劇団チョコレートケーキ第23回公演「治天ノ君」@下北沢駅前劇場

 

劇団チョコレートケーキは2000年、駒澤大学OBを中心として結成された劇団。もともとはコメディなどを中心に活動していたが、2009年から劇団員古川健が脚本を、2010年から日澤雄介が演出を担当し、その後脚本、演出、役者のすべてで賞を受賞している今注目の劇団だ。

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舞台は明治~昭和の時代の皇室。文明開化した明治と、60年続いた昭和にはさまれた大正天皇の話です。15年という短い治世に在位した大正天皇嘉仁の生涯を、共に歩んだ妻、貞明皇后節子の視点で描いていきます。相当調べあげないと書けない作品だと思いました。

現実と抽象の中間のような空間で、鮮やかに時空間を変化させながら物語は進んでいきます。大正時代の皇室の話なので普段耳にしない言葉使いも多く、音や光の効果はあまり使わず役者の会話だけで進んでいく時間も多い。ともすると置いていかれてもおかしくないのに最後まで客全体の集中力が途切れなかったのは、細かい演出と役者の力なのだろうと思いました。

役者さんに関して、まず驚いたのは皇后を演じた松本紀保さん。皇后の衣装を身にまとい髪をアップにして登場した彼女の気品あふれる女性的な佇まいは、やはりそのあたりの”小劇場の女優”には出せないもの。紅一点ということもあるけれど、本当に彼女に光があたっているようで、舞台上でキラキラと輝く人なんだなと思いました。

大正天皇を演じた西尾友樹さん。彼の魅力である躍動感、身体能力、愛嬌は随所で感じることができました。四竃孝輔演じる岡本篤さんも見せ場があり、客席から釣られてすすり泣く声が聞こえる演技でした。大隈重信役の佐瀬弘幸さんの安定感はすごく、かなり年配の方なのかと本気で思いました(実際には老けメイクをしている?のだと思います。)ほかの役者さんたちもみなさん集中力が高かったです。

最近の活躍を見ると、そろそろ大きな劇場に拠点を移すことも予想されます。初日も満席でキャンセル待ちが出るほどの人気劇団。(下北沢ブロイラーとしては少々複雑ですが)小劇場に留まらない、これからの更なる活躍に期待したいです。

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劇団チョコレートケーキ

2012年、「熱狂」「あの記憶の記憶」が、「CoRich 舞台芸術アワード!2012」において第1位を獲得。2011年、「一九一一年」で古川健が佐藤佐吉優秀脚本賞を受賞。2013年、「親愛なる我が総統」で古川健が第1回せんだい短編戯曲賞最終候補にノミネート。若手演出家コンクール2012において日澤雄介が最優秀賞を受賞。2012年佐藤佐吉賞において岡本篤が優秀助演男優賞を受賞(北京蝶々「都道府県パズル」)。CoRich舞台芸術まつり!2013において西尾友樹が俳優賞を受賞。演出家日澤雄介、劇作家古川健を中心に、岡本篤、菅野佐知子、西尾友樹、浅井伸治の6名が所属。

■「治天ノ君(ちてんのきみ)」

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第23回公演「治天ノ君」

【脚本】古川健
【演出】日澤雄介
【日程】2013年12月18日(水)~22日(日)
【劇場】下北沢 駅前劇場

大正天皇嘉仁

明治と昭和に挟まれた短い治世。
脳を患っていたと存世中にも公然と噂された悲劇の帝王。
置き去りにされた人間『大正天皇』の本当の姿とは?

【出演】
浅井伸治
岡本篤
西尾友樹
(以上、劇団チョコレートケーキ)

松本紀保

青木柳葉魚(タテヨコ企画)
菊池豪
金成均
佐瀬弘幸(SASENCOMMUN)
谷仲恵輔

【日程】
12月
18日 19:30 ★
19日 14:00 / 19:30
20日 19:30
21日 14:00 / 19:30
22日 13:00 / 17:00
受付・開場は開演の40分前
※開演10分前までに受付をすまされない場合は
順次キャンセル待ちのお客様にお席をふらせていただきますので
余裕を持ってご来場いただきますようお願いしてください。

【チケット】 11月01日10:00より発売開始
全席指定席
前売   3000円
当日   3500円
初日割★2500円(12月18日19:30の回のみ)

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