足立区、目黒区、中野区、品川区、墨田区、そして世田谷区へ。東京23区を1つづつ特集する『TOmagazine』の世田谷区特集号が7月25日に発売されました。
TOmagazineはこれまで一冊で1つの区をクローズアップしていましたが、世田谷区は一冊では収まりきらないと判断したのか、2号にわたって100のキーワードで世田谷区を語り尽くすとのことです。
普段は「下北沢」勤務で、日々某ガールズ(?)バンドのことを追っかけ回していますが、自宅は世田谷区の西端にあり小田急線「祖師ヶ谷大蔵」駅と京王線「千歳烏山」駅のちょうど中間にある陸の孤島「千歳台」。休みの日にはバスに乗って「成城学園前駅」周辺や「二子玉川駅」周辺に行きますし、自宅そばの「芦花公園」やちょっと離れてるけど「砧公園」、ものすごく離れてるけど「世田谷公園」に行くこともしばしば。そういえば、仕事絡みで「三軒茶屋」にももちろんよく行きます。世田谷区では唯一、二子玉川以外の玉川エリア(世田谷区左下)にはあまり行かないかな、環八や第三京浜は使うから通過はしてるけど、、、。と、書き出してみた限りかなり世田谷区な生活を送っております。そんな私から見て、今回の『TOmagazine 世田谷区特集号 - 世田谷感100〈上編〉』はド・ストライクな内容ばかり、改めて世田谷区という行政区が広いだけではなく、様々な人が様々な思いをもって生きている街なんだなぁと感じさせてくれます。
と、世田谷区の話をしてしまいましたが、下北沢の話しについて。『TOmagazine 世田谷区特集号 - 世田谷感100〈上編〉』で下北沢について言及されているページはこんな感じです。
下北沢関連の付箋をつけましたが、盛りだくさんです。世田谷区全域に興味が無くても、下北沢のことだけ知りたいあなたにも超オススメできる一冊です。一般的な情報誌に掲載されているようなお店情報やイベント情報的なものは掲載されていないけど、この本にはそんな内容はいらない。ホントの世田谷区を知るためには表面上の見た目や単なるデータは要らない、世田谷区のことを愛する人たちの口から語られる「世田谷感」それが何よりも必要なんだ。カルチャーというほどまとまっていない、サブカルというほどマニアックじゃない(マニアックな内容もあるけど)、今も生き続けている世田谷区をありのままに語ってもらいそれを本にした、まさにそんな感じの内容です。
さてと、下北沢絡みの内容をいくつかピックアップ。昨年から猛烈に下北沢ライブハウスシーンに舞い戻ってきてしまった自分にとって、この特集はヤバイ。
サブタイトルは「’90年代以降の下北沢をめぐる音楽と生活の行方」。私は下北沢という街に90年代後半にふれ、2000年にたどり着きました。その理由は音楽です、なぜか下北沢の音楽シーンにはまってしまいました(その話しはこのコラムに書かれている)。そんな自分にとって、この8ページの特集はとても貴重な内容であり、ハッキリとはわからないけどボンヤリと抱いていた下北沢の音楽シーンをちゃんと理解することにつながりました。たぶん、下北沢の音楽シーンについて書かれている文章を読んで、私のように「参考になるなぁ」と思う人間もいれば、「ちがうだろ!」って思う人もいると思う。でもね、それでいいんだよ、それでいい。この街の音楽シーンに対する思いはそれぞれの人が持っているものだし、1つにまとまるものでもないからね。
この記事に書かれていないことを1つ書くと、ここ数年急激に下北沢のライブハウスでアイドルのイベントが増えてきている。正直最初は「えっ?」と思ったけど、これもまた今の下北沢の音楽シーンなんだと理解している。音楽シーンだけじゃない、下北沢という街は常に変わっているし、いつだって昔はよかったといわれる、そんな街なんだ。変わるのはイヤだなぁと思いつつ、新しい何かにちょっとワクワクする、自分にとって下北沢はそんな街なのです。
