アートを感じその価値をみんなで考える『下北沢アート自由市』3/26まで開催中

今月に入ってから、下北沢駅周辺でこんなポスターをたくさん見かけるようになりました。

『下北沢アート自由市』

【アート自由市】既存の価値に捕らわれない自由なアートマーケット。新進気鋭アーティスト達が下北沢にやってくる。最終日には、お金のいらないオークションを実施。欲しい作品に対して、あなただったら何をかけますか?

なんだろう、アートの展示イベントなのかな? 展示会場はしもきたスクエア・しもきたアネックス・東洋百貨店・アフェアンソロップと、屋外もあれば室内もある。でも、タイトルに「自由市」とか書いてあるし、「オークションを実施」とも書かれてる。ん、「お金のいらないオークションを実施」、、、お金のいらないオークションとはどういうことなんだろう。様々な疑問を抱きつつ、開催初日の3月24日、しもきたスクエアに向かいました。

明らかに雰囲気の違うしもきたスクエア
屋台みたいなものが置かれてる
「物々交換」、、、物々交換??

確かにアートっぽい展示をやってるけど、これはどういうアートなんだろう、物々交換って?? しもきたスクエアにいらっしゃった『下北沢アート自由市』主催者であるTeam Yami-Ichiの大澤左知子さんに話を伺うと、この展示を行っている柚木恵介さんは様々な土地で様々な人たちと物々交換を繰り返し、そこで生まれたストーリーを記録し作品化していくとか。柚木さんは土曜日からの参加でご本人から話を伺うことはできませんでしたが、下北沢は評価し難いよくわからないものを持っている人が多そうなので、色々なストーリーが生まれそうです。

そして、一番の疑問だったお金のいらないオークションについて大澤さんに伺うと、通常オークションは作品に対して金額を提示してその作品を得ることができますが、今回のオークションではお金の代わりに作品に対して自分の持っているスキルや経験を生かしたオファーを提示するとのこと。これまでに提示されたオファーは、「あなたの作品に対しての意見」というものから、

・私の家で1週間夜ご飯
・アート作品の背景にあるストーリーを軸にした、新たなパフォーマンスの創作
・私の所有するやまでの、展覧会の機会
・あなたの秘密をいくらでも聞いて、必ず守ります
・アーティストのポートフォリオのための、英語翻訳をします

等、多種多様。ああ、そういうことなのですね、お金の代わりに自分の持っている才能や時間や空間などを提供するのですね。これは面白い! アーティストの作品が欲しいと思っている人からのオファーなので、内容的にはコラボレーションに近いモノも感じられます。

大澤さんはアートに対する敷居の高さを覆す試みだと話します。確かに、街のギャラリーはそもそも入りにくいし、そもそもギャラリーに展示されている作品を購入することはもちろん、購入できるとしても金額がいくらなのかイメージができないモノばかり。ましてや、オークションは一般の人からしたらドラマや映画でしか見ないものです。アートの価値とはなんなのか、気軽にアートにふれる環境を設け、新たな価値を創り出したい。『下北沢アート自由市』がどのようなイベントなのか理解することができました。下北沢には多種多様な人があふれています、アートの価値を様々な視点から見直すにはうってつけの街ですからね。

各会場でもらえるパンフレット、今回の試みや参加アーティストの情報などが掲載されています

『下北沢アート自由市』には4名のアーティストが参加しています、しもきたスクエアで物々交換を行う柚木さん以外の作品を観るべく、まずは西口から徒歩1分、下北沢では珍しい朝から営業しているカフェアンソロップに向かいます。

カフェ アンソロップ
扉を開けてイートインスペースの奥へ
参加アーティストのカキナガマリコさんと作品
カキナガマリコさんの作品、電球は本物でちゃんと光っています
カキナガマリコさんの作品、なんだろうこの不思議な感覚は

カキナガマリコさんは3月に多摩美術大学彫刻学科を卒業したばかりのアーティスト。独特な質感、そして生み出される曲線、夢で見たような不思議な感覚、などなど話しを聞けば聞くほど、生み出された作品の言葉にし難い存在感を理解することができます。その場でカキナガさんの作品を観ないと伝わらない、ぜひその場で自分の目で見て感じてもらいたいです。

