『演劇』そして『音楽』、下北沢といえば誰もが思い浮かぶキーワードだろう。しかし、2015年4月18・19日の2日間、下北沢は『お笑い』の街になる。下北沢全5会場、総勢120組の芸人たちによる20を越えるお笑いライブ【下北沢大興行】が開催される。

「しもきた空間リバティ」をはじめとして、この数年でお笑いライブを開催できる会場がいくつか生まれている。ロケなどで度々お笑い芸人さんはこの街に来るし、プライベートでお笑い芸人さんを見かけることも多い。ただ、現時点で下北沢を『お笑いの街』と呼ぶには至っていないと私は考えていた。

そんな中、【下北沢大興行】の開催を知る。下北沢の街にある5つの会場を使い20超のイベントが行われるとのこと。リリースにはこのように書かれていた。

昨年2014年、お笑い界では、芸人にとって一番の本領発揮の場である「ネタ番組」がなくなるという時期を経験しました。お笑いライブも東京・大阪を中心に毎日各所で行われておりますが、決して満足な集客に結びついておりません。何度かのお笑いブームを経て、着実に活躍の場を広げてきたお笑い界ですが、「ライブ」「ネタ番組」は、芸人のステップアップに欠かせないものです。

言葉や動作を巧みに駆使し、日常のあらゆることをネタに、他ジャンルの方々と手を取り合って、日本のエンターテイメントを引っ張る芸人たちですが、ここで改めて、メディアでは伝えきれない芸人たちの底力を生で多くの方々に観ていただくため、芸人たちが所属する各事務所が手を取り合って、同日複数会場型のフェスに近いお笑いライブ「下北沢大興行」を行うこととなりました。

登場するのは、現在第一線で活躍する芸人、注目の芸人、今後頭角を現す芸人たち。お見せするのはネタ、独自イベント、お笑いならではの企画ライブ、賞レースなど。下北沢を舞台に2日間にわたって約20以上ものライブの開催を予定しております。

下北沢では毎年複数の音楽ライブサーキットイベントが開催されているが、お笑いライブサーキットイベントというのは聞いたことがない。メイン会場はメジャーなイベントも開催される「北沢タウンホール」、そして演劇が行われる劇場の中では最も新しい「小劇場B1」、下北沢でお笑いといえばここ「しもきた空間リバティ」、ビールが飲める本屋で連日トークイベントが開催されている「B&B」、COWCOWの山田善しさんが運営するギャラリー「HIBOU HIBOU」、お笑いやトークイベントを開催している「エッグカートン」、合計6会場。

そして、メイン会場「北沢タウンホール」では以下のイベントが開催される。

●今田耕司・バカリズム企画 「見たい!ラジオ」 <18日(土)開催>
●ネプチューン堀内健MCネタライブ 「ホリケン寄席」 <19日(日)開催>
●東京03主催ライブ 「東京03寄席」 <18日(土)開催>
●劇団ひとりMC「共感百景」 <18日(土)開催>
●東京03角田MC「芸人遺産」<19日(日)開催>
●キングオブコメディMC「第5回『わらいを愛する学生芸人No.1決定戦』~新しい価値観の創出~」<19日(日)開催>

お笑いはたまにテレビで見る程度で全く詳しいわけではない。そんな私でさえ、このラインナップには驚かされた。テレビ出まくりの芸人さんばかり、このイベントが本気で下北沢でお笑いの大イベントを仕掛けようとしていることを知る。

下北沢におけるお笑いライブの本拠地「しもきた空間リバティ」のラインナップも、「磁石」「スパローズ」「かもめんたる」「アルコ&ピース」「ハマカーン」「ラブレターズ」「三四郎」「うしろシティ」と勢いのある若手芸人がずらりと並ぶ。

全てのイベントを紹介したいところだが、紹介しきれないので各イベントの詳細は公式サイトをご覧頂きたい。また、下北沢ブロイラーのエンタメスケジュールページに特設スケジュール枠を設けたので、併せてご覧頂きたい。

