映画『Kay』『終点は海』 映画『Kay』『終点は海』

国際映画祭で30を超えるアワードを受賞、小編映画『Kay』『終点は海』下北沢トリウッドにて2022年4月9日公開

2022年4月9日から下北沢トリウッドにて、『映画は仄かなる、たいまつ』と題した小編映画2作品が劇場公開されます。今回上映される2作品『Kay』と『終点は海』は、国際映画祭で30以上のアワードを受賞。どちらもその演出力が高く評価されている鯨岡弘識が監督を務めた作品が、ついに日本で凱旋上映されます。

『Kay』
『Kay』

『Kay』は景気に翻弄され雑草のように生きた父・太一(小沢和義)と、離別した娘・ケイ(七瀬可梨)との 邂逅を描いた小さな物語。不確かな理想の家族のあり方を優しい眼差しで見つめ、コロナ渦で見失った生きることの意味を問いかけます。


『終点は海』
『終点は海』

『終点は海』は5年前に喧嘩別れし、消息を絶った息子・レン(清水尚弥)が母・明子(洞口依子)のもとに現れるところから物語がはじまります。二人の葛藤の深い淵を埋めようとレンは明子を「終点」となる浜辺へ連れ出すのだが…。

両作品に共通するテーマは「ひ弱で揺らぐ小さな生」を題材にしている点です。漠然とした孤独感に漂いながら、いかに生きるのかを落ち着いて問うこともないまま、時代に翻弄される日々が続いている昨今だからこそ改めて問いかける「家族の在り方」七瀬可梨、清水尚弥などの若手注目俳優たちの演技も必見です。

公開に先立ちまして、『Kay』に出演された七瀬可梨さん・小沢和義さん・片岡礼子さん・伊藤歌歩さん、『終点は海』に出演された洞口依子さん・清水尚弥さん、そして中嶋雷太エグゼクティブプロデューサー、鯨岡弘識監督からのコメントをご紹介します。

七瀬可梨『Kay』娘・ケイ役

『Kay』は私が初めて出演した映画で、緊張と高揚感で震えた撮影でした。振り返ってみると今ならこう演技するのに、と思いますが、この作品のkayはあの時にしか出来なかった演技だと思います。思いがけず賞をとることも出来て本当に嬉しいです。是非『Kay』を観に来てください。

七瀬可梨『Kay』娘・ケイ役

小沢和義『Kay』父・太一役

コロナ禍の中、劇場公開に導いたスタッフの努力と情熱を称賛したく思います。僕も映像の長短を問わず、映画の力を信じて疑わない一人です。この小編映画の魅力が観客の皆様に届くことを願っています。

小沢和義『Kay』父・太一役

片岡礼子『Kay』母・貴子役

喪失の物語
夏の暑い日に亡き人の荷物と娘と共演した。
デビュー当時から共演をたくさんさせていただいたこともあり記憶の沢山ある小沢和義さんの姿を思いその”父”を間に七瀬可梨さん演ずる娘のKayと対峙した。エネルギーのある彼女の眼差しとぶつかる面白さ。熱さ。Kayの眼差しの先をもっと観たい。現場で側に居てそんな思いに駆られました。

片岡礼子『Kay』母・貴子役

伊藤歌歩『Kay』友人・ユウ役

撮影はとても暑い日だったのを思い出しました。ただ良いものを作りたいという気持ちだけで作品に関われた幸せなひと時でした。忘れかけてしまった大切なピースの一部となって、手探りで日々を”生きる”方々に向けた一筋の明かりになれますように。大きなスクリーンで観るのがわたしも楽しみです。

伊藤歌歩『Kay』友人・ユウ役

洞口依子『終点は海』母・明子役

時の止まった世界を生きた女と、止まった時間が再び動き出すことでこの映画は始まります。留めていた思い。 押し殺していた感情。様々な思いを乗せて電車は走り、終点の海に辿り着く。けれど、終点は始発になるのです。

洞口依子『終点は海』母・明子役

清水尚弥『終点は海』息子・レン役

撮影が終わった日からずっと皆さんに観て頂きたかった作品だったので公開を本当に嬉しく思います。あの日あなたに聞けなかったことや言えなかったことがありました。もうあの日もあなたも帰ってこないけれど、それでも今日も僕は生きています。僕は『終点は海』に少し救われました。だからこの作品が、誰かにとっても救いになりますように。

清水尚弥『終点は海』息子・レン役

中嶋雷太(エグゼクティブプロデューサー)

小編映画『Kay』の原作・原案の拙書「春は菜の花」を発行したのが2018年夏。開発・制作を終え0号試写を開催したのが2019年12月。新型コロナ禍など想定できぬ、予定調和の明日を夢見る呑気な私がいた。そして約2年余り我慢した。この映画を観て頂く観客の皆さんの心情を考えると、こちらの理屈で劇場公開することは憚られた。

2022年4月。未だ新型コロナ禍の収束は見えない。けれど、今こそ皆さんに観て頂きたいと考えた。小編映画『Kay』と『終点は海』にはカッコ良いヒーローもダーク・ヒーローもいない。心優しくも繊細でもない。説明言葉盛りだくさんの台詞もない。多くの方が囚人となり喘いでいる「良い家庭」でもない。仄かな生が揺らぎ、物語が淡々と織り成されていくだけだ。

孤独や不安に押し潰されそうな日々が続くが、孤独や不安が「悪いことだ」と決めつけたくはない。押し潰されそうな自分の、そのひ弱な手をじっと見つめ、ひと呼吸ついたとき、仄かなるたいまつがきっと道を照らしだしてくれると思う。

