コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」OFF・OFFシアター コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」OFF・OFFシアター

[レビュー]コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」

2023年8月2日から13日までOFF・OFFシアターで上演されている、コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」、8月3日の公演を観劇しました。

コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」フライヤー
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この作品を見るきっかけは辻凪子さんが出演するから。「シモキタ – エキマ – エシネマ K2」で上映されていた映画『凪の憂鬱』で彼女の独特な魅力にはまり、現在放送中のTVドラマ『晩酌の流儀2』でもこれまた不思議な存在感で作品を盛り上げてくれている。さらには9月16日から開催される『第15回 下北沢映画祭』では、自身が主演・監督を務めた新作無声映画『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』がプログラムとして上映。そう、個人的に注目している役者であり、下北沢に関わる立場としても注目すべき存在なのです。

が、OFF・OFFシアターの幕が開いた瞬間から、そんな辻さんに対する想いを押しのけるかのごとく、「愛について語るときは静かにしてくれ」の世界が拡がり始めました。

「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ

圧倒的な台詞量、その台詞から発散される凄まじい情報量。物語が進むにつれ、登場するキャラクターの存在がハッキリとしてくる、いや単にハッキリしてくるだけではなく言葉にしがたい“何か”を感じる。舞台は下北沢とどこかで目にしていたし、下北沢のサブカルシーンにおける小ネタがこれでもかとぶち込まれてくるけど、いわゆる自分の知っている下北沢とは“何か”が違う。

その“何か”がハッキリとした瞬間、この作品が自分の想像を遙かに超越した世界を描いていることを知る。もう、そこからは完全に全力疾走でした、ステージ上は勿論のこと、観客席も完全にその世界にのみ込まれてしまいました。

「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ
「愛について語るときは静かにしてくれ」©︎コムラマイ

この作品の凄いところは、全登場人物がメインと呼びたくなるほどキャラクターが明瞭、いや濃いと表現した方が正しいかもしれない。小春を演じた辻凪子さんが主役である事は間違いないのですが、ステージ上にいる全ての濃いキャラクター、役者によるガチンコのぶつかり合いを目の当たりにすることになります。下北沢の劇場でこの作品に出会うことができたことに感謝したい、2023年観劇した作品の中でダントツナンバーワンと評すべき演劇でした。

マクロ視点における作品全体の世界観も凄いのですが、ミクロな意味合いでの下北沢の小ネタがこれまた凄かった。多くのネタは理解できましたが、やはり自分の知らないネタもあり、下北沢という街の広さ深さを改めて感じます。それにしても疲弊しました、情報量が多いこともありますが、自分が生きる世界との繋がりを探ってしまいフル回転でしたので。演劇を見ることでここまで疲れ果てたのは初めてです。

そして、忘れてはならないのは辻凪子という役者の凄さ。これまで映画館のスクリーンやテレビの画面を通して感じることしかできませんでしたが、目の前で台詞を放ちステージを躍動する彼女を見ることになり、あらゆる面で注目すべき存在である事を確信しました。あと、ものすごく個人的な感想ですが、辻さんの関西弁がとても心地よいのです。穏やかなときも、ちょっと驚いているときも、めっちゃ驚いているときも、そして、怒りを覚えているときも。

コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」は、OFF・OFFシアターにて8月13日(日)まで。演劇のチカラを見せつけられる素晴らしい作品であり、いま目の前にある世界を大切にしよう、大切にしなければならないと感じさせてくれるはずです。

コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」OFF・OFFシアター
コンプソンズ#11「愛について語るときは静かにしてくれ」OFF・OFFシアター

コンプソンズ#11
「愛について語るときは静かにしてくれ」

会場: OFF・OFFシアター(北沢2-11-8 TAROビル3F)
日程:2023年8月2日(水)〜13日(日)
 2日(水)19:00⭐︎
 3日(木)19:00⭐︎
 4日(金)19:00⭐︎♪
 5日(土)14:00/19:00
 6日(日)14:00/19:00♪
 7日(月)休演日
 8日(火)19:00
 9日(水)14:00♪/19:00
 10日(木)19:00
 11日(金)14:00/19:00
 12日(土)14:00/19:00
 13日(日)14:00
 ⭐︎…前半割
 ♪…アフタートーク
料金: 一般 3800円、学生 3000円、前半割 3300円、当日 4300円 (全席自由)
 カンフェティローソンチケット ローソン・ミニストップ店頭Loppi(L35039)
・当日券は全ての割引が適用されません。一律4300円のご案内になります。
・学生割をご利用の方は入場時学生証をご提示ください。
・チケット購入には会員登録が必要です。
・入場はご来場順です。開場前までにご来場されたお客様には整理券をお渡し致します。
・感染症対策の対応上、急遽公演情報などに変更が生じる場合がございます。あらかじめご了承ください。
・公演中止の場合を除いて払い戻し、他公演へのお振替は致しかねます。ご了承の上お申込みください。

【配信公演】
2023年8月19日15:00〜
アーカイブは9月24日まで
料金: 2000円
購入: teket

脚本・演出: 金子鈴幸
出演: 辻凪子、畦田ひとみ、てっぺい右利き、細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、星野花菜里、金子鈴幸
声の出演: 東野良平(劇団「地蔵中毒」)、石渡愛
舞台監督: 小川陽子 三津田なつみ
舞台美術: 谷佳那香
音楽: 額田大志(ヌトミック/東京塩麹)
音響: 中村光彩
照明: 中西美樹
当日運営: 傳田圭菜(激嬢ユニットバス)
映像: ニュービデオシステム
宣伝美術: 江原未来
演出助手: 鈴木啓佑
フライヤー:江原未来
ゲネ写:コムラマイ
制作: 星野花菜里
企画・製作: コンプソンズ
協力: FMG、gina creative management、ヌトミック、東京塩麹、㈱DASH、 激嬢ユニットバス、舞台美術研究工房 六尺堂、公益財団法人東京都歴史文化財団、アーツカウンシル東京 [東京芸術文化創造発信助成]