下北沢演劇祭の中に「世田谷区民上演グループ」と題した公演があることは以前から把握していました。いわゆる劇団の公演ではなく、区民が役者となりお芝居を行う企画です。これまであまり気にかけていなかったのですがなぜか今年は観ようと思い、2月15日に「劇」小劇場で初日を迎えた世田谷区民上演グループB『カタツムリ寫眞館』を観劇しました。
今日も客の来ない時代遅れな街の写真館。その奥で暮らす一家は最近ほとんど外に出てこないようで・・・。Bグループ恒例のオリジナル劇、今年は愛と絆にホコリがたまった、とある家族の物語。
公式Webサイトより
公演名からも最初は写真館のお話しかと思いましたが、写真館を営むある家族のお話。丁寧にそれぞれのキャラクターがどのような存在であるのかを観客に伝え、徐々にこの家族がいわゆる普通の家族とはちょっと違う存在であることが明らかになります。しかし、このお話がいったいどこにたどり着くのかはなかなか見えてきません。でも、そのもどかしさに近い部分は、私たちが実際に日々を過ごしているリアルな家族で繰り広げられているシーンそのものであることに気づきます。
家族のとある発言から物語は一気に急展開を迎えます。そして迎えたこの物語の結末、幕が上がってからこの家族に出会ったばかりであるにもかかわらず、この家族ならこの展開も十分あり得る。そう、納得した自分がいました。
出演している皆さんは普通の世田谷区民の皆さんと、本多劇場をはじめとして下北沢の劇場を運営する本多グループ代表の本多一夫さん。本多さんを役者としてみるのはこれがはじめてでしたが、そのただならぬ存在に驚かされました。そして、出演された区民の皆さんですが、平日の夜と休日を費やし稽古に励んだ結果、正直一般の方とは思えない演技を観ることができました。楽日まで演じることの楽しさを感じつつ、全力で駆け抜けてくださいね!
いわゆる劇団に所属している役者さんに比べれば、もちろん至らない部分はあります。しかし、舞台に立つ9人が自らの演技で伝えようとしているその想いは、役者の皆さんと何ら変わりないことを実際に観劇することで知りました。
第27回 下北沢演劇祭 世田谷区民上演グループB『カタツムリ寫眞館』は、「劇」小劇場にて2月19日(日)まで。この取り組みに興味がある皆さんはもちろん、演劇ファンの皆さんにもぜひ観て頂きたい作品です。
第27回 下北沢演劇祭
世田谷区民上演グループB
『カタツムリ寫眞館』
[脚本]
大岩真理
[演出]
大岩正弘(本多劇場)
[出演]
菅野雅英
南 貴志
山本正男
北岡 梢
中川千寿子
吉沢美佳
吉田信子
渡辺三香子
/
本多一夫
[開演日時]
2/15(水) 19:00
2/16(木) 19:00
2/17(金) 14:00
2/18(土) 14:00、18:00
2/19(日) 14:00
[料金]
入場無料 全席自由
[予約]
WEB予約|カルテット・オンライン
電話予約|本多劇場 03-3468-0030(11:00~19:00)