劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』出演者インタビュー

2022年6月15日(水)から19日(日)まで駅前劇場にて上演される、劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』。2019年以来3年ぶりとなる下北沢でのフルタ丸の本公演。その稽古場におじゃまし、10名の出演者の皆さんにインタビューさせていただきました。

ーーー今回上演される『すべてセリフのはずだった』は劇団フルタ丸の二十周年記念公演となりますが、皆さん20年前は何をされていましたか。20代の皆さんに20年前のことを伺うのはさすがに難しいので、10年前に何をされていたのか教えてください

清水洋介(以下、清水): 20年前はちょうど演劇をはじめた年です。ただその頃は舞台やお芝居、演劇がどういうものなのか分かっておらず、尖っていましたね。多感な時期でした

篠原友紀(以下、篠原): 遅れてきた反抗期でした。中高の時はそこまで反抗していなくて、門限を破ったりはしていたけど親を困らせてやろうとかそういう感じではなかったのですが、10代後半から20代前半にかけてはものすごく反抗していた時期だったと思い出しました

篠原友紀

フルタジュン(以下、フルタ):大学は演劇学専攻だったのですが、上京した頃は放送作家になりたくて運良く学生時代にその仕事を始めることができました。でも、結局演劇がやりたくなって劇団を立ち上げた、それがちょうど20年前のことです。さっき清水さんが尖っていたと話していましたが自分も無闇に尖っていて、今それをやったら色々な方から怒られてしまうことをやっていましたね。演劇でしかできないことを追求し続け、変な尖り方を入れてしまうような、ごちゃごちゃとした旗揚げ公演でした

真白健太朗(以下、真白):10年前ですか、小3の頃かな。バスケットボールを1年生からやっていて、小3の時に引っ越した先の小学校にバスケットボールのクラブが無かったので自分で作ることになり、申請して自分のチームを作りました。そこからバスケットボールを高校3年生までやっていたので、自分の人生にとって大きなウエイトを占めるモノを始めたタイミングでした

真白健太朗

真帆: ちょうど中学の演劇部に入ったタイミングで、高校演劇を見る機会があったのですが、その演劇が衝撃的でこんな世界があるのかと。そして、その高校に入るために勉強し、演劇をやっていこうと決めた時ですね。1つの目標が決まったタイミングですね

フルタ: 清水さんも真帆ちゃんも、そして自分も全く同じ年に演劇を始めていたとは。今、初めて知りました

松尾英太郎(以下、松尾): 20年前の21歳の時、実は僕も演劇を始めたタイミングで、「ロミオとジュリエット」のような難しい作品を演じる所に入ってしまい、本当に訳が分からなくて、何が面白いのかも分からない。そんなことを半年くらいやっていたら、自分のせいで先輩がすごく怒られてしまい、すごく優しい先輩だったけどノイローゼになってしまって、、、。それを受けて自分もストレスがたまってしまい、さらには「立つ、座る」といったお芝居を1日中やらされ、正解があるけどそれができない。そんな生活を送っていたら肛門に病気を抱えてしまい、座ると痛いから座ることもできなくなり、結局行かなくなってしまいました。その結果、一生演劇をしないと決めたのも20年前ですね

一同:(笑い)

松尾英太郎

逢来りん(以下、逢来): 10年前は10歳で、学校では目立ちたくない、引っ込み思案という小学生で、教室の端っこでひたすらに絵を描いていました。学校の外ではダンススクールに通い、ダンスに一生懸命でした。初めてオーディションを受けたのもその頃で、ダンススクールでアドバンスクラスに上がり大会に出場しました。

フルタ: その経験を、いま活かすことができている

逢来: それが、全然活かせていなくて、、、5年前に上京するタイミングで辞めてしまったので

フルタ: でも、基礎は絶対に残ってるよ

大勝かおり(以下、大勝):困ったらいつでも言って!

フルタ: ガチの人が、、、

松尾: まだ、大勝さんのターンじゃないんで(笑)

西川智宏(以下、西川): 20年前は28歳で、その時に芝居を始めました

一同: ええーーーーっ! どうなってるんだ?