そうそう、この記事を書いた松永さん、実は自分が下北沢の音楽シーンに流れ着いた頃に何度か話をしている。あの当時、あるバンドにおかしいくらいはまってて、打ち上げとかで話をしたんだよな(たぶん)。まー、ベロベロに酔っ払ってたから、何を話したのか全く覚えてないけど、、、。
さてと、もう一つ記事を紹介、今年の4月に下北沢がお笑いの旋風に巻き込まれた話し。
私が下北沢の街を語るときに必ず「下北沢は演劇と音楽の街」というフレーズを使う。個人的には音楽の街の印象が強いけど、演劇ももちろん見るし下北沢の演劇シーンは音楽シーンとは1つ違うレイヤーのモノだと考えている、だから「演劇と音楽」という並び順になる。もちろん、下北沢は「演劇と音楽」だけじゃないし、美味しいご飯やお酒のお店もあれば、ヘアサロン、見たこともない雑貨がひしめくお店などなど、上げはじめればキリがない。でも、確実にこの街に浸透しつつあるエンターテインメントがある、それが「お笑い」だ。まだ、ポジションとして「演劇と音楽」には及ばないけど、勢いは凄まじい。そして、それをハッキリと意識させてくれたのがこの記事で紹介している『下北沢大興行』です。『下北沢大興行』は事前取材をしていて(参照:下北沢がお笑いの街になる2日間 『下北沢大興行』 4/18-19開催!)、プロデューサーの片山さんのお笑いにかける熱い想いは私も聞いていました。自分の目でこのイベントが下北沢の街に何をもたらすのかハッキリと確かめたかったけど、どうしても外せない予定が詰まっていて2日間のこのイベントを知ることはできなかった。でも、この記事に目を通しこのイベントが下北沢の「お笑い」シーンにとって歴史的な出来事であったことを知ることになりました。
記事後半に書かれている片山さんのコメントは本当に響きました。自分が聞き出せなかったことが書かれているのはちょっと悔しいけどね。
さてと、『TOmagazine 世田谷区特集号 - 世田谷感100〈上編〉』が紹介している下北沢はこれに留まらない。存在は知っているけど足を踏み入れたことはないキューバ料理のお店や、スパイス料理店が開く教室の話し、タクシードライバーが使う下北沢への抜け道、今年南口歩いてすぐの所にオープンしたシェアオフィス、などなど単なる情報誌とは一線を画した内容がたくさん詰まっています。
いまここでふれたのは下北沢が中心の話題ですが、世田谷区民にとっては他のエリアのネタも思いっきり刺さります。個人的に注目度急上昇中の「松陰神社前エリアの対談」や「世田谷ナンバーに対する考察」、そして思わず巡りたくなった「世田谷定食図鑑」など(桜新町のきさらぎ亭に行ってみたい)、世田谷区のことをもっと知りたい区民は必携書ですよこれは。もちろん、世田谷区に引っ越したい皆さんの必携書でもありますね、というか下手なガイドブックよりこの本を読んだ方が世田谷区を楽しめそうな気がします。あと、加瀬亮が突然グラビアで登場してて、しかもその場所が自宅のそばだということに気づいてテンションが上がりました。てか、どんな場所でもどんなスタイルでもカッコいいな加瀬亮、けしからんな加瀬亮。
1800円と決して安いとは言えない価格ですが、この本の価値を考えれば十分すぎる価格だと断言できます。一般流通していないので、入手できる本屋さんは限られていますが、下北沢だとB&B、ヴィレッジヴァンガード下北沢店、CLARIS BOOKSで入手できます。それ以外の取扱書店については、公式サイトの「BOOK STORE」からご確認ください、え、世田谷文学館でも取扱があるって、なにそれすごい。Webでも買うことができますので、お近くに取扱書店がない方はぜひご利用ください。
『TOmagazine 世田谷区特集号 - 世田谷感100〈下編〉』は2016年1月発行予定、残り50の世田谷感がどのようなものなのかが気になりつつ、発売されるのは真冬かこの暑さの中では全くイメージ沸かないなぁ。個人的に下北沢は冬が似合う街だと考えているので、上編では登場しなかった冬の下北沢が紹介されるであろうと勝手に期待しまーす!