小編映画『Kay』と『終点は海』が小さく仄かでもたいまつになればと、心から願っている。

鯨岡弘識(監督・脚本)

過去を振り返ることで、はじめてその人を理解する……そういった経験をされたことはないでしょうか。「あの時こう言えていれば……理解できていれば」と後悔することは、少なからず誰にでもあるはずです。

今回上映する『Kay』と『終点は海』では、主人公が初めて、近かった人の“死”と向き合うことで、心を整理する姿を描いています。しかし、それは決して紋切り型の感動的なものではなく、自分を捨てた父親や息子との邂逅なのです。そして、彼らは“悲しい”“嬉しい”などと安易に形容できるほど簡単ではない感情と向き合うことで、期せずして自らへ「生きる」という意味を突きつけます。

監督として、生死を題材に取り込むことはとても難しく、悩ましいことでした。しかし、コロナ禍において、そのテーマが際立ったことも実感しました。実際、『Kay』の完成直後に訪れたコロナ禍で鏡像的に作り上げた『終点は海』は一層、題材を深めるものになりましたし、まさに、この時代に語られるべき“シンプルな力強さ”を持ったものになったと感じています。

また、私自身が知らない親の世代を描くにあたり、『Kay』では小沢和義さん、片岡礼子さん、『終点は海』では洞口依子さんと話し込みました。時代に翻弄された親という難しい役を成すことができたのは、間違いなくキャスト陣のおかげです。同様に、台本を読み出演を快諾してくれた全てのキャスト陣と、深くまで感情を共有できたことが、映像にも表れていることと思います。

結果として、2020年は『Kay』が海外映画祭で、2021年は『終点は海』が国内映画祭を中心に、多くのアワードを賜ることができました。それは、コロナ禍にこそ、これらのメッセージがシンプルに強く響いたからだと信じています。未だその状況は続くからこそ、今回の上映で多くの観客の皆様へ届くことを祈っております。

『Kay』『終点は海』は、2022年4月9日(土)より下北沢トリウッドにて公開。公開初日となる4月9日には、12時上映回の終了後に七瀬可梨さん・伊藤歌歩さん・鯨岡弘識監督の舞台挨拶が、18時上映会の終了後には清水尚弥さん・鯨岡弘識監督の舞台挨拶が行われます。また、4月10日(日)の各回上映後には、鯨岡弘識監督のトークイベントが開催されます。

[上映スケジュール]
4/9(土) 10(日) 12:00/18:00
4/11(月) 14:00/17:20
4/13(水)~15(金) 14:30/17:50
4/16(土) 17(日) 12:00/18:00
4/18(月)~22(金) 15:10/19:00
4/23(土) 12:30/19:00
4/24(日) 29(金祝) 12:30/18:30
4/25(月)~28(木) 13:00/19:00
※平日火曜定休

[料金]
一般 1,200円
大学・専門・シニア 1,000円
高校生以下 900円

下北沢トリウッドは上映日前日の0時からネットでの予約が可能です。4月9日の座席予約は、4月8日0時からとなりますので、初日の舞台挨拶に参加されるの皆様はぜひチケット予約をお願いします。ご予約はトリウッド公式サイトの上映スケジュール及び作品紹介ページから行えます。

映画『Kay』『終点は海』
映画『Kay』『終点は海』

『Kay』(2020/日本/16:9/HD/23分)

出演: 七瀬可梨、小沢和義、片岡礼子、伊藤歌歩
監督: 鯨岡弘識
脚本: 中嶋雷太/鯨岡弘識
原作・原案: 中嶋雷太著「春は菜の花」
撮影: 平見優子
照明: 日比野博記
録音: 小牧将人
ヘアメイク: 菅原美和子
衣装: Ka na ta
プロデューサー: 内藤 諭
エグゼクティブ・プロデューサー: 中嶋雷太
製作: 中嶋雷太
配給: Raita Nakashima’s Cinema
受賞・上映歴:
◇インド
 ポート・ブレア国際映画祭(20年10月)
 ウルヴァッテイ国際映画祭(20年11月)
 ローリング・リールズ国際映画祭(21年)
 ニュー・デリー国際映画祭(21年)
◇イタリア
 レアーレ映画祭(20年10月)
 ローマ短編映画祭(20年10月)
 ローマ映画賞(20年)
 ミラノ・ブラックアウト映画祭(21年)
◇アメリカ
 ニューヨーク・シネマトグラフィー賞(20年6月)
 サンフランシスコ短編映画祭(20年10月)
 ニューヨーク・トリステイト国際映画祭(20年12月)
 ワシントン映画祭(20年)
 ワールド・フィルム・フェア(20年)
 シカゴ・インディ映画祭(20年)
◇ドイツ
 ニューウェーブ短編映画祭(20年10月)
◇フランス
 フレンチ・インディペンデント映画祭(20年)
◇ロシア
 モスクワ・ショート・ショット映画祭(20年6月)

『終点は海』(2021/日本/4:3/HD/23分)

出演: 洞口依子、清水尚弥
監督: 鯨岡弘識
脚本: 鯨岡弘識
撮影: 佐藤宏樹
照明: 日比野博記
録音: 小牧将人
ヘアメイク: 菅原美和子
宣伝プロデューサー: 石原弘之(株ポルトレ)
プロデューサー: 内藤 諭
アドバイジング・プロデューサー: 中嶋雷太
製作:内藤諭、鯨岡弘識
配給: Raita Nakashima’s Cinema
受賞・上映歴:
◇日本
 福井駅前短編映画祭
 札幌国際短編映画祭オフィシャルセレクション
 長岡インディーズムービー
◇ロシア
 モスクワ・ショート・ショット映画祭

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