フルタ: 同期じゃないか!(笑)

西川: しっかりと舞台をやるために目標を1つ作ろうと決め、お酒をやめ3年くらい飲んでいなかったのですが、打ち上げの時に今日くらいはいいかなと思い乾杯のビールをグラス一杯飲んだ瞬間、、、そこから記憶がない。そのまま、泡を吹いて倒れました。みんなとの初舞台が終わった後の楽しみが一切無かった

西川智宏

大勝: 私、役者40周年だから! この春で40年だから、28歳だけど、、、

一同: (どよめき)

大勝: 2002年は、今は無きコマ劇場でお正月公演だった松平健さんの舞台に出ていました。カーテーンコールで大階段に健さんが登場し拍手喝采になるところで、私はその階段を猛ダッシュで駆け上がりみんなに見送られて幕が下りる。でも、ある日疲れ切っちゃって一番上の少し手前でずっこけてしまい、立ち上がってすぐに振り向いたら、全員の肩が震えてた。それが、私の20年前ですね

美澄衿依(以下、美澄): 10年前は中3で、日本に来て3年目だったのでまだ日本語がたどたどしい時期でした。おばあちゃんと一緒に「火曜サスペンス」や「相棒」を見ていて、探偵役をしたいと思ったのがきっかけでお芝居に興味を持ち、卒業アルバムに将来は女優になりたいと書きました。自分がやりたいことが決まった年ですね

美澄衿依

ーーー多くの方にとって演劇に関わり始めたり興味を持ったタイミングが、20年前・10年前だったのですね。もっとも驚いたのは大勝さんの芸歴40年ですが、想像を上回るすごいキャリアで驚きました。
続いての質問です。今回の作品は下北沢の駅前劇場で上演される下北沢が舞台となるお話ですが、皆さんが下北沢で好きな場所や印象的な場所を、1つだけ教えてください

清水: 古着が好きで、初めて下北沢に来た時に古着屋さんが多くて嬉しかったことを覚えています。オシャレな街だなと、テンションが上がりましたね

清水洋介

篠原: 下北沢の駅から少し離れた、歩いて10分くらいの場所が好きです。そのあたりの、ほとんど住宅街なのにちょっとお店がある、そんな雰囲気の場所が下北沢で好きです

フルタ: いやー、すごく難しい質問ですね、ひとつか、、、新しく下北沢の駅前に商業施設が出来て気になってちょくちょく足を運んでいますが、それでも1番好きな場所は「マルディグラ」という、路地奥にある絶対に一見さんがたどり着けないような場所にある喫茶店です

松尾: 連れて行かれた、そこに

フルタ: そうだ、連れて行った! この舞台の話をするために

松尾: 俺ら2人以外、おじーちゃんとおばーちゃんしかいなかった

フルタ: 先輩方が人生を謳歌しているところで、今回の話をしましたね。今は、あそこが1番好きかな

フルタジュン

真白: 今のお仕事を始めてから撮影される機会が増えたのでオシャレしなきゃと思い、初めて古着を買いに行った街が下北沢でした。古着屋さんがたくさん並んでいるあの雰囲気が好きですね

真帆: 初めて下北沢に来たのがフルタ丸の舞台で、さらにフルタ丸の時ぐらいしか来ない街なので、私の中では「下北沢=フルタ丸」なんです。初めてフルタ丸の演劇を見て、初めて自分が舞台に立った劇場が「空間リバティ」で、あそこの舞台袖が私の中での下北沢です。真っ暗闇のあの空間が怖かったけど、すごく好きでした