続いて、様々な雑貨やファッションアイテムを扱うお店がぎっしりと詰まっている東洋百貨店へ。

東洋百貨店入ってすぐ右側にあるスペースが展示(?)会場です
「買い物袋をかぶった写真を撮ってます。よければ参加して下さい。」
なんだか買い物袋を装飾してる
ああ、確かに「買い物袋をかぶった写真」だ、、、
アーティストの滝沢達史さん
「おお、これはいい写真が撮れた!」とつぶやく滝沢さん

滝沢達史さんは、場の背景を主題とした空間表現や行為を日本各地で行っているアーティスト。今回の試みは、紙袋を仮面のように仕立て被った写真を撮るアート。東洋百貨店前の道路で撮影した写真をその場でパソコンに取り込み、コンビニのネットプリントで出力して展示する。そして、その写真いくつかを絵画作品にする。「紙袋をかぶってみると、外から自分(顔)は見えないのに、自分は外の世界を全部見ることができる。そのシチュエーションで生まれる姿を撮っています」、これは深い、簡単なように見えてとても深いアートだ。3日間で生み出される作品から何を見出すことができるのか、興味津々です。

そして、再び北口前方面へ、4人目の作品が展示されているしもきたアネックスに向かいます。

駅前食品市場跡地であり、数年後には駅前広場となる予定のしもきたアネックス
、、、なんだろう、これは
幾何学的な模様でありつつ、それ以上のなにか未知の感覚を覚えます
ただひたすらチョークでアスファルトに作品を描き続ける小川敦生さん

小川敦生さんは、反復、脱線…様々に展開する細部の集積から、文様めく全体を手で紡ぐドローイング作家。写真は、24日の11時から書き始め15時前に訪れた時点の作品です。展示時間中書き続け、時折描かれた作品の過程における写真を撮影、最終的には完成した作品を写真に収め、オークションの時点では作品は消してしまう予定だとか。実際に間近で作品を観ると、入ってはいけない空間に足を踏み入れてしまったような感覚に陥ります。チョークなので雨が降って作品が消えちゃったらどうしますか、と聞いてみると、「それはそれでいい、それも含めてアート」とのお答え。3日間2時間間隔で観にいきたくなりますよ、これは。

完成状態のイメージはありますか?と伺うと、「わからない、ただ描き続けてる」との回答。完成形は、本人にもわからない

3カ所の会場で作品とアーティストさんから話を伺い再びしもきたスクエアに戻る。先ほどよりも屋台に興味を持つ人が増えたようだ。主催者の大澤さんをはじめとしてスタッフの皆さんが、屋台に興味を持った人たちに説明をしている。作品の展示は、24日から26日までの11時から18時。そして、最終日26日15時からはしもきたスクエアで「お金のいらない」オークションが行われます。

三月下旬の土日、地元の人たち、遊びに来た人たち、春から上京する人たち、外国人観光客、、、下北沢の街にはたくさんの人が下北沢に訪れます。下北沢という街がいかに自由でそして可能性に満ちあふれた街か感じられる、『下北沢アート自由市』はまさにこの時期の下北沢だからこそのイベントと言えるでしょう。まずは、作品を観て下さい、そして感じてください。あなたもこのイベント、そしてアートの一部に、ぜひなってください。

土日のしもきたスクエアは人出溢れかえります。1人でも多くの人がアートを感じる空間になりますように

『下北沢アート自由市』

開催日時:2017年3月24日(金)~26日(日) 11:00~18:00 オークションは26日15:00~17:00
開催会場:しもきたスクエア(下北沢駅北口前)・しもきたアネックス(下北沢駅前食品市場横)・東洋百貨店(北沢2-25-8)・カフェアンソロップ(北沢2-26-7)
公式サイト: https://www.yamiichi-art.com/
Facebook: https://www.facebook.com/TeamYamiichi/
Instagram: https://www.instagram.com/team_yamiichi/
主催:しもきた商店街振興組合・下北沢アート自由市実行委員会
共催:下北沢大学
後援:世田谷区・公益財団法人世田谷区産業振興公社