バター猫のパラドックス バター公演Vol.2『自爆!』レビュー

正直、とても胸くそ悪いお芝居だった。なぜなら、今の社会をあまりにリアルに躊躇なく描いているからに他ならない。

わかっているけど口には出さない、いや、口に出すことができない事が、この社会には多すぎる。そしてたまりにたまった鬱憤は自爆という形で噴出し、誰にも止めることができなくなる。そして、それは1カ所のみならず様々な場所から噴出し、社会が暴走する。学校を舞台にした社会で起きているリアル、不都合な真実を突きつけられた気分だ。

最初から「胸くそ悪い」というひどい表現を使ってしまったが、このお芝居の脚本に込められた躊躇なき事実を、21人の役者が素晴らしい演技で表現しきってくれたから。「劇」小劇場で21人もの役者が立つお芝居は初めて見た。願わくばもっと大きなステージで見たい、大きなステージでも十分耐えられる、いや大きいステージでこそ真の魅力を伝えることができるお芝居だと断言できる。また、クラウドファンディングで資金を集めたレーザー照明による演出も見事だった。通常の照明では決して伝えることができなかったこと、このお芝居で実現できた新たな表現手法にも注目いただきたい。

人が集まる場所に社会は生まれる、そして、社会は必ず問題を生み出す。意識と無意識、考え方の違い、集団心理、承認欲求など、社会は様々な問題が生まれる場所である。劇場の外に出れば、リアルの社会も問題が山積している。不正や改ざん、もみ消し、そして忖度、もううんざりだ。現実社会における問題の行き着く先が、このお芝居で示されていたのかもしれない、それはとても恐ろしい結末だ。

このお芝居を観て直接的に何かが解決するわけではないだろう。しかし、現実から目を背けず、そこに問題が存在する事実を認識することはできる。問題を問題として意識すること、まずはそこからだ。まだ、人類は平和を得ることはできていない、この問題は人類に与えられた果てなき課題なのだろう。

と、重いことばかりを書いてしまったが、見所が本当にたくさんあるお芝居だ。21人の役者それぞれを感じるためには1回だけでは足らない、そうだ、もう一度見に行くべきだろう。そして、私は全日程すでに予定が入っているという問題と向き合うことになる。

バター猫のパラドックス バター公演Vol.2 『自爆!』は、「劇」小劇場にて2018年8月6日月曜日まで。チケット予約はこちらより。

バター猫のパラドックス バター公演Vol.2 「自爆!」バター猫のパラドックス バター公演Vol.2
『自爆!』

【あらすじ】
文化祭を明日に控えた、とある高校。
教室で生徒たちが演し物の準備を進める中、ひょんな事から一人の生徒が”自爆”してしまう。周りの生徒たちは驚愕するが、やがて”自爆”は彼らにも伝染していくーー。
一方、職員室でも事件は起きた。追い詰められた教師たちは一線を超えてしまう。
放送部員は不可思議に暗躍し、体育倉庫に閉じ込められた男女は奮闘する。
そして全てが見下ろせる屋上では、謎の女子生徒が佇んでいた。

ーーごく普通の学校で突然何が起きたのか? “自爆”とは一体。
同時間に起こる数々の事件。それらが一つに繋がる時、学校は暴発するーー

会場: 「劇」小劇場
脚本・演出: 西貴人
出演: 小山分季陽、古里友美、寺倉舞穂、藤田円香 (以上、劇団バター猫のパラドックス)、三浦圭祐(株式会社オフィスマイティー)、牧野純基(劇団 黒雪構想)、福田智行(企画演劇集団 ボクラ団義)、山木コハル(X21)(株式会社オスカープロモーション)、山﨑紗彩(X21)(株式会社オスカープロモーション)、犬塚しおり(X21)(株式会社オスカープロモーション)、岡谷未来(株式会社ピーキューブガレージ)、塙さより(株式会社ウイントアーツ)、岩佐祐樹(株式会社ウイントアーツ)、中村昌樹(株式会社Feather)、小野峻佑(株式会社茶谷堂)、益田大将、楠口鉄太、兎月雪音、川原真衣、橋本奈奈、片岡哲也(劇団黒テント)
開演日時:
8/1(水)13:00、19:00
8/2(木)13:00、19:00
8/3(金)13:00、19:00
8/4(土)13:00、19:00
8/5(日)13:00、19:00
8/6(月)12:00、16:00
チケット: 前売り ¥4,000-/当日 ¥4,500-
チケット予約: http://ticket.corich.jp/apply/91985/
劇団公式サイト: https://www.batanekono-p.com/home
劇団公式Twitter: https://twitter.com/batanekono_p