークは、ナオ役の田中真琴さん、道本咲希監督、山田役の松田崚汰さん、ナオの母役の福地千香子さん、小夜役の重松りささん(左から)
10月30日のアフタートークは、ナオ役の田中真琴さん、道本咲希監督、山田役の松田崚汰さん、ナオの母役の福地千香子さん、小夜役の重松りささん(左から)

はい、もちろん作品自体を何度も観たいこともありますが、出演された皆さんのアフタートークが聞きたくて、実に3回も鑑賞することに。演じた皆さんから、それぞれのシーンの意図や台詞に込められた想いなどを聞くことができました。主演の4人はもちろんですが、山田家のみなさんや、ナオとお母さんの関係など、映像だけではハッキリと感じ取ることができない部分についても感じることができ、よりこの作品に登場するキャラクターたちを愛おしく感じました。

3回目の鑑賞の際に市橋プロデューサーが質問をしていたのですが、5回も観ている人がいるのにはびっくりしました。そして、宣伝担当の平井さんも話していましたが、はまる人には本当にはまる作品のようで、私もそのうちの1人ですね。まだまだ、観たりない気がする、こんな気持ちになる作品に久々に出会いました。間違いなく私の中では2024年、ナンバーワン映画です。

3回のトークに参加して、かなりサインが埋まってきました。個人的には北野先生役の大古知遣さんのサインが欲しい! トークイベントにぜひ呼んでください!!
3回のトークに参加して、かなりサインが埋まってきました。個人的には北野先生役の大古知遣さんのサインが欲しい! トークイベントにぜひ呼んでください!!
キャストの皆さんが着てるTシャツ、この作品が好きだからこそ買ってしまいました
キャストの皆さんが着てるTシャツ、この作品が好きだからこそ買ってしまいました

9月に新宿・K’s cinemaで公開され、10月25日からはアップリンク京都・テアトル梅田・キノシネマ天神に上映館が拡大。K2での上映期間は未定ですが、10月28日・30日にはそれぞれトークイントが行われることも決定しました。写真に生きる4人の学生の青春群像劇、下北沢で生きる皆さんにも観てほしい。すでに3回観ていますが、まだまだ観たりない。毎回同じシーンで涙があふれちゃうわけですが、次もそうかな、、、。改めて『ほなまた明日』の世界を感じたいと思います。

映画『ほなまた明日』

『ほなまた明日』

監督:道本咲希 脚本:郷田流生 道本咲希
出演:田中真琴 松田崚汰 重松りさ 秋田卓郎
大古知遣 ついひじ杏奈 越山深喜 ゆかわたかし 加茂井彩音 福地千香子 西野凪沙
撮影:関瑠惟 照明:松島翔平 録音:坂元就 美術:畠智哉 スタイリスト:大場千夏
ヘアメイク:荒川瑠美 助監督:中村幸喜 制作:小林徳行 スチール:染谷かおり
劇中スチール:淵上裕太 編集:中村幸貴 音楽:大江康太 小金丸慧 入江陽 宣伝:平井万里子
題字・宣伝デザイン:三宅宇太郎 ラインプロデューサー:田中佐知彦
アソシエイトプロデューサー:大久保孝一 黒川和則 児玉健太郎 南太郎 渡辺雄介
プロデューサー:市橋浩治 特別協賛:真琴の愉快な仲間たち ラディアスセブン
制作:Ippo 製作・配給:ENBUゼミナール
2024|カラー|アメリカンビスタ|2ch|99分 ©ENBUゼミナール
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