それにしても大規模で壮大なイベントだ、なぜこのイベントを下北沢で開催することになったのだろうか。私は【下北沢大興行】のプロデューサー・片山勝三氏に話を伺った。

【下北沢大興行】 プロデューサー 片山勝三氏
プロフィール:1974年生まれ、兵庫県神戸出身。吉本興業(株)勤務時代のマネジメント業務を経て、2009年に独立して(株)SLUSH-PILE.を設立。芸人を絡ませた数多くのイベントや舞台をプロデュースする。

---まず、【下北沢大興行】を企画したきっかけについて教えてください

【下北沢大興行】 プロデューサー 片山勝三氏(以下、片山氏)
「ボクが不安症なのかもしれませんが、ここ最近お笑い業界に元気が無いと感じていました。色々な事務所が介在しているライブも含め、お客さんが満足に集まっていない現状があり、テレビで新しいお笑い芸人がかつてのようにどんどん出てこない。お笑い自体にかつてのような勢いがないと感じていました。そんな状況を見て、これは、自分たちのようなお笑いに関わる立場の人間がお笑いに勢いを取り戻す為に積極的に仕掛けていかなくてはいけない、そんな思いに至り今回の【下北沢大興行】を企画しました。」

---このような大規模なお笑いイベントはこれまでに行われたことがあったのでしょうか

片山氏「単体の事務所や同一会場での企画はありましたが、複数の会場を使いかついくつもの事務所が集まってこの規模のイベントは私にとっても初めての試みで、たぶんこれまでもなかったと思います。」

---会場として下北沢の街を選んだ理由を教えてください

片山氏「新宿や渋谷といったエンターテインメントの中心地ではなく、どこにも属さない中立的なイメージで音楽やサブカルなど全てを包括できる街ということもあり、下北沢で開催することになりました。」

---メジャーな芸人さんも多く参加されるイベントですが、会場のキャパシティ的に小さくはないのでしょうか?

片山氏「今回のイベントで一番広い北沢タウンホールは294席ですが、お笑いには一番適している広さ、というよりはむしろこの規模が限界なのかなと感じています。お笑いライブでは細かい顔の表情や言葉の抑揚など、それらをしっかりと伝えるためには200名前後の会場がちょうどよいと考えています。また、客席も含めた一体感という点でも、会場は大きすぎない方がよいでしょうね。」

---多くのイベントが企画されておりますが、注目のイベントについて教えてください

片山氏「もちろん全てのイベントに注目してもらいたいのですが、その中でもあえて1つ選ぶとすれば【アンダー5コンテスト】ですね。このイベントは、事務所に所属している芸歴5年以下の芸人が挑戦するコンテストで約180組が参加します。審査員には芸歴23年の土田晃之さん、数多くのバラエティ番組を手がけてきた”ガースー”こと菅賢治(元日本テレビ)さんが参加されます。ある意味、【下北沢大興行】を象徴するようなイベントです。若手が自分たちが面白いと思うことを自由に表現してぶつかり合います。既に注目を集めている芸人も多く、今後ブレイクする芸人は必ずこの中にいます!」

片山氏イチオシのイベント「アンダー5コンテスト」、予選は4/14-16、17に準決勝、19日に決勝が小劇場B1で行われます

---まだ、発表されていないHIBOU HIBOU(イブー イブー)でのイベントについて教えてください(取材日にはまだ発表されていませんでした)

片山氏「HIBOU HIBOUでは展示を行う予定なのですが、芸人の皆さんに下北沢のゆるキャラを考えイラストを描いてもらい展示する『下北沢非公認ゆるキャライラスト展』を行います。」

---下北沢のゆるキャラ、、、実は下北沢にはしもっきーというゆるキャラがいるのですがご存じでしょうか?

片山氏「え? 公認のゆるキャラですか? 非公認なんですか、そうですか。実は今回展示した中からいいものを世田谷区に公認してもらおうと考えています。」

---(しもっきーステッカーを見せる)

片山氏「これですか、しもっきーって、、、これよりはよいモノを出しますよ!」

---(しもっきー、ピンチ、、、)それでは、【下北沢大興行】はどのような人たちに見てもらいたいでしょうか

片山氏「お笑い好きな方はもちろんですが、これからお笑い業界を目指そうと考えている人たちに観てもらいたいですね。お笑いを仕事にしようとしている、それが芸人なのかマネージャーなのかテレビ局を目指している人なのかわかりませんが、将来の選択肢のうちの1つとしてお笑い業界に関わりたい人たちに観てもらいたいですね。」