真帆

松尾: 僕も一緒かも、楽屋ですね。みんなが買ってきたものをつまんだりしながら、マチネとソワレの間に何してたって話をしたりするのが好きです

逢来: 下北沢に初めて来たのはフルタ丸さんの舞台で、事務所の先輩の二ノ宮ゆいさんが出演された作品を見学した時で、

フルタ: 「朝のドラマ」だ! 来てくれていたのですね、知らなかった

逢来: その時に、フルタさんともお話ししました

一同: ええーーー(どよめき)、それはまずい

フルタ: 今回、初めまして、ってあいさつしちゃいました

逢来: でも、ちょっとだけでしたから。あの日ゲネプロを観させていただいたこともあり、私の中で下北沢と言えば「駅前劇場」です

逢来りん

西川: 僕は下北沢の「王将」が大好きなんです。僕の中で下北沢の王将が、1番美味しい王将だと思っています。王将を食べたいと思ったら、わざわざあそこまで行きます、あのお店以外は考えられない。「ラビット番長」で稽古した後も、なんか王将を食べたいと思ったら、誰かの車で下北沢まできて食べます。つまり、下北沢の王将が最高です

大勝: 私はあまり趣味が無くて、下北沢で思い出すのは本番中か楽屋なんです。過去に演劇祭で最優秀俳優賞を頂いたことがあって、それが「小劇場楽園」だっかから、それかな

松尾: 楽園って事?

フルタ: 賞をもらったわたしって事?

大勝: 賞をもらったわたしかな

フルタ: 下北沢関係ないじゃん!(笑)

大勝かおり

美澄: 今年の1月に初めて来たばかりなので、まだ下北沢のことは詳しく分からないですが、私も古着が好きなのでこれから色々なお店を巡って好きな所を見つけたいです

フルタ: 公演の期間中に行き放題ですよ

美澄: いっぱい行こうと思っています

ーーー古着そして劇場、まさに下北沢を代表するカルチャースポットですね、ある意味、餃子の王将もカルチャースポットと言えますね。篠原さんの取りあげたエリアはかなりマニアックですが、なんとなくその気持ちは分かります。そして、まさかフルタさんがあの「マルディグラ」をピックアップするとは思ってもいませんでした。
それでは最後に、今回の作品で最も観て欲しい自分のポイントを、ずばり一言でお答えください!

清水: 「痛い」ところ

篠原: 「抜け」!

フルタ: 「かわいらしさ」

真白: 「元気」

真帆: 「強さ」

松尾: 「変化」

逢来: 「反抗期」

西川: みんないいこと言うなー、なんだろう、、、「愛」

一同: おおおおお!

大勝: 言われちゃったぁ、じゃあ、「慈愛」

一同: (爆笑)

美澄: 「馬鹿さ」

ーーーありがとうございます、皆さんそれぞれのポイントに注目し、本番を楽しみにしています。稽古のまっただ中のお忙しいところ、ありがとうございました!

劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』出演者集合写真
劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』出演者集合写真

私が劇団フルタ丸の作品に出会ったのは、2012年に「劇」小劇場で上演された十周年記念公演『うつくしい革命』でした。それまでも下北沢で様々な劇団の演劇を観ていましたが、本公演を欠かさずに観てきたのはフルタ丸だけです。3回に渡り上演されたチャレンジング興行、下北沢と代表フルタジュンの故郷でもある岐阜で上演された本公演ツアー。浅草九劇での本公演を経て、下北沢・駅前劇場への進出。コロナ禍での様々なチャレンジと本公演を経て、再び劇団フルタ丸は下北沢に戻ってきました。

フルタ丸を見続けてきたので分かりますが、今回の座組は極めて強力です。フルタ丸の4人はもちろん、これまでにフルタ丸の作品に客演し強烈な印象を残し続けた大勝かおり・西川智宏・松尾英太郎の実力派、そして今回初めてフルタ丸ワールドに加わることになった逢来りん・真白健太朗・美澄衿依のフレッシュな面々。今回インタビューを通してそれぞれの素顔を知り、この10人によってどのような世界が駅前劇場に生み出されるのかを想像すると、本当に楽しみです。ちなみにかなりカットしていますが、インタビューではそれぞれのコメントに突っ込みが入りまくり、チームワークはもちろん万全です。

