昨年春頃にはじめて行ったふくしまオルガン堂さん。下北沢ブロイラーでも2回ほど取り上げていますが(『ふくしまオルガン堂 で野菜たっぷりの定食を味わう』『ふくしまオルガン堂で、なすびさんの福島への想いを聞いた』)、開店当初から店長を務めていた阿部さんが11月に店長を2代目の佐藤さんに譲っており、さらに本人は年末に日本を離れるとのこと。このお店には色々な想いがあり、その全ては阿部前店長なしには語れない。そうだ、久しぶりにふくしまオルガン堂に行こう。もちろん、ふくしま定食もいただきましょうー。

阿部さんが入る日ということもあり、12時過ぎにお店につくと、すでにお店には多くの人が。
「あらー、ひさしぶりじゃなーい」
そんな、いつも変わらない阿部さんに歓迎されカウンターに座る。この日のふくしま定食は、大根ステーキのメインにはじまり、芽キャベツ、ズッキーニなどなどいつもどおりふくしまの野菜満載の定食でした。





この日も美味しすぎるふくしま定食でございました。野菜が足りてない人には猛烈におすすめしたいお店ですよ、ほんとにもう(なんだそれ)。なんというか、野菜のポテンシャルを最大限引き出してる感じがたまらないんだよねー。野菜自体の味はもちろんなんだけど、それをしっかりと文字通り「料理」してる。このお店は野菜、そう、福島の野菜をリスペクトしてるからこそ出せる味なんだろうなぁ。
と、そんなことを考えている間にもどんどん人がやってくる、、、うー、阿部さんに詳しい話を聞こうと思ったけど、お客さんいっぱいだからなー。そうだ、夕方ならもう少し余裕があるだろうから、夕方にまた来ますねー。
そして、この日2回目のふくしまオルガン堂。ランチの時間帯とはうってかわって、のんびりした空気が流れています。さっそく、阿部さんにお話を伺います。
ふくしまオルガン堂がオープンしたのは2013年3月のこと。でも、阿部さんと福島との出会いはもっと前となる2011年。あの震災で福島はこれまでに経験したことがない事態に陥ってしまった。その影響は多岐にわたり、農業も甚大なダメージをうけることになってしまった。これまで福島とは特に縁があったわけではなかったけど、そんな福島の農業を何とかしたい、その想いから阿部さんは特定非営利活動法人福島県有機農業ネットワークでの活動をはじめる。風評被害により売れなくなってしまった福島の野菜、もちろん放射能測定などの検査はしっかりと行い安全性が確認され何の影響もない野菜を販売するボランティア活動を行っていたとのこと。
福島の野菜を販売するボランティア活動を続ける中、ふくしまオルガン堂の計画が持ち上がり、阿部さんが店長を引き受けます。そして、2013年3月16日にふくしまオルガン堂が阿部店長の下でオープン。当初はNPO関連の方が中心だったけど、徐々に福島出身者の人たちや縁がある皆さんがお店に来てくれるようになり、最終的にはお店がある代沢地域の住民の皆さんが来てくれるようになりました。ランチに来てくれたり、福島の野菜を買ってくれたり。八百屋さんがどんどん無くなり、スーパーでしか野菜が買えない時代。もしかしたら、ふくしまオルガン堂のようなこだわりの野菜を適正な価格で売り、その野菜でランチを作るようなお店が求められていたのでは、そう感じたそうです。

最近は浪江町から埼玉県に避難している農家さんが作った野菜も扱い始めたとのこと。あの震災はまだ終わってないし、まだ続いている。でも、農家の皆さんも立ち上がっている。これからも、ふくしまオルガン堂は福島の農業を考える上で重要な存在で在り続けることでしょう。
1年8ヶ月ふくしまオルガン堂の店長を勤めた阿部さんに、一番よかったことについて尋ねると、
「本当にいろいろな人に出会うことができた。福島の農家さんはもちろんだけど、福島出身のみなさん、福島のことを想ってくれている人たち。とにかく、いろいろな人達と出会うことができたのがよかった。たのしかった」
とのこと。このお店は単に福島の野菜を扱うだけではなく、福島の野菜を通して人と人が交流する、そんな重要な場であり続けたのでしょうね。そして、阿部さんはふくしまオルガン堂での活動を通して、『食』についての危機感を感じたと話してくれました。
「お米の価格が暴落していて、農家の皆さんが続けられなくなりつつある。今の日本の農業は本当に危機に瀕していて、自給率も含めこれからの日本の食について憂いている。原発事故がきっかけだったけど、みんなホントに自分たちが食べているもののこと真剣に考えてもらいたい。」
そして、年末に日本を離れる件について、ご主人様の転勤でフランスに行くとのこと。
「知ってる? フランスって原発大国だけど農業大国でもあるのよ。フランスの色々なものを見てそして学びたいわ。あ、マルシェ(フランス語で「市場」)を見て回らないとね」
いつもどおりパワフルな阿部さんがフランスで何をしてくれるのか。フランスの日本人に関わるニュースは要チェックかもしれない。そして、最後にこう締めくくってくれました。
「日本に帰ってきたら、もう一度福島の農業に関わりたい。そのためにもふくしまオルガン堂は続いていってもらいたい」
心からお待ちしております! そして、これからもふくしまオルガン堂に通います!!
新店長の佐藤さんや、厨房を担当している荒川さんの話も聞いていましたけど、長くなってしまったので続きはまた次回。あ、でも、一つだけ紹介しないといけないイベントが! 12月26日まで色鉛筆画家大竹惠子さんの「冬の色鉛筆画展」が開催されています。ホントに紹介するのが遅過ぎで申し訳ありません! 大竹さんの故郷でもある福島県奥会津の景色を優しいタッチで描いた作品の数々をぜひご覧ください。定食や野菜も買えますが、鑑賞するだけでももちろん大丈夫ですのでぜひお越し下さーい。ポストカードも販売してまーす。

【 ふくしまオルガン堂 】
代沢4丁目44-2
03-3411-7205
12:00~18:00 (18時以降は、5名様以上ご予約の場合営業。21時閉店)
月・火定休
*年末は28日(日)15時まで、年始は1月7日から営業開始
http://www.farm-n.jp/yuuki/organ/
https://twitter.com/fukushimaorgan
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