---本格的なお笑いイベントの【下北沢大興行】が下北沢という街に与える影響は大きいと考えていますが、下北沢とお笑いの今後についてどのようにお考えでしょうか

片山氏「下北沢において演劇が本多一夫さんを中心として小劇場文化を創り上げたように、お笑いについても志ある芸人が集まり下北沢でお笑いを発信していくんだと、かつての演劇がそうだったようにお笑いを盛り上げていけれるような動きになれば嬉しいです。そのためには、しっかりとしたお笑い専門の劇場が欲しいところです。ぜひ、物件を紹介してください!」

SLUSH-PILE.事務所に置かれていた劇場の模型。片山氏は本気で下北沢にお笑い専用の劇場を創り出すことを考えている

---最後に意気込みをお願いします

片山氏「ぜひ、ライブに足を運んで頂きたいです。音楽や演劇と同じく、人と人が同じ空間で同じ空気を吸い同じ時間を過ごす、非日常的な空間を楽しんでもらいたいです。ご来場お待ちしております!」

---ありがとうございました

プロデューサーの片山氏に話を伺い、やはり【下北沢大興行】というイベントが下北沢のお笑いシーンに革命的な影響を与えることを確信した。インタビュー中に片山氏は、

「イベント期間中は下北沢の街に多くの芸人が溢れかえることになり、イベントに来てくれた人たちはもちろんですが、街全体がお笑いのムードに包み込まれるでしょう」

と話してくれた。音楽ライブサーキット期間中に下北沢が音楽ムード一色になるのと同じように、4月18-19日は下北沢がお笑いに包み込まれる2日間になる。

これまでも下北沢ではお笑いライブが行われ、この街のお笑いシーンは少しずつ育まれてきた。そして、このイベント【下北沢大興行】が行われることにより、下北沢という街はこれまでの『演劇の街』『音楽の街』に加え、『お笑いの街』であると認識されるであろう。

既にいくつかのイベントについて前売り券は完売しているが、まだ購入可能なイベントもあり、公式サイトで確認できる。普段お笑いに接する機会が少ない方にも、ぜひこの期間は下北沢でお笑いライブをご覧頂きたい。片山氏も話していたが、『アンダー5コンテスト』はまさに下北沢的な内容のライブになるだろう。私も将来ブレイクする若き芸人たちの戦いを観に行き、そして、下北沢が『お笑いの街』になる瞬間をこの目で確かめるつもりだ。

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【下北沢大興行】
2015年4月18日(土)・19日(日)
* アンダー5コンテストは4月14-16日(予選)、17日(準決勝)
会場:
北沢タウンホール (北沢2-8-18)
小劇場B1 (北沢2-8-18・北沢タウンホール地下1F)
しもきた空間リバティ (北沢2-11-3)
B&B (北沢2-12-4)
HIBOU HIBOU (北沢2-7-2)
エッグカートン (北沢3-23-23)
公式サイト: http://slush-pile.jp/shimokita/
チケット: http://slush-pile.jp/shimokita/ticket/
Twitter: https://twitter.com/shimokitaSTAND
主催: SLUSH-PILE.PLUS
プロデューサー: SLUSH-PILE. 片山勝三
制作協力: K-PRO 代表・児島気奈
協力: 浅井企画、アッシュ・アンド・ディ・コーポレーション、太田プロダクション、オフィス北野、グレープカンパニー、ケイダッシュステージ、サンミュージックプロダクション、松竹芸能、ソニー・ミュージックアーティスツ、タイタン、トゥインクル・コーポレーション、プロダクション人力舎、ホリプロコム、マセキ芸能社、よしもとクリエイティブ・エージェンシー、ワタナベエンターテインメント(50音順、敬称略)

About the Author

黒田

下北沢の街に流れ着いてはや22年、この街で映画のワンシーンのような場面を見続ける日々。Web制作会社の有限会社第四企画社長兼インフラエンジニア兼しもブロキュレイター。日夜下北沢のエンターテインメントをチェックし、ひとりでも多くの人たちに伝えるべく下北沢の街を駆けずり回っております。 [Twitter]m_kuroda

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