毎回観客としてフルタジュンによる物語に翻弄され続けていますが、今回も全てを持っていかれてしまうだろうと今からワクワクしています。しかも、今回のお話の舞台は下北沢、フルタ丸のファンであり下北沢のファンでもある私にとって、これ以上ない条件が揃っており期待は増すばかりです。

劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』は、下北沢駅前劇場にて6月15日(水)から19日(日)まで5日間8公演を上演。16日昼公演、18日夜公演はアフターイベントとして短編『すべてオワリのはずだった』も限定上演されます。チケットは前売り3800円、当日4000円、また学生及び20周年を記念し20代は2000円(要証明)となります。前売りチケットはカンフェティにて販売中、20周年の迎えた劇団フルタ丸の本公演、ぜひ駅前劇場でご覧ください。

そして、公演映像の配信も決定! 6月16日に収録した上演映像を、千秋楽となる19日19時から26日まで配信で観劇することが出来ます。視聴料金は3000円、こちらから予約できます。日本全国から、劇団フルタ丸の20周年を目撃してください! もちろん、劇場で観劇した皆様も!

写真:木村健太郎

劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』
劇団フルタ丸 二十周年記念公演『すべてセリフのはずだった』

フルタ丸 二十周年記念公演
『すべてセリフのはずだった』

作・演出:フルタジュン
出演:真帆・篠原友紀・清水洋介・フルタジュン
大勝かおり・西川智宏・松尾英太郎
逢来りん・真白健太朗・美澄衿依
<日時>
2022 年6 月15 日(水)~19 日(日)
15 日(水) 19:30
16 日(木)14:00★/ 19:30
17 日(金) 19:30
18 日(土)13:00 / 17:00★
19 日(日)13:00 / 17:00
※★アフターイベント(短編『すべてオワリのはずだった』限定上演)
※受付開始は開演の40 分前、開場は開演の30 分前
<会場>
駅前劇場(155-0031 東京都世田谷区北沢2-11-8TARO ビル3F)
03-3414-0019(公演期間中のみ)
下北沢駅・小田急線「東口」、京王井の頭線「京王中央口」改札から徒歩3 分
<チケット>
●前売:3,800 円
●当日:4,000 円
●学生割引:2,000 円(前売・当日共通/要証明)
【フルタ丸が歩んできた20 年間を記念して20 代のあなたへ】
◎20 周年20 代2,000 円チケット(前売・当日共通/要証明)
※日時指定・全席自由
期間限定・整理番号付先行予約:4 月16 日(土)10:00~24 日(日)23:59
一般発売:5 月7 日(土)10:00 発売開始
<チケット取扱い>
カンフェティ http://confetti-web.com/furutamaru20
<公演配信>
販売期間:6月8日(水)12:00~26日(日)19:59
視聴期間:6月19日(日)19:00~26日(日)23:59
視聴料金:3,000円
※6月16日(木)に収録した内容を、千秋楽より配信いたします。
※アフターイベント(短編『すべてオワリのはずだった』)は含まれない予定です。
 ご予約(カンフェティ) https://www.confetti-web.com/furutamaru20_streaming
※WEB予約のみ
ご購入方法のお問合せ https://www.confetti-web.com/support/qa_reg_1.php
購入・視聴方法 https://www.confetti-web.com/guide/streaming/
<お問い合わせ>
WEB http://furutamaru.com
電話 080-4898-2002(フルタ丸)
メール info@furutamaru.com
<スタッフ>
舞台監督:森貴裕(M.T.Lab)
照明:宮崎晶代
音響:水野裕(空間企画)
音楽:平野智子
舞台美術:泉真
演出助手:和田宜之
制作協力:大森晴香
アートディレクター:福田泰隆
宣伝美術・Web:SOY
衣装協力:古着屋ReSacca
写真:木村健太郎
協力(順不同・敬称略):ホリプロインターナショナル/劇団スパイスガーデン/アレ/ラビ
ット番⾧/演劇制作体V−NET/nap/LEVELS/レディオ湘南
<主催・企画・製作>
劇団フルタ丸/合同会社エンピツ
http://furutamaru.com info@furutamaru.com 080-